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ハッピークローバー

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第五十五話 本当の勇気その三

「そのうえでね」
「旦那さんを守るんだ」
「旦那さんがピンチの時に逃げたら」
 それこそというのだ。
「何が夫婦ヨ、子供がそうした時に逃げたらね」
「何が親かだね」
「普段散々甘やかして」 
 そうしていてというのだ。
「子供がピンチになった時守らなかったら」
「親じゃないね」
「そうなるから」
 だからだというのだ。
「私はね」
「そう考えて」
「そしてね」 
 そのうえでというのだ。
「やっていくわ」
「結婚したら」
「今だってよ」
 決意、それが観られる目であった。その目で強く語った。
「達川君をね」
「守ってくれるんだ」
「何かあったら」
 その時はというのだ。
「それが付き合うってことよね」
「今のお話だとね」
「だったらそうするわ」
 やはり強い声で語った。
「私もね」
「強いね」
「それが本当の強さで」
「勇気だね」
「そうよね」
「だからだね」
「私はね」
 絶対にというのだ。
「今聞いたから」
「覚えて」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「そうした風にね」
「やっていくんだ」
「ええ」
 こう達川に話した。
「そう決めたわ、勇気ってね」
「そういうものなんだね」
「よくね」
 ここで一華はこんなことを言った。
「恐怖を知ることだってね」
「ああ、あの漫画の台詞だね」
「名台詞よね」
「俺も知ってるよ」
 達川は微笑んで応えた。
「あの漫画はね」
「有名だからね」
「ストーリーもキャラも濃くてね」
「台詞だってね」
「何もかもが強烈で」 
 それも極めてだ、日本の漫画の歴史に残るまでの作品であると言っていいであろう。そこまでの名作である。
「俺だってね」
「知ってるのね」
「その台詞もね」
 一華に焼きそばを食べつつ笑って話した。
「物凄く強烈だからね」
「それでなのね」
「知ってるよ、それでだよね」
「ええ、恐怖を知ることだってね」
 恐怖はとだ、一華は再びこのことを言った。
「言われてるけれどね」
「そうだよね、実際蚤がね」
「人に向かってもね」
「それが勇気かっていうと」
「本能でしかないわよね」
「それは勇気じゃないよ」
 自分より遥かに強大な相手に向かうこと自体はというのだ。 
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