高卒の何が問題か

　　　　　　　　　　　　　　　　高卒の何が問題か
　彼女の家に行く時になってだ、レストランでシェフをしている中村慶は心配そうに言った。面長で優しい感じの大きめの目で黒髪は上の部分を伸ばし真ん中で分けている。口は細く小さめで鼻は高い。一七九の背ですらりとしたスタイルだ。
「大丈夫かな」
「大丈夫よ」
　彼女の村上美穂は彼に笑って言った、茶色がかった肩の高さで切り剃れた髪に大きな切れ長の奥二重の睫毛の長い目で眉は細く長い。艶やかな感じの唇と丸めの顔で背は一五五程で胸が結構目立っていてウエストは引き締まっている。
「お父さんもお母さんもね」
「いや、お父さんと大学教授だよね」
　慶は美穂の父のことを話した。
「お母さんも」
「そうだけれど」
「俺高卒だから」　
　学歴を心配して言うのだった。
「大学の先生から見たら」
「何言ってるの、私だってじゃない」
「高卒だって言うんだ」
「そうよ、私もレストランの店員でしょ」
「それでなんだ」
「高卒同士でね」　
　それでというのだ。
「お父さんもお母さんもよ」
「学歴になんだ」
「こだわらないわよ」
「だったらいいけれど」
「兎に角今からね」
「うん、美穂ちゃんのご両親にね」
「紹介するから」
　そうするからだというのだ。
「行くわよ」
「美穂ちゃんのお家にね」
　慶は心配そうにだ、美穂に応えてだった。
　彼女に手を引かれる様にしてその家に行った、そして清潔な感じの一軒家に入れてもらってだった。
　四角く厳めしい顔で白髪の中肉中背の男性と美穂がそのまま歳を取った様な外見の女性が並んで座っていた、まずは美穂がだ。
　彼を紹介し彼も自分で名乗った、高校を卒業してシェフになったことも話したがその話が終わるとだった。
　美穂の両親は笑ってだ、彼に言った。
「娘を宜しくな」
「大切にしてあげてね」
「あの、ですが俺高卒で」
「それがどうしたんだ」
「何か問題あるかしら」　
　美穂の両親は学歴のことを引け目を感じる様に言う彼に笑ったまま言った。
「別にね」
「何もないな」
「貴方はちゃんと働いているでしょ」
「レストランのシェフでな」
「はい、八条グループのファミレスフラワーの岸和田店で」
　慶は勤務先のことも話した。
「そうしています」
「フラワーはいいな」
「私達も時々行くわ」
「何処もいいお店じゃないか」
「お料理安定していて接客は丁寧でお店の内装も奇麗で」
　それでというのだ。