ハッピークローバー
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第五十五話 本当の勇気その五
「野球選手の身体じゃないから」
「格闘家が野球するか」
「格闘技をするよね」
「そうよね」
「格闘家が野球をしてもね」
この身体の持ち主がというのだ。
「野球する身体じゃないから怪我するだけだって」
「あの人怪我多かったわね」
「それで満足に動けもしなかったね」
「足遅くてね」
「守備もお話にならなかったけれど」
「格闘家の身体だったから」
「それでだよ、だから監督もコーチの人達もね」
彼等がというのだ。
「絶対にね」
「ああしたことはするなって言われてるのね」
「あんな馬鹿なことはってね」
その様にというのだ。
「そこまで言ってね」
「そうなのね」
「実際あの人怪我多かったしね」
「足も遅くて守備も悪くて」
「最初は違ったのにね」
「ああなったのね」
「何であんなことしたのかって」
達川はどうかという顔で述べた。
「俺も不思議だよ」
「野球選手なのに野球の練習しなくて」
「格闘家ぶったりもして」
実際にそうしていたが周りは持て囃すだけで止めなかった、それが当時の彼の周りであり巨人であったのだ。
「本当にね」
「馬鹿なことね」
「監督さん本気で言ってたよ」
「絶対にそうするなって」
「野球選手には野球選手の身体があってね」
そうしてというのだ。
「野球の技術があって」
「野球の練習もあるわね」
「格闘家じゃないから」
間違ってというのだ。
「強くなってもね」
「腕力とかつけても」
「使う筋肉違うし」
「そもそもね」
「身体の動きだってね」
こちらもというのだ。
「違うから」
「怪我するだけね」
「そのスポーツにはそのスポーツの練習があって」
そうしてというのだ。
「他のスポーツの練習してもね」
「駄目ってことね」
「それをやったあの人もおかしいけれど」
達川はどうかという顔で述べた。
「止めないどころか持て囃した周りもね」
「おかしいわよね」
「監督山さんそうも言われたよ」
「そうしたところもおかしいって」
「普通野球選手が格闘家の練習はじめたら止めるよね」
「野球の練習しろってね」
一華もそれはと答えた。
「そう言ってね」
「私バレー部だけれど」
それでもとだ、一華も言った。
「本当にバスケの練習してもね」
「意味ないよね」
「全然違うからね」
バレーボールとバスケットボールはというのだ、同じ室内で行う球技であるが何もかもが違うと言っていい。
「それじゃあね」
「そこがさらに違うね」
「格闘技だと」
「おかしいだろってね」
「周りも止めるべきだったのね」
「監督さん素人でもわかるとも言ったよ」
そこまでというのだ。
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