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ハッピークローバー

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第五十二話 体力があるのでその九

「あれよ、モヒカンがバイクで走り回っている」
「世紀末な世界ね」
「そうした状況よ」
「そこまで治安が悪いと」
「そんな治安が悪いところなんてね」
 それこそというのだ。
「流石によ」
「今の日本にはないわね」
「終戦直後大阪も神戸も酷かったらしいけれどね」
 その治安がというのだ。
「特に神戸がね」
「何かあの組の三代目さんも」
「あの人ね」
「芸能界にも進出していた」
「あの人有名よね」
「神戸の治安があんまりにも悪くなって」
 終戦直後はだ。
「警察がボロボロで」
「もう何もかもがね」
「それで変な人達が暴れ回っていて」
「善良な人達が困っていたのよ」
「そうよね」
「そこであの人がね」
 戦後のアウトローの歴史に名を遺す三代目と言われている人物がだ。
「自警団結成して」
「神戸の人達守ったのね」
「そこから名を挙げて」
「あそこまでなったのね」
「今もお年寄りの人が知ってるわ」
 当時にいた人達がだ。
「その頃の神戸のことはね」
「それ事実なのね」
「そうよ」
 その通りだというのだ。
「私も聞いたから」
「いいこともしてたのね」
「やばいお話もあるけれどね」
 その人物にはというのだ。
「それでもね」
「そうしたこともしていたのね」
「そうなの、それでその頃みたいでもないと」
 それこそというのだ。
「日本はね」
「治安いいわね」
「昔からね」
「江戸時代なんか特によね」
「時代劇みたいにね」 
 理虹は伝統あるこのジャンルの話もした。
「しょっちゅう辻斬りとか夜盗とかが出るみたいな」
「そんな物騒なのじゃなかったわね」
「江戸の町なんか本当に平和で」
「忠臣蔵みたいなのあったら大騒ぎよね」
「だから大騒ぎになったのよ」
 忠臣蔵の赤穂浪士の討ち入りはというのだ。
「江戸市中で刀抜いて大暴れして」
「人殺したから」
「もうあの時点でね」
 人を殺してではない、刀を抜いてだ。幕府は江戸市中で刀を抜けばそれだけで切腹していたのである。江戸城は言うまでもなかった。
「アウトだったし」
「全員切腹だったのね」
「むしろ助けてくれっていう声が出た方がね」
 林大学頭等幕府の要人からも来た。
「凄いのよ」
「そうだったのね」
「あれが普通じゃなかったことが」
 江戸市中で刀を抜くことがだ。
「江戸の町がどれだけ治安がよかったか」
「そういうことよね」
「イギリスから来た子が言ってたわ」
 理虹は今度は友人からの話を妹に対して紹介した。
「当時のイギリス、ロンドンじゃね」
「日本で言うと江戸時代の」
「切り裂きジャックが出たし」
「あの殺人鬼ね」
 その正体は今もわかっていない、諸説あるがだ。 
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