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イベリス

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第八十一話 教師の質その一

                第八十一話  教師の質
 父が家に帰るとだった、父は自分のスマートフォンでヤクルトの試合を観ながらしきりに頷きつつ言った。
「やっぱりいい監督やコーチがいるとな」
「チームはよくなるわね」
「ああ、昔な」
 父は勉強を終えてくつろいでいる咲に話した。
「チェックポイントが三十七あるとか言ってな」
「チェックポイント?」
「そんなことを言って選手を何処がどう悪いか惑わせてな」 
 そうしてというのだ。
「駄目にするコーチがいたんだ」
「そうなの、それってね」 
 咲は父の話を聞いて言った。
「中学校の時に授業中当てて答えさせて」
「授業だといつもあるな」
「それでそれでは三十点とか二十点とか」
「低い点で駄目出ししてだな」
「絶対に褒めないで」
 そうしてというのだ。
「強引に自分が決めた教科書の範囲まで進めて口癖が遅れてる」
「ああ、そんな先生いるな」
 父もそれはと答えた。
「それは生徒に教えるんじゃなくてな」
「それが授業なのに?」
「自分がしたい様にな」
「授業やってるだけなの」
「自分本位でな」
「生徒に理解してもらう気がないのね」
「そんな先生だな」
 こう咲に話した。
「お父さんの中学の時もいたな」
「そんな先生が」
「あと生徒に言わずに黒板に向かって数学の回答して書くだけでな」
「それって生徒わからないでしょ」
「だからその先生の授業の評判は悪かったんだ」
 そうだったというのだ。
「わからないってな」
「そうだったのね」
「実は日本は学校の先生の質は悪いからな」
「あれよね、いい鉄は釘にならなくて」
 咲は父に応えて言った、白いティーシャツと膝までの薄茶色の半ズボンが如何にもくつろいでいる感じだ。
「いい人は学校の先生にならない」
「そう言うな」
「そうした先生どころか」  
 咲は父にさらに話した。
「暴力振るい放題のね」
「いるな、そんな先生も」
「そうよね」
「お父さんが学生の頃から全く変わっていないな」
「やっぱりそうなのね」
「昭和の頃からだったらしいな」
 その時からというのだ。
「戦争が終わってな」
「すぐに変な先生だらけになって?」
「もうやりたい放題でな」
 そうした教師達がというのだ。
「辞めさせられもしない」
「だからどんなに教えるのが下手でも残って」
「そして暴力を振るってもな」
 性犯罪や汚職も同じであることは言うまでもない。
「辞めさせられないで残るからな」
「普通のお仕事だとクビでも」
「懲戒免職の後刑事告訴されてもな」
 他の職業の世界ならそうなってもというのだ。
「普通にやっていけるからなんだ」
「酷い先生が残るのね」
「そして生徒が迷惑するんだ」
「そのコーチみたいな人も残るのね」
「この人は流石に悪評が立ってな」 
 選手を惑わし駄目にしていく所謂潰し屋としてだ、名球会に入った人物だが指導者としては失格だったということか。 
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