おっちょこちょいのかよちゃん
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248 敵は自分の杖
前書き
《前回》
ベニートを追い詰めた事で赤軍の山田義昭の加勢を受けた冬田達は彼が操縦する戦車に苦戦する。その戦車は砲撃するだけでなく、飛行能力やアームを出す事までできた。そんな時、エイブラハムという男が現れ、その窮地を救う。礼を述べた三河口、湘木、そして冬田は杖の奪還に向かう。そしてかよ子達は遂にヴィクトリア女帝の館に辿り着き、遂にヴィクトリア本人と遭遇する!!
本部の管制室。まき子達はかよ子達が杖を持つ敵達と相対しているのを確認した。
「かよ子、来たのね」
「どうやらそこにいるヴィクトリア女帝が杖を持っていると言う事だ」
「そのヴィクトリアってのを倒せば杖を取り返せるのね」
「ああ、それに増援も次々と来ている。剣の奪還に協力してくれたクイーン・ベスとブランデー・ナンもいる。それに一部の領土攻撃班も来ているからきっと取り返せるよ」
そしてイマヌエルはある事を思い出す。
「あのヴィクトリア女帝の一派に占領されたあそこは確か・・・」
「どうしたん?」
奈美子が聞く。
「ああ、嘗ては美しい泉があったんだ。それを彼女らはそこを自分の支配地と化してその泉を消滅させてしまった。もし山田かよ子君達が女帝を撃破できたらその泉を復活させられるかもしれない・・・」
かよ子はヴィクトリア女帝が手に持っている物を確認する。
「その杖は私のだよ!」
「それがどうした?私の娘や息子を次々と殺して!ここで死んでもらう!!」
ヴィクトリアは杖を振るう。炎がかよ子達に向けて放射される。かよ子は短刀は取り出す。かよ子はその杖の炎を写し取り、炎で防御した。ブー太郎が水の石を、椎名が水の玉を出して炎を消火した。
「それはアルフレートの短刀・・・」
ヴィクトリアはかよ子が持っている短刀を見る。
「それはこの杖を利用して強化してあの子に渡した物よ!なぜお前が使う!」
「や、やっぱり私の杖の能力を写した物だったんだね!!」
かよ子はなぜ今まで戦ってきたヴィクトリアの一派達が杖と似たような能力を持つ道具を使用してきたのか説明がついた。全ては自分の杖を利用して各々の道具や人物にその能力を複製させていたからである。
「そ、その杖を山田に返すブー!」
「うるさい!お前ら纏めて死ね!!」
ヴィクトリアは杖を振る。雷が放たれる。
「この短刀で返り討ちにさせてもらうよ!!」
かよ子は短刀でその雷を受け止め、跳ね返そうとした。雷と雷がぶつかり合う。
「そんな短刀でこの杖を打ち負かせると思っているのかな!?」
「だからってここでおっちょこちょいを・・・!!」
その時アルバートが剣を出してかよ子に突風を浴びせようとした。
「かよちゃん、危ない!!」
関根が刀でアルバートの風を薙ぎ払った。
「纏めて女の子一人に掛かるなんて汚いぞ!」
「ほう、じゃその小娘の代わりに死んでもらおう!」
アルバートが剣を振るう。床が激しく揺れる。そして地面から巨大な手が現れた。
「俺達を握りつぶす気だ!!」
大野は草の石の能力を発動する。茨が現れ土でできた手を粉砕させた。
「山田かよ子!あの男は他の者に任せよ!お主はヴィクトリアから杖を奪い返す事に集中するのだ!!」
次郎長が指示した。
「うん!」
かよ子はヴィクトリアに集中する。
「面白い!この女王に歯向かうとは偉そうな者共!!」
ヴィクトリアは杖を振るう。かよ子は短刀を向ける。だがヴィクトリアはかよ子の短刀を写し取り、杖を剣に変化させた。
「首を貰うわ!」
「させるか!」
小政がかよ子の盾となる。接近してきたヴィクトリアと鍔迫り合いとなった。
(これを山田かよ子の元に戻せば・・・!!)
小政はそう思った。
「こ、小政!!」
かよ子は小政に加勢しようとした。次郎長や石松、大政も援護にかかる。だが、ヴィクトリアは小政を弾き飛ばし、剣を元の杖に戻して周囲を冷凍攻撃した。
「さ、寒い・・・!!」
これでは身体が凍りついてしまう。その時、かよ子は武装の能力を発動させた。かよ子は突進する。
(力ずくでもこっちから近づけば・・・!!)
かよ子はヴィクトリアの攻撃を武装の能力で防御しながら近づいて杖を取ろうとした。
「ふ、馬鹿め、近づいたところで私から杖を奪えると!?」
ヴィクトリアが杖を光らせて自分自身に向けた。そしてかよ子が近づく五歩手前で拳を振り上げた。するとかよ子が触れられてもいないのに顎を殴り上げられた。
「な、何で・・・!?」
かよ子は下顎の歯が砕けたかのような痛みを感じる。
「小娘、お前は杖の能力を博しきれてないようだな。杖には先からただ炎や氷をだして攻撃するのみではない。このように自分自身を強化して格闘戦を可能にもできるのだ。そんな奴が何故今まで来れたのか不思議でならぬ」
「あの杖、そんな使い方あったの・・・!?」
かよ子は母親から杖を引き継がれた時、杖の使用法を著した説明書を幾度も読んだが、そのやり方は一度も使用しなかった。そもそもそのような記述があったのだろうか?
(でも遠くからでも近くからでもこの人を突破できない・・・)
かよ子は攻略法に苦心する。大政の槍も綱五郎のピストルも杖による肉体強化で防がれた。
「私は、あれでもまだ使いこなせなかった。だからあの時も杖を簡単に盗られたの・・・!?」
「あの時」とはかよ子は杖を奪われた二回である。一回目はクリスマスの合唱コンクールの帰りにあった入鹿という男から善人のフリをされて騙し盗られた時、二回目は「この世界」でヴラド三世にうっかり奪取を許してしまった時である。
(ならどうすれば、もっと使いこなせるの・・・!?)
「山田かよ子、どう使いこなせるかは後で考えよ!」
「う、うん!!」
(いけない、おっちょこちょいしちゃった・・・!!)
かよ子は気を取り直し、短刀で迎撃する。しかし、手になかった。
「あ・・・!!」
かよ子は先程殴られた時に短刀が手から離れていた事に気付いた。
「しまった!!短刀が!」
ヴィクトリアが次郎長達の攻撃を杖で自身に施した肉体強化で防御しながらその短刀を拾う。
「これはアルフレートの短刀か。我が息子を殺した上にこんな小娘に使われるとはな。忌々しい・・・!!」
ヴィクトリアは短刀に杖を向けた。
「あ・・・!!」
かよ子はアルフレートの短刀でこれまでの戦いを繋いで来た。しかし、ここで短刀がない状況で武装の能力のみで戦えるのか。ヴィクトリアはその短刀から光が放たれ杖が吸収された。そして不要となった短刀を投げ捨てた。
「これで私の杖は強くなる・・・!!」
「それはおばさんのじゃないよ!私の杖だよ!!何度も言わせないでよ!!」
ヴィクトリアは睨んだ。
「黙れ、小娘!誰がおばさんだ!?私は女王だぞ!!」
ヴィクトリアは杖を向ける。炎が放たれた。
「うわ・・・!!」
かよ子は慌てて武装の能力で防御した。そして炎が弾かれる。
「山田かよ子、無事か!?」
「だ、大五郎・・・!!」
大五郎の法力が炎を消したのだった。
「お主の杖は心強いが敵になると非常に厄介であるな」
「と、取り返せるかな・・・?」
「できるできないではない。取り返さんと駄目だ!!」
「う、うん、そうだよね・・・!!」
かよ子は立ち上がる。
「喰らえ!」
大政が槍を飛ばした。
「ふん!」
ヴィクトリアは呆気なく弾く。その隙に石松がヴィクトリアに斬り込みにかかった。しかし、ヴィクトリアが杖を石松の刀に向けて剣に変化させ、すぐ様石松を遠ざけた。
「先ずはお前から斬り捨ててやろうか」
「い、石松!!」
かよ子は石松の所へ向かう。
「山田かよ子!お主も纏めて斬られてしまうぞ!」
しかしかよ子の能力が発動された。ヴィクトリアが剣を振り降ろせなくなる。
「な・・・。く、上手く、振り下ろせん!!これが異能の能力の恐ろしさ、なのか・・・!?」
(あの杖を取り返したい・・・!!もっと杖を使いこなしたい!!)
かよ子は石松を防御しながらヴィクトリアへと向き直す。
後書き
次回は・・・
「攻防敵わぬ劣勢」
大野達はアルバートと交戦し、かよ子は次郎長一派と共にヴィクトリア女帝と交戦する。だが、アルフレートの短刀の能力をヴィクトリア女帝の杖に吸収され、かよ子自身は為す術がなかった。そんな中、赤軍まで加勢してきて・・・!?
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