ハッピークローバー
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第五十四話 夏祭りその十二
「お前はそうした時何もしないでいられるか」
「無理よね、それって」
一華は深く考える顔になって答えた。
「やっぱり」
「そうだよね」
「ええ、どうしてもね」
「そうだよね、そんな状況に陥ったら」
「阪神がそうなったら」
「実際に潰れたチームってあるよ」
日本のプロ野球の歴史にはだ。
「西日本パイレーツとかセネタースとか」
「セネタースって聞いたことあるわ」
「大下さんがいたんだ」
大下弘である、西鉄野武士軍団において四番を務め青バットで人気を博した昭和二十年代から三十年代のスター選手だ。
「あの人がいたんだ」
「そうしたチームね」
「毎日新聞もチーム持ってたし」
「あそこもなのね」
「それでトンボユニオンズとかね」
「そのチームも聞いたことあるわ」
「それで松竹ロビンスも」
「松竹は映画会社ね」
「昔は鉄道会社と映画会社がチーム持ってたから」
昭和二十年代からのことだ。
「そこに新聞社もね」
「入ってたのね」
「今万年最下位の巨人と」
新聞社が親会社のチームはというのだ。
「その毎日と中日で」
「親会社が新聞社ね」
「そこにその松竹と大映と東映だね」
「東映が日本ハムになったのよね」
「そうそう、それで鉄道会社は」
野球チームを持っていたそれはというのだ。
「阪神、阪急、南海、近鉄、西鉄、国鉄だったんだ」
「もう殆どその三つの系列だったのね」
「大洋と広島位だったんだよ」
「親会社がその三つの系列でないのは」
「それでその中で」
「結構チーム潰れていってるのね」
「そうなんだ」
達川は一華に真面目な顔で話した。
「絶対にないなんてね」
「言えないわね」
「巨人の元オーナーなんか一リーグ制企んで」
「ああ、巨人以外のチーム幾つか潰そうとしたのよね」
「こんなのもいるから」
一華に嫌そうな顔で話した。
「今でこそ巨人ああでね」
「親会社も何も言えないわね」
「そんな恰好悪いチームになったけれど」
「昔は球界の盟主でね」
「そう自称していてね」
それでというのだ。
「かつてはね」
「やりたい放題やっていたのよね」
「そうだったんだ」
まさにというのだ。
「あのチームはね」
「それでオーナーもそう考えて」
「碌でもないことばかりして」
そうしてというのだ。
「それでね」
「本当にチーム幾つか潰そうとしたのよね」
「ホークスなんかね」
福岡を拠点とするこのチームはというのだ。
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