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ハッピークローバー

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第五十八話 祭りが終わってその六

「残念よ」
「そうよね」
「今だとね」
 理虹はさらに話した。
「これ太宰もだけれど」
「太宰も美形だしね」
「そう、美形で頭もいいのなら」 
 この二つを兼ね備えているならというのだ。
「テレビでもよ」
「引っ張りだこね」
「美形の小説家なんて」
 それこそというのだ。
「しかも頭の回転早くて教養もある」
「何かチートね」
 ここまで聞いてだ、一華は述べた。
「芥川って」
「太宰はしかもお金持ちの家よ」
「青森のね」
 津軽の大地主の家の生まれである、令和の世になっても代々政治家を輩出している家でもあるのだ。
「そうよね」
「そのこともあって」
「太宰にしても」
「もうテレビとかで」
 それこそというのだ。
「引っ張りだこよ」
「テレビに出る芥川ね」
「そうよ、太宰だってね」
「何かイメージ出来ないわね」
「芥川の頃テレビないしね」
「だからね」
「けれど確かに芥川って美形よね」
 かな恵も言ってきた。
「あの人って」
「それで東大出て学者さん並の教養で」
「そんなのだとね」
「もてるわね」
「もうもてもてよ」
 かな恵は言い切った。
「実際もてたみたいだし」
「やっぱりそうなの」
「結婚してからも」
 そして三人のご子息が生まれている。
「そうだったみたいよ」
「そうなのね」
「まあ昔は別にね」
 かな恵は少し微妙な顔になって話した。
「結婚していても男の人はね」
「お妾さんよね」
「愛人さんおられたし」
「お金とか地位とかある人はね」
「伊藤博文さんとかね」
「あの人は女遊びで」
 愛人を持っていたのではなくとだ、一華は話した。
「無名の芸者さんとかとよ」
「遊んでたの」
「やっぱりお妾さんいたと思うけれど」
 それでもというのだ。
「そんなね」
「お妾さんが有名な人じゃなかったの」
「女好きってことでね」
 そのこと自体でというのだ。
「有名だったみたいよ」
「そうなの」
「そう、それでね」
 そのうえでというのだ。
「まあ昔は実際にね」
「私が今言った通りに」
「結婚していても」
「女遊びとかね」
「普通だったし」
「お妾さんだって」
 かな恵はまた言った。 
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