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第四十九話 ラフな格好をその一
第四十九話 ラフな格好を
この日かな恵はアルバイトは休みだった、正確に言えば営業自体はしているがかな恵は休みだったのだ。
それで部活にそのまま出ていたが。
部活の時にだ、先輩にこう言われた。
「貴女また胸大きくなってない?」
「そうですか?」
「ええ、私も大きいけれど」
見ればその先輩も大きい、白い肌に黒い波がかった長い髪の毛と彫のある顔立ちで目は黒だ。背はかな恵より小さいがかなりのスタイルだ。
「貴女もね」
「テバルディ先輩の方が大きいですよ」
かな恵はその先輩の名を呼んで返した。
「絶対に」
「そうかしら」
「ミラノじゃ皆そうかしらって思う位に」
「私以外のミラノの人に会ったの?」
「いえ、会ってないですが」
それでもとだ、かな恵は先輩にエプロンを着けつつ応えた。
「先輩を見ていて」
「そんな筈ないでしょ、ミラノだって」
「胸のない人おられますか」
「貴女が会ったミラノ人ってどれだけおられるのかしら」
「実は一人です」
「私だけなのね」
「イタリアの人もこの学園にはおられて」
かな恵はさらに話した。
「ローマやナポリやジェノヴァの人達にはお会いしてますが」
「ミラノは私だけなのね」
「実は」
「それじゃあそう思わないことよ、ミラノの人も色々よ」
「胸が大きい人がいれば」
「小さい人もね」
まさにというのだ。
「本当に色々なんですね」
「顔立ちも身長もね」
そういったこともというのだ。
「それに白人が多いから」
「イタリアですからね」
「欧州の国だからね」
それ故にというのだ。
「髪の毛や目の色もよ」
「それぞれですね」
「私は黒い髪と目だけれど」
それでもというのだ。
「ブロンドや茶色の髪の人もいるし」
「目も同じですね」
「青や緑の人もいるわよ」
「そうなんですね」
「だから言えないわよ」
「そういうことですね」
「そこ覚えておいてね」
「わかりました」
かな恵は素直に頷いて応えた。
「このことを覚えておきます」
「そうしてね、それで今日のお料理は冷麺ね」
「韓国のですね」
「緑豆使った麺の」
「あれいいですよね」
その緑豆を使った麺についてだ、かな恵は言った。
「凄いコシで」
「そうですよね」
「日本に来るまで食べたことなかったわ」
「あっちじゃないですか」
「イタリアではね」
ミラノに限らずというのだ。
「ちょっとね」
「そうですか」
「けれどね」
それがというのだ。
「食べてみてね」
「美味しいですよね」
「あれもね、特に今の季節は」
夏はというのだ。
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