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イベリス

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第七十九話 アイスティーその十

「コーヒー、それにね」
「お抹茶にもですね」
「言えるんだと思うわ」
「慣れるとですね」
「美味しく思えるのよ」
 最初は駄目だと思ってもというのだ。
「それでもね」
「そうなんですね」
「お抹茶のアイスとか美味しいでしょ」
「あれいいですよね」
 咲は真顔で答えた。
「あの癖のある感じが」
「いいわよね」
「はい」 
 まさにとだ、先輩に答えた。
「本当に」
「そういうことよ、最初は苦過ぎて」
「駄目だと思っても」
「同時に渋くてね」
「その苦さ、渋さもですね」
「好きになって」
 そうしてというのだ。
「飲む様になるのよ」
「そういうことですね」
「ええ」
 まさにというのだ。
「ああした飲みものはね」
「飲んでいると美味しく感じる様になって」
「何時しか病みつきになるのよ」
「カフェインのせいもありますね」 
 それが何故か、咲はすぐに察して言った。
「やっぱり」
「そうでしょうね」
 先輩もそれは否定しなかった。
「あれも中毒性あるしね」
「よく言われてますね」
「悪く言えば麻薬みたいよね」
「まあ麻薬は問題外ですけれどね」
「ええ、飲むならお茶かコーヒーで」 
 咲にまた笑って話した。
「私としては今はね」
「何を飲まれますか?」
「紅茶で」
 こちらのお茶でというのだ。
「アイスティーよね」
「それ飲まれたいですか」
「ええ」
 その通りだとだ、咲に笑って話した。
 そして実際にアイスティー、ストレートのそれを出してそのうえで咲に対して笑顔で誘いをかけた。
「小山さんもどう?」
「私もですか」
「店長さんから差し入れあるでしょ」
「冷蔵庫にですね」
「そう、お店のね」 
 勤務している者達用のというのだ。
「そこにあるでしょ」
「だからですか」
「飲んだら?紅茶はやっぱりいいわよ」
「飲みやすいんですよね」
「しかも美味しくて」
 それにとだ、先輩は言葉を続けた。
「ビタミンもあるから」
「栄養もありますね」
「だからね」 
 その為にというのだ。
「紅茶もいいわよ」
「それで夏だから」
「アイスでね」
 こちらでというのだ。
「飲みましょう」
「それじゃあ」
「ちなみにヒトラーも紅茶派だったのよ」
「あれっ、あの人ドイツ人ですよね」
 咲は自分の紅茶を持って来てから応えた、咲はミルクティーだった。 
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