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イベリス

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第八十三話 合宿前日その三

「マスコミや知識人が帰ると地上の楽園と言い」
「北朝鮮ですよね」
「もうおわかりですね」
「楽園どころか地獄だったんですね」
「そして生きて帰った人はです」
「いなかったですよね」
「一人も」 
 文字通りそうだったのだ。
「そうでした、ですがマスコミや知識人で責任を取った人はです」
「いなかったんですね」
「私は知りません、ですが」
「そう言っていた人達はですか」
「同じ口で、です」 
 まさにそれでというのだ。
「二次大戦での日本の責任を言い」
「嘘まで付けてですね」
「捏造までしてです」
 従軍慰安婦がその代表であろうか、これが一つでないことが戦後日本のマスコミと知識人の一部の腐敗を証明しているだろうか。
「謝罪を言い立てましたが」
「自分達はですね」
「帰国事業に関してです」
「謝罪していないんですね」
「一人もです」
 それこそというのだ。
「責任もです」
「取っていないですか」
「そうでした、こうした人達はです」
「信じたらいけないですね」
「絶対に、慰安婦の嘘でも責任を取っていないのですから」
 意図的の可能性が極めて高い誤報を行ってもだ。
「こうした人達の言うことを信じるとです」
「いけないですね」
「現に帰国事業では多くの犠牲者が出ました」
 彼等の言うことを信じて北朝鮮に帰ってだ。
「その人達のご家族も含めて」
「日本人のですか」
「そうです、一人も帰ってきていないのです」
 北朝鮮に渡ってだ。
「責任がない筈がありません」
「帰国事業を推進した人達に」
「多くの人の命が失われているのですから」
「これ犯罪になります?」
「刑事的かどうかはともかくとして人間としては」
「責任がありますか」
「そうかと」
 咲に沈痛な顔で話した。
「それこそ部活の試合で負けて生徒全員に丸坊主を強要し」
「そんな先生もいるんですね」
「自分はしない」
「もっと酷いですね」
「そうしたものです」
「人にはしろって言ってですか」
「自分はしない、こうした先生の言うこともです」
 それもまた、というのだ。
「全くです」
「聞いてはいけないですね」
「そうです、そもそも体罰です」 
 それになるというのだ。
「生徒にだけさせてです」
「自分がしないことは」
「しかも自分がしないのは何故か」
 速水はさらに話した。
「体罰だけではありません」
「それだけでも問題ですよね」
「それに加えてです」
 生徒に丸坊主を強要し自分がしないことはというのだ。
「自分は悪くない」
「悪いのは生徒ですか」
「自分の指導に問題はなく」
「それを聞かなくて負けた生徒が悪い」
「そう考えているからです」
 だからだというのだ。 
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