レーヴァティン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
最終話 世界を見守ることをその八
「俺達はだ」
「国を傾ける趣味もだ」
「なくてか」
「他にも戦が好きだったり節度なく色に溺れる」
「お前は好きでも溺れはしていないしな」
「好きで楽しんでいるが」
それでもというのだ。
「溺れることはな」
「しないな」
「そうだ、溺れるとだ」
「そうなるとか」
「そこから出ることは容易ではない」
こう久志に話した。
「心から楽しんでもな」
「そうはならない様にか」
「節度を忘れていないつもりだ」
「そうなんだな」
「そしてそれは俺達全員でな」
そうであってというのだ。
「いいことにだ」
「趣味はそれぞれでもか」
「国を滅ぼすまでではない」
「それがいいんだな」
「そうだ、これからもな」
「そこはちゃんとしないとな」
「今は大丈夫でもな」
それでもというのだ。
「これからもそうか」
「そうは限らないな」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「このこともな」
「守っていくか」
「国を治めるならな」
そうであるならというのだ。
「絶対にな」
「そうした趣味は持たないことか」
「そしてどんな趣味でもだ」
英雄はさらに話した。
「溺れるとだ」
「よくないな」
「酒もそうだが」
「食事もそうだな」
「そして女もだ」
これもというのだ。
「あまりにもだ」
「のめり込んでか」
「溺れるとだ」
そうなると、というのだ。
「やはりな」
「国を傾けさせるな」
「傾国の美女というが」
「どんなのでも溺れるとか」
「そうなる、女に限らずな」
「それはそうだな」
久志もそれはと頷いた。
「博打でも何でもな」
「溺れるとだな」
「自分がな」
それこそというのだ。
「滅びるさ」
「そして国を預かるならな」
「国も滅ぼすな」
「そうなる、これは家でも同じだ」
こちらもというのだ。
「馬鹿な旦那が酒や女や博打に溺れてだ」
「家潰すなんてことはよくあるな」
「巷にな」
「それでそれ聞いてな」
「馬鹿な話だと思うな」
「ああ」
その通りだとだ、久志はまた頷いた。
ページ上へ戻る