| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ハッピークローバー

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五十四話 夏祭りその十三

「当時のオーナーが突っ撥ねて」
「チーム守ったのよね」
「ダイエーの中内さんがね」
「ダイエーは今ね」
「なくなったも同然だけれどね」
「あの人最後の最後でね」
「輝きを見せたんだよ」
 尚中内オーナーはこの騒動の一年程経ってからこの世を去っている、最後の最後で漢を見せたうえで。
「チームを守ってね」
「ファンの人の想いもね」
「守ったんだよ」
「そうよね」
「そうした人もいたけれど」
「やっぱりチームを潰そうとする人いるのね」
「世の中にはね、私利私欲でね」
 公なぞ考えずにだ。
「それでだよ」
「悪い奴がいるものよね」
「そうした人達もいるから」
「何時どのチームがなくなるか」
「阪神だってね」
 日本一のファンの数と強さを誇るこのチームもというのだ。
「おかしな動きあったし」
「何かファンドが動いたのよね」
「その時も変な人が動いて」
 そうしてであったのだ。
「危なかったんだよ」
「そんな話もあったね」
「うん、だから何時どのチームにそんなピンチが訪れるか」
「わからないわね」
「それでそんな時若し一人でも」
「戦えるか」
「家族に何かがあって」
 達川はこうも言った。
「その場合もね」
「一人だからといって」
「何もしないでいられるか」
「家族やチームに何かあって何もしないなら」
 それならとだ、一華は言った。
「へたれっていうかね」
「屑だよね」
「どうしようもない奴だよ」
「そうだよね」
「そんな時は一人でも」
 周りに味方が誰もおらずとも、というのだ。
「やっぱりね」
「戦うものだよね」
「ええ」
 一華もその通りだと答えた。
「そう思うわ」
「さもないとね」
「大切なものもね」
「守れないよ」
「そうよね」
「その人はね」 
 達川は真顔で話した。
「俺になんだ」
「そうした時はなのね」
「立ち上がる人になれってね」
「そう言いたかったのね」
「そうなんだ」
 まさにというのだ。
「それが本当の勇気だってね」
「一人でも何かを守りたいなら」
「自分の大事なものをね」
「立ち上がって戦う」
「それがね」
 そうした行為がというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧