星河の覇皇
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第八十二部第五章 撤退する者達の焦りその十五
「そこから栄えているが」
「これからはですね」
「軍事都市としても栄える」
「そうしてですね」
「そちらでも豊かになり」
「栄えている星系になりますか」
「そうなる、そしてサマルカンド星系も」
ティムールの首都であるこの星系もというのだ。
「工業や商業が盛んだからな」
「それで、ですね」
「あの星系もですね」
「統一後も栄える」
「そうなりますか」
「私はサハラ全体を栄えさせる」
それがアッディーンの考えだった。
「ただ統一するだけでなくな」
「統治システムを整え」
「そしてですね」
「各星系に相応しい政策を定め」
「そして各星系を豊かにしていく」
「そうもされますね」
「統一してからはな」
それからはというのだ。
「そう考えていく、そしてダマスカスもだ」
「交通の要衝、軍事基地として」
「発展していき」
「今は軍事基地が置かれていないですが」
「あえて置いて」
「それからは」
「そうしていく、ではそのことも頭に入れてだ」
そのうえでというのだ。
「進撃を続けていくぞ」
「わかりました」
「それではですね」
「敵の次の防衛ラインに進みましょう」
「そして攻撃に移りましょう」
幕僚達も応えた、そうしてだった。
オムダーマン軍は進撃を続けていった、途中の機雷原や複雑な宙形もものともせずに進んでいった。
その間常に先の国境の戦いでオムダーマン軍は何故あそこまでの鮮やかな勝利を手にしたのか議論になっていた。
その中で八条は国防省の中で語った。
「我々が今建造しているものとです」
「同じですか」
「まさかと思いますが」
「あの兵器を使用していますか」
「そうなのですか」
「おそらく」
こう言うのだった。
「そうなのでしょう」
「オムダーマン軍も若しやという噂がありましたが」
「我々の間で密かに」
「それは真実でしたか」
「そうだったのですか」
「確かな証拠はありませんが」
今のところはというのだ。
「ですが」
「それでもですか」
「オムダーマン軍もあの兵器を開発していて」
「そして我々よりも先に実用化し」
「実戦に投入していましたか」
「そうでしたか」
「既に」
「その様です、あの勝利は」
国境線でのオムダーマン軍のそれはというのだ。
「まさにです」
「あの兵器を使った」
「そうした勝利ですか」
「思わぬ奇襲でしたが」
「魚雷が敵の後方や側面を襲う」
「姿が見えなかったですが」
「あれは」
周り、八条が言うその兵器のことを知る彼等が口々に言った。連合軍の最高の機密を知る者達である。
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