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透明都市

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第一章

                透明都市
 その街は消える時がある、世界でそう話されていた。
「グーグルのマップからも消える?」
「急に消えるのか」
「そんなことがあるのか」
「嘘じゃないのか」
「人が消えるだけでも信じられないぞ」
「それで街もとは」
「絶対にない」
 こう話されていた。
「間違ってもな」
「一体どの街だ」
「地図に載っていない秘密都市の間違いじゃないのか」
「只の伝説だろ」
「そんなことがあるか」
「有り得ない」
「それだけはな」
 殆どの者がそう言っていた、だが。
 その街がある国家は超大国でありかつ一党独裁の軍事大国であり科学力もかなりのものだ。かなりの秘密国家であり多くの衛星国家とだけ交流を行っている。 
 その為謎が多い、そうした国だからだ。
 否定する者も多かったがこう言う者も多かった。
「あの国だからな」
「そうだな、有り得るな」
「あの国の科学力はかなりだ」
「しかも秘密主義だ」
「色々凄い兵器を隠し持っているという」
「ならそうした街があってもおかしくない」
「実際秘密都市もあったんだ」 
 その国にはというのだ。
「それならだ」
「あの国なら有り得るぞ」
「無闇に否定は出来ない」
「何があるかわからない国だ」
「そんな街があってもおかしくないぞ」
 こう話す者もいた、兎角だった。
 この街のことは否定派も多かったが肯定派も多かった、まさに謎であり科学からだけでなくオカルトからも言われていた。
 その話は当然この国の上層部にも伝わっていた、国家元首である書記長のイワン=フルシネフ大柄で量の多い白髪頭と濃い眉と面長の顔を持っている彼はこの国の象徴ともなっている赤い宮殿の中で側近達に言った。
「世界ではあの街のことが噂になっているな」
「はい、実在するのか」
「実在するにしても何処に存在するのか」
「本当に姿が消せるのか」
「話題になっていますね」
「我々からは言うつもりはない」
 フルシネフは自身の席から述べた。
「一切な」
「言う必要はありません」
「これは国家機密です」
「国家機密を誰が言うものか」
「そんな国はありません」
「まして我が国はよく言われている様にな」
 まさにというのだ。
「秘密主義だ」
「左様です」
「資本圏から人を入れるにしてもです」
「厳密なチェックをしたうえでの入国であり」
「国内にいる間常に監視しています」
「観光客であろうとも」
「我が国の情報の多くは国家機密だ」
 紅茶を飲んでから言った、傍には苺のジャムがある。
「それを漏らすものか」
「全くです」
「ましてあの街は軍事都市であり」
「多くの秘密兵器を開発しています」
「いざとなればです」
「国防にあたって最重要都市となります」
「だからだ」
 その為にというのだ。 
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