ハッピークローバー
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第六十話 合宿を前にしてその十四
「楽しんできてね」
「それで人生の学問をなのね」
「積んでいくことよ」
「そうなのね」
「それで今朝はね」
カレーである、それを出して言うのだった。
「これを沢山食べてよ」
「カレーライスね」
「そうよ、カレーはね」
この料理はというのだ。
「沢山食べられて栄養バランスもいいでしょ」
「お野菜は沢山入ってるし」
「お肉も入ってるから」
だからだというのだ。
「是非よ」
「食べることね」
「しかもあんたカレー好きでしょ」
娘に笑ってこうも言った。
「子供の頃から」
「というかカレー嫌いな人ってね」
それはとだ、一華は考える顔になって母に言葉を返した。
「いる?」
「あまりいないわね」
母もそれはと答えた。
「それは」
「そうよね、やっぱり」
「それであんたも好きだから」
「今朝はカレーにしたの」
「お母さんお昼も食べてね」
娘ににこりと笑って話した。
「夜はお父さんともよ」
「食べるのね」
「そうするけれどあんたが食べてね」
そうしてというのだ。
「栄養をたっぷり摂ってね」
「合宿に行ける様になの」
「昨日の夜のうちに準備しておいたの」
「そうだったの」
「あんたとお話した後でね」
こう娘に話すのだった。
「もうお野菜とお肉は切ってたしね」
「後は煮てなの」
「作っておいてね」
昨晩のうちにそうしていてというのだ。
「寝かしていて」
「朝はなの」
「あたためてね」
「出してくれたの」
「そう、沢山食べてね」
「有り難うね」
母の手間を聞いてだ、娘は感謝して言った。
「そこまでしてくれて」
「お礼はいいわよ、お母さんだってよ」
「カレー食べたかったの」
「だからよ」
朝も娘に笑って話した。
「お礼はね」
「いいの」
「そうよ、お礼を言ってもらうのは嬉しいけれど」
それでもというのだ。
「今はね」
「いいのね」
「そうよ、お母さんも食べるから」
またこう言うのだった。
「だからね」
「お礼はいいの」
「ええ、ただお礼を言うことはね」
「いいことよね」
「それで感謝の気持ちを忘れないことはね」
このこともというのだ。
「いいことよ」
「だから今は結構でも」
「お礼を言うこと自体はね」
そして感謝の気持ちを忘れないことはというのだ。
ページ上へ戻る