英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~
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第147話
前書き
今年最後の更新です
鳳翼館に到着した後支配人にエイドス達の事を訊ねると、昼食を取っているとの事だったのでエイドス達が昼食を取っている場所へと向かった。
~メンフィル帝国領・温泉郷ユミル・鳳翼館・宴会場~
「ゴク……ゴク……―――ん~♪お昼に呑むお酒は贅沢で最高ですね♪」
「全く持ってその通りだな。」
「フフッ、相変わらず総長とも並ぶ呑みっぷりだねぇ♪」
「感心している場合やないやろが、ワジ……」
「お願いしますから、これ以上御身の信者達が幻滅するような事をしないで下さい……」
「それとアインも同意せず、総長ならエイドス様をお止めしてよ……」
グラスに注がれてあるお酒を一気飲みして幸せそうな表情を浮かべたエイドスの言葉に女性が同意している中、その様子を見て感心しているワジにケビンは疲れた表情で指摘し、リースとルフィナはそれぞれ頭を抱えながら指摘した。
「もう、この娘ったら……お酒を飲むのは別に構わないけど一気飲みなんて、はしたないわよ。」
「フフ、こういった場だからこそ一気飲みができるんですよ、お母様♪あ、すみませーん!ビールのお代わりをお願いしまーす♪」
「こちらもビールのお代わりを頼む。」
呆れた表情を浮かべたフィーナの指摘に微笑みながら答えたエイドスは女性と共に宴会場の隅に控えている従業員を呼んで注文をし
「ハハ、確かにエイドスの言う事も一理あるね。」
「そうですね。”巨イナル黄昏”が発動してからずっと現在のゼムリア大陸の為に活動し続けてようやく一区切りついた所ですから、決戦前に息抜きをするのは悪い事ではありませんものね。」
「エイドスを甘やかさないで下さい、アドルさん、エレナさん。エイドスは女神なんですから、自分自身が人々にとってどんな存在であるかを自覚させませんと。」
「どうせエイドスの事だから、そんな殊勝な自覚なんてとっくの昔に捨てていると思うの。」
「そうね。そもそもそんな殊勝な自覚があったら、私達の事を年寄り呼ばわりする事もそうだけど、”ただの新妻”を自称したりしないでしょうからね。」
「アハハ……クレハ、エイドスさんに年寄り呼ばわりされた事、まだ根に持っているんだ……」
エイドスの意見に同意したアドルとエレナにフィーナは呆れた表情で指摘し、それぞれジト目でエイドスを睨むノイとクレハの言葉を聞いたナユタは冷や汗をかいて苦笑していた。
「………おい、真っ昼間から酒を一気飲みしているあの女がマジで本物の”空の女神”なのかよ?」
「ああ………残念ながらな。」
「マジかよ……あんなのが空の女神とか、世も末だな、オイ……」
「えっと……確かにティータさんの仰っていた通り、親しみやすそうな性格な方ですね。」
「そうですね……ただ、今まで私達が抱いていた”空の女神”のイメージが悪い意味で裏切られてしまいましたけど………」
「ハハ、あのエステルの先祖だけあって、早速俺達の度肝を抜いてきたな。」
「あんたは……!」
「ええええええええええっ!?な、何でここにいるの~!?」
「教官とミリアムは一体何に驚いているんだ……?」
一方エイドス達の様子を固まって見ていた後我に返ったアッシュはジト目で訊ね、アッシュの疑問にマキアスが疲れた表情で答えるとクロウは呆れた表情を浮かべ、セドリックは言葉を必死に選びながら答え、セドリックの感想に同意したエレインは疲れた表情で頭を抱え、ジンは苦笑している一方女性に気づいて驚いているサラとミリアムの様子が気になったガイウスは不思議そうな表情を浮かべ
「おや、どうやら私達――――――いや、ケビン達や貴女への”客”が来たようだな。」
「へ………――――――!ハハ、皇子達の他にも懐かしい面子まで揃っているやんか。」
「……お久しぶりです。」
アリサ達に気づいた女性はアリサ達へと視線を向けて答え、女性の言葉に呆けたケビンはアリサ達の中にいるかつて共に行動をしたオリヴァルト皇子やシェラザード達に気づくと懐かしそうな表情を浮かべ、リースは静かな表情で会釈をした。
「えへへ、お久しぶりです、ケビンさん、リースさん!」
「こうして会うのは”影の国”以来になるな。」
「フム、ティータ君達や殿下の知り合いの様子から察するに”リベールの異変”の際に知り合った方達ですか?」
「ああ。まあ、厳密に言えばリース君と初めて知り合ったのは”影の国”だが……」
「……そちらのケビン神父達と同じ星杯騎士と思われる女性に関しては俺達も初対面だ。」
「フフ、まさか貴女様のような”大物”までいらっしゃるとはわたくしも正直驚きましたわ。」
「へ?シャロンはその人の事を知っているの?」
ティータは嬉しそうな様子で、アガットは口元に笑みを浮かべてそれぞれケビンとリースに挨拶をし、二人の様子を見て状況を察したアンゼリカの推測にオリヴァルト皇子は頷き、ミュラーは自分達にとっても初対面となる女性を真剣な表情で見つめ、苦笑しながら女性を見つめて答えたシャロンの言葉が気になったアリサが不思議そうな表情で訊ねた時
「其方に対してのシャロン殿の”大物”と言う言葉……そして其方から漂う尋常ならざる気配から察するに、其方は”星杯騎士”を束ねる”長”なのではないか?」
「ええっ!?”星杯騎士を束ねる長”って事は……!」
「アンタが星杯騎士団の”総長”にしてかの”紅耀石”のようね。」
「ほう………さすがは”エレボニア最高の剣士”と称されている武人だな。――――――如何にも。私の名はアイン・セルナート。守護騎士第一位にして星杯騎士団を束ねる”総長”だ。」
女性を見つめながら答えたアルゼイド子爵の推測を聞いたエリオットは驚き、セリーヌは真剣な表情で女性を見つめ、女性はアルゼイド子爵の推測に感心した後自身が星杯騎士団を束ねる総長にして守護騎士第一位”紅耀石”アイン・セルナートである事を答えた。
「ふえっ?” 紅耀石”って確か以前サラ教官が言っていた………」
「ええ。” 紅耀石”の君ってのは彼女の事よ。ついでに説明すると娯楽小説の”カーネリア”の主役のモデルとなった人物よ。」
「という事はあの娯楽小説の主役のモデルを務めた人物は貴女なのですか………」
「………前々から疑問に思っていたけどあんた達の存在がバレるかもしれないのに、よくあの小説の存在を見逃しているわよね?」
「セ、セリーヌ。そういう事はせめて本人に聞かないで周りの人達に聞くべきよ……」
ある事に気づいたトワの言葉にサラは頷いて答え、サラの説明を聞いたラウラは呆けた表情でセルナート総長を見つめ、呆れた表情で疑問を口にしたセリーヌにエマは冷や汗をかいて指摘した。
「まあ、あれくらい芝居がかかった内容ならかえって良い目くらましやって事で見逃しているんや。ヒロインが死んだとかいうのも適当な攪乱情報になっとるし。」
「それに”実物”を知ったら、あの小説に出てくるヒロインと大違いって事はわかるだろ?」
「―――少なくてもあの小説のヒロインはこんな物は吸わないだろうな。」
苦笑を浮かべたケビンとからかいの表情を浮かべたワジの説明の後にセルナート総長は煙草を吸った後にすぐに煙を吐き、それを見たアリサ達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「ううっ、最近今まで抱いていた空想の人物のイメージが壊され続けているわ……しかも揃いも揃って七耀教会の関係者ばかりだし。」
「フン、崇めている女神が”アレ”なのだから”今更”な話だ。」
「そだね。しかも世界中が大変な今の時期で揃って呑気に”慰安旅行”をしているんだから、まさに似た者同士だね。」
疲れた表情で呟いたアリサの言葉に対して鼻を鳴らして冷静に答えたユーシスの言葉に頷いたフィーはジト目でエイドス達を見つめた。
「”アレ”ってなんですか、失礼な……!一応ゼムリア大陸にとっては”唯一神”扱いされているんですよ、私は。」
「あの……”一応”をつける必要はないかと思われます。」
「そこで怒るくらいなら、自分がゼムリア大陸にとってどんな存在なのかを自覚してその存在に相応しい振る舞いをしなさいよ……」
顔に青筋を立てて反論したエイドスにルフィナは疲れた表情で、フィーナは呆れた表情でそれぞれ指摘した。
その後落ち着いた状況で話し合う為にロビーに移動してオリヴァルト皇子達は自分達がエイドス達を訊ねた事情を説明した。
~ロビー~
「ほう。エレボニアがメンフィルの要求を全面的に呑む形で連合との戦争は和解したという情報は入っていたが、まさかリベールがそのような平和条約を提唱し、更には連合、エレボニア、レミフェリアが承諾済みとはな。」
「で、その”ゼムリア連合”の抑止力を高める為に調印式にエイドスに立ち会ってもらう依頼と、そのついでに”ハーメル”の件を公表した後のリベールとエレボニアのフォローをエイドスにしてもらう為にここに来たってワケか。」
「う、う~ん、教会としては”不戦条約”以上に戦争勃発を阻止する効力を発揮すると思われる”ゼムリア連合”自体は賛成やし、抑止力を高める為に調印式にエイドスさんに立ち会ってもらいたい事も理解できるけど、政治への不干渉を貫いているエイドスさんの意志に反する事をするのはすぐには頷けへんねんな……」
「調印式の立ち合いの件は個人的にはまだ許容レベルだと思うけど………”ハーメルの惨劇”公表後のリベールとエレボニア、両国の王家・政府を庇う宣言をエイドス様にさせるのはその許容レベルを超えていると理解していて、エイドス様に依頼をしに来たのですか?」
事情を聞き終えたセルナート総長とワジは興味ありげな表情を浮かべ、ケビンは疲れた表情で溜息を吐いた後複雑そうな表情を浮かべ、ルフィナは静かな表情で呟いた後真剣な表情でオリヴァルト皇子達に問いかけた。
「はい。」
「どうか戦後のエレボニアとリベール、”ハーメルの惨劇”公表後に起こる可能性が高いそれぞれの混乱を最小限に抑える為にもどうかお力添えをお願いします、エイドス様……!」
「お願いします!」
ルフィナの問いかけにオリヴァルト皇子は頷き、セドリックは頭を深く下げて嘆願し、セドリックに続くようにオリヴァルト皇子達もそれぞれ頭を深く下げて嘆願した。
「……いかかされますか、エイドス様。」
「…………………………調印式の立ち合いの件は一端置いておくとして、”ハーメルの惨劇”公表後のリベールのフォローは承諾しても構いませんが、エレボニアのフォローは現時点では承諾できませんね。」
「そ、そんな……どうしてですか!?」
「その………リベールのフォローの件に関しては何故承諾して頂けるのか伺ってもいいでしょうか?」
複雑そうな表情を浮かべたリースの問いかけに少しの間目を伏せて黙って考え込んだエイドスは目を見開いて答え、エイドスの冷たい答えにエリオットは悲痛そうな表情を浮かべて訊ね、エマは複雑そうな表情である事を訊ねた。
「リベールは”ハーメルの惨劇”という”冤罪”を押し付けられて戦争を仕掛けられた事で完全に”被害者”なのですから、その”被害者”であるリベールがエレボニアによる”ハーメルの惨劇”公表後に起こりうる混乱を鎮めるのは私の”義務”であるからです。エレボニア(あなたたち)が”ハーメルの惨劇”を公表する事を決めた理由の一端は私にもありますからね。」
「………それは………」
エイドスの説明を聞いたラウラは複雑そうな表情で答えを濁し
「それに私、以前連合との戦争の和解の件で貴方達が私に依頼しに来た時に言いましたよね?”ハーメルの惨劇”の”償い”すらも行っていないエレボニアに最初から協力するつもりはないと。私がエレボニア(あなたたち)の今回の依頼に承諾できない一番の理由はエレボニアはハーメルの”償い”を未だ実行していないからですよ。」
「”ハーメル”の”償い”なら既にする事が決まったのに、そっちからしたらまだ足りないの~?」
「”ハーメル”の件で一番迷惑をかけたリベールも賠償金の支払いで納得したのに、アンタは何が不満なんだよ!?」
「二人とも口を慎みなさい!今のあたし達は空の女神に嘆願する側なのに、その嘆願する側がそんな態度を取っていいと思っているの!?」
エイドスの指摘に対して不満げな表情を浮かべて答えたミリアムと怒りの表情を浮かべたアッシュに対してサラが注意し
「ぶ~~~……」
「クソッ………!」
サラの注意に対してミリアムは頬を膨らませ、アッシュは悪態をついた。
「も、申し訳ございません、エイドス様……!」
「別に私はあまり気にしていないからいいですけどね………話を戻しますが、私が”ハーメル”の件でエレボニアに求める”償い”とは2度と”ハーメルの惨劇”のような愚かな所業を起こさない為に必要な”痛み”です。」
「”ハーメルの惨劇のような所業を起こさない為に必要な痛み”とはどういう事なのでしょうか?」
トワの謝罪に対して呆れた表情で軽く流した後に説明をしたエイドスの話を聞いて新たな疑問を抱いたアルゼイド子爵は真剣な表情で訊ねた。
「簡単に言えば、今回の戦争でエレボニア帝国が敗戦した事によって呑まざるをえなくなったメンフィル帝国がエレボニア帝国に求めた賠償条約のような自分達の過去の所業を後悔し、反省させる方法です。」
「フム、要するに”ハーメル”の件に対するエレボニアへの”処罰”という訳か。」
「なるほどな……犯罪者が自分が犯した罪に対する”処罰”を受ける事で自身の罪を後悔し、2度と犯罪を犯さなせないように反省させる事と同じようなものか。」
エイドスの話を聞いてエイドスの言いたい事を察したセルナート総長は納得した様子で呟き、ジンは複雑そうな表情で呟いた。
「ええ。リベールへの”償い”にしても、戦後のエレボニアの国営の支障にきたさせない為に賠償金は一端メンフィル帝国がエレボニア帝国の代わりに支払ってくれるのでしょう?私個人からすれば、自分達の都合のいい形で賠償金を支払う事のどこが”痛み”になるのかと思っています。」
「…………………………」
呆れた表情を浮かべたエイドスの指摘に対して反論の言葉がないセドリックは辛そうな表情で黙り込んだ。
「まあ、リベールはその方法で納得しているとの事ですから”ハーメル”の件でのリベールへの”償い”はそれでいいとしても………亡くなったハーメルの民達への”償い”もそうですが、”エレボニアという国”が2度と”ハーメルの惨劇”のような愚かな所業を犯させない為に必要な処罰を実行することを約束しなければ、”ハーメルの惨劇”公表後のエレボニアへのフォローの依頼を承諾するつもりは一切ありません。」
「な、亡くなったハーメルの民達への償いにエレボニアが受けなければならない”処罰”って……」
「…………………………」
「処罰はともかく、死んだ人達にどうやって償えばいいのかしら?」
エイドスの話を聞いたアネラスは信じられない表情を浮かべ、アッシュは複雑そうな表情で黙り込み、シェラザードが複雑そうな表情で訊ねたその時
「――――――でしたら、エイドス様が望む”ハーメル”の件に対して行わなければならないエレボニアの”償い”を実行すれば、エイドス様は”ハーメルの惨劇”公表後リベールもそうですが、エレボニアの混乱を最小限に抑える為にそれぞれの王家と政府を庇う声明を出す事を約束して頂けるのでしょうか?」
「オリビエ………」
オリヴァルト皇子が決意の表情を浮かべてエイドスに問いかけ、その様子を見たミュラーは複雑そうな表情を浮かべた。
「ええ。”イース”と私が最も敬愛している母フィーナと叔母レアの名に誓って約束致します。」
「エイドス………」
「…………………」
エイドスの宣言をアドルが静かな表情で見守っている中フィーナは目を伏せて黙り込んでいた。
「――――――最も、私が望む”償い”を戦争前のメンフィル帝国が要求してきた賠償内容が惨い内容だと感じていたり、リベールへの”償い”の方法で既にハーメルや”百日戦役”の償いとしてエレボニアは自らを苦しめていると思っている貴方達が受け入れる事ができるとは到底思えませんが。」
「そういう言い方をするって事は異世界の連中みたいにアンタの時代――――――”暗黒時代”よりも遥か昔のゼムリアの慣習に沿った方法なのかしら?」
エイドスが口にした忠告を聞いてある事を察したセリーヌは複雑そうな表情で確認した。
「別に誰かを処刑したり、どこかの勢力に莫大な賠償金を支払え等といった事は求めていません。私自身の感覚からすれば”当然の事”しか求めるつもりはありませんよ。」
「エイドスさん個人の感覚からすれば”当然の事”ですか………」
「………それでエイドス様が求めるエレボニアの”償い”の具体的な内容を教えていただけますでしょうか?」
エイドスの答えを聞いて不穏な空気を感じ取ったエレナが複雑そうな表情で呟いた後セドリックは真剣な表情で訊ねた。
「私が求めている”ハーメル”の件に対するエレボニアの”償い”は大きく分けて4つです。一つ目は”ハーメルの惨劇”によって亡くなった”ハーメル”の民達全員分のお墓をハーメル村跡に建て、”ハーメルの惨劇”を決して忘れず未来永劫語り継がせる為にもエレボニア皇家と政府の方々はエレボニアという国が滅亡するまで永遠に毎年彼らのお墓参りをしてあげる事です。特にエレボニアの”皇”はその日は必ず出席する事、そしてお墓は慰霊碑等ではなく、個人のお墓にしてあげる事です。」
「確かに死んだ人達のお墓を建ててあげる事もそうだけど、お墓参りを欠かさない事も当然の事なの。」
「そうだね………ただ、それで虐殺された”ハーメル”の人達が許してくれるかどうかはわからないけど……」
「…………………」
「承知しました。ハーメル村跡にハーメルの民達の墓を建てる事もそうですが、”ハーメルの惨劇”が起こった日に毎年国を挙げて、”ハーメル”の民達に対する追悼をする事を父上に進言し、実行する事をお約束致します。」
「僕も”帝位継承者”として必ず実行する事をお約束致します。」
エイドスの要求を聞いて納得した様子で呟いたノイの言葉に頷いたナユタは辛そうな表情で呟き、アッシュが目を伏せて黙り込んでいる中オリヴァルト皇子とセドリックが答えた。
「二つ目はエレボニアは他国の領土を手に入れる為の暗躍を2度としない事です。なお期間は永遠で、当然その中には”ハーメルの惨劇”のような自作自演の暗躍も入っています。」
「”ハーメル”の件を含めたエレボニアの過去の所業を考えれば今は信じてもらえないでしょうが、私達皇族は”ハーメルの惨劇”を今でも後悔していますし、私やセドリック自身2度とあのような悲劇を繰り返す事を許せませんし、個人としても暗躍をして他国の領土を手に入れるというやり方も許せません。」
「それにエレボニアは”ゼムリア連合”に調印すると決めたのですから、暗躍や戦争も含めて2度と他国の領土を得るような事は行うつもりは一切ありません。」
「貴方達自身がそうであっても、貴方達の子孫まで代々貴方達の決意を受け継ぎ続けるかどうかはわかりませんから、二つ目の条件に関しては破った場合”処罰”を七耀教会に実行してもらいますが、それでもいいのですか?」
「や、破った場合に発生する”処罰”ですか……?」
「しかも七耀教会に”処罰”を実行してもらうという言い方から察するに………まさかとは思うけどケビンさん達――――――”星杯騎士団”が動く事態になるのかしら?」
自身が口にした二つ目の要求に対してそれぞれ決意の表情で答えたオリヴァルト皇子とセドリックに対してエイドスがある問いかけをするとエイドスの問いかけの内容が気になったティータは不安そうな表情を浮かべ、ある事を察したシェラザードは複雑そうな表情で訊ねた。
「ええ。まあ、処罰の内容を考えたらどちらかというと”星杯騎士団”よりも”隠密僧兵部隊”の方が向いていますし、彼らも彼ら自身や彼らの”上”の為にも星杯騎士団よりも先に動く可能性も十分考えられますが。」
「エイドス様、皇子達の前でその名前を出すのは……!」
「ちょっ、エイドスさん!?さり気なく教会の秘匿事項を口にしないでくださいよ……!?」
「”隠密僧兵部隊”って何?」
「あたしも聞いたことがないけど、星杯騎士の反応からして多分”星杯騎士団”のように公にはされていない教会の”裏の組織”じゃないかしら?」
「それも”星杯騎士”の不良神父達があそこまで慌てているという事からして、星杯騎士団よりもヤバイ組織かもしれねぇぞ。」
エイドスが口にしたある存在を耳にしたルフィナは真剣な表情で、ケビンは慌てた表情で声を上げ、不思議そうな表情を浮かべているフィーの疑問にサラは真剣な表情で、アガットは厳しい表情でケビン達を見つめながら推測した。
「まあ~、”隠密僧兵部隊”はヤバイというよりも教会が一枚岩でない事を示しているような組織だから、ボク達にはあんまり知られたくないから”隠密僧兵部隊”の名を出したくなかったんだと思うよ~?」
「”隠密僧兵部隊”とは”典礼省”直属の武装組織である”僧兵庁”の指揮下にある隠密行動に特化した部隊なのですわ。」
「何故お二人が”彼ら”についてそこまで詳しい事情を……」
「その二人なら別に知っていてもおかしくあるまい。何せ”情報局”所属かつ鉄血の子供達と”蛇”の”執行者”だった者達なのだからな。」
「ああ、そういえばそっちのメイドは確か元結社の”執行者”で、もう一人の方は”黄昏”発動の”贄”にされた後副長やロジーヌもそうだけど、”Ⅶ組”や”魔女”の一族の協力によって蘇生した”白兎”だったね。」
ミリアムとシャロンの説明を聞いたリースが驚いている中冷静な様子で答えたセルナート総長の話を聞いたワジはある事を思い出してシャロンとミリアムを見つめた。
「そ、それよりもまさか星杯騎士団”以外にも七耀教会の武装組織が存在していたなんて驚きましたね……あれ?だとしたらそれが何で”教会が一枚岩でない事”を示している事になるんですか?」
「確か”星杯騎士団”の所属は”封聖省”だから、その関係で派閥争いとかをしているんじゃねぇのか?」
驚きの表情で呟いた後首を傾げたアネラスの疑問にクロウが真剣な表情で推測を口にし
「その通りだ。元々”星杯騎士団”と”僧兵庁”は方針もそうだが戒律や組織図等の関係で対立する事が多く、”隠密僧兵部隊”は”星杯騎士団”に対抗する為に結成された武装組織だ。その為、”隠密僧兵部隊”も星杯騎士団と同様に古代遺物の回収もそうだが外法認定された者達の抹殺を行う事もあるし、守護騎士の聖痕に対抗する力も開発しているという話も耳にしている。」
「守護騎士の聖痕に対抗する力を開発しているって………」
「ちょ、ちょっと信じられないですよね……?あんな凄まじい力に対抗する力を開発しているなんて……」
「ハッ、その内教会内でエレボニアの時みたいに内戦が勃発するんじゃねぇのか?」
セルナート総長の説明を聞いたシェラザードとティータは信じられない表情で呟き、アッシュは鼻を鳴らしてセルナート総長達に対して皮肉を口にした。
「というか崇めている女神どころか、星杯騎士団の”総長”が教会の秘匿事項を思いっきりバラすとか滅茶苦茶なの。」
「まあ、アインさんが説明をしたのは彼らの仲間も既に知っているのだから隠す意味もないから説明をしたのだと思うわ。」
「そもそもエイドスさんが”隠密僧兵部隊”の名を口にしなければよかった話なんだけどね……」
ジト目で呟いたノイの言葉に続くようにクレハは静かな表情で答え、ナユタは疲れた表情で答えた。
「話を戻しますがもしエレボニア帝国による暗躍で他国の領土を手に入れた事が判明した際は直ちにその国に返還すると共に賠償をし、暗躍をした者達を”外法”扱いし、七耀教会の皆さんに”狩って”もらいます。当然例外は認めませんので、その暗躍をした者達が貴族や皇族であろうと例外なく”外法認定”し、七耀教会の皆さんに”狩って”もらいます。」
「げ、”外法認定”にか、”狩る”って事は……!」
「”星杯騎士団”や”隠密僧兵部隊”の連中が暗躍をした連中を”処刑”するって事ね……!」
エイドスが口にした非情な答えを聞いたアネラスは信じられない表情を浮かべ、サラは厳しい表情で呟き
「クク、そんなに驚く必要はあるまい。何せ女神に”救い”を求めていながら、女神がその求めに応じる代わりに出した条件を破る――――――つまり、”空の女神を謀るという大罪”を犯した者達は”空の女神”を崇めている七耀教会に”外法認定”されて当然だろう?」
「わかっているとは思うけど素直に引き渡さへんかったら、何らかの方法で”暗殺”させてもらうで。何せ”空の女神”直々の勅命とあらば、絶対に守らないとダメやからな。」
「ケビン………」
「…………」
「ま、空の女神の出した条件を守らないなんていう怖いもの知らずな事をしないとは思うけど、もし本当にした場合は容赦なく狩らせてもらうよ。」
セルナート総長は不敵な笑みを浮かべて指摘し、冷酷な笑みを浮かべて忠告するケビンの様子をリースは心配そうな表情で見つめ、ルフィナは目を伏せて黙り込み、ワジは真剣な表情で忠告し
「……ッ!エイドス様は女神なのに人の命を奪う事に何も思わないのですか!?」
「綺麗事や理想だけで世界は平和になりませんし、”大罪”を犯した者にはその命を持って償ってもらわなければその者によって被害を受けた者達が納得しません。――――――これは私自身の途方もない年数を過ごした経験によって悟った”現実的な考え”です。綺麗事や理想を目指す事は否定しませんが、”時と場合によっては諦めなければならない事”は今回の戦争で貴方達も理解したはずでしょう?現に貴方達のかつての仲間がエレボニアの為に貴方達と共に抱いていた綺麗事や理想を捨てて現実的な方法で先日の大戦を終結に導いたと聞いていますよ。」
「………リィン達がメンフィル帝国内で名声を得てその名声によってエレボニアを存続させる為にメンフィル帝国軍に所属した件やリィンが学院長を討って大戦を終結させた件か……」
「それは………」
「………………」
「………ッ!」
「お嬢様……」
「リィン達は”かつてじゃなくて、今もボク達の仲間”なんですけど~!」
「というかその”綺麗事や理想を現実にできる力”が実際にある空の女神自身が否定するのは間違っているし、筋が通らないと思うんだけど。」
アリサの反論に対して答えたエイドスの非情な答えに対して心当たりがあるユーシスは重々しい様子を纏って呟き、ユーシスの言葉を聞いたラウラは複雑そうな表情で答えを濁し、トワは辛そうな表情を浮かべて黙り込み、アリサは辛そうな表情で唇を噛み締め、その様子をシャロンは心配そうな表情で見つめ、ミリアムは不満そうな表情で反論し、フィーは厳しい表情でエイドスにある指摘をした。
「リベールで初めてお会いした時にも伝えましたように、私は”女神としての最後の務め”を果たした後は”普通の人として生きている”のですからそのような力はもう残っていませんし、例え残っていたとしても2度と振るうつもりはありません。”碧の大樹”の件にしてもあくまで特務支援課の皆さんの”協力者”の一人として協力しただけで”奇蹟”の類は使っていませんし、霊脈への結界もそうですが遮断の件も私達が扱える結界や封印系統の魔法を使っただけです。人々が”堕落”する要因になりかねない”奇蹟”は貴方達からすれば遥か昔の祖先達に授けた”七の至宝(セプト=テリオン)が最後です。”」
「……………………わかりました。未来の子孫達の為にも必ずエイドス様が出した条件を決して破らない事を子孫へと語り継がせる事をお約束致します。話を戻しますが3つ目の条件とはどういうものなのでしょうか?」
フィーの指摘に対してエイドスが答えるとオリヴァルト皇子が重々しい様子を纏って答えた後続きを促した。
「3つ目は現エレボニア皇帝ユーゲント・ライゼ・アルノールへの”処罰”です。」
そしてエイドスはオリヴァルト皇子達にとって驚愕の要求を口にした――――――
後書き
今年はエウシュリー新作の情報が出ませんでしたけどエウシュリーのサイトで最近のエウシュリー作品の絵を担当しているっぽい人の絵で戦女神2のキャラクターが描かれたイベントグッズが販売されていましたから、来年はもしかして天秤のようについに戦女神2のリメイクが出るんじゃないかと期待していますwwまあ、本音を言えば戦女神3かVERITA後のリウイ達もしくはリフィア達を主人公とした新作を出して欲しいのですが(オイッ!)それでは皆さん、よいお年を………
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