おっちょこちょいのかよちゃん
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247 頑丈な戦車の宿命
前書き
《前回》
東アジア反日武装戦線の片岡とアサカワ(本名・大道寺あや子)を追い詰めたかよ子達だったが、急に七人の侍が現れた事で二人を取り逃がしてしまった。一方、アリスという女と交戦し、撃破したすみ子達は今度は赤軍の岡本公三と交戦する事に。岡本が召喚した聖母マリアに苦戦するすみ子達だったが、ジャンヌが召喚した三人の大天使・ミシェル、カトリーヌ、マルグリットが奮戦し、岡本のマリアに打ち勝つ事ができた。しかし、岡本はその場より撤退し、次の戦いに向けて動き出す!!
冬田、三河口、湘木はベニートを回収しに現れた赤軍の山田義昭との戦いを続けていた。山田が開発した戦車は頑丈で冬田の羽根や湘木の斧の攻撃をしても平然としていた。
「こうなったら三人で纏めてかかるか・・・!!」
三河口は鎖鉄球を取り出した。
「湘木、冬田さん!!三人で纏めて攻撃するぞ!!」
「お、おう!!」
三河口が羽根から飛び降り、鎖鉄球を振り回して飛行した。
「あいつ、武器を手にしたのか・・・!!」
山田は戦車より三河口に向けて砲撃した。だが、振り回した鉄球で防御される。しかし、三河口を吹き飛ばす事に成功した。
「三河口!」
湘木が斧から蔓を出現させて三河口を巻き付け、彼の落下を防ぐ。そして羽根へと引き上げさせた。
「はあ、はあ、あの戦車は攻撃も防御も半端ない。冬田さん、もう一回羽根で攻撃だ!!俺や湘木も一緒に攻撃する!!」
「は、はあい!!」
冬田は水も、炎も、木も、金も、土も全ての属性の攻撃を行った。湘木も可能な限り斧を振るい、炎、水、木全ての攻撃を行う。三河口はもう一度鎖鉄球を振り回して飛行した。そして鉄球を戦車に向けて飛ばす。鉄球が冬田と湘木の攻撃を包み込む。山田も砲弾で迎撃する。しかし、砲弾を鉄球で防がれた上に、鉄球が戦車に「ゴーン!」と勢いをつけて当たった。
「やったか!?」
戦車は砲身が砕かれていた。
「よし、その調子で攻撃を続けよう」
三河口が鉄球を戻し、また振り回して別の方向へと飛行する。
「お、俺の力作が・・・!!」
山田は悔しがる。
「そう簡単に終わってたまるか!!喰らえ!」
山田は戦車の横から翼のような物を取り出した。そして飛行した。
「何、あの戦車空も飛べるのか!!」
湘木は予想外の機能に驚いた。
「そこのガキ!まずはお前から消える番だ!」
山田が今度はレーザー光線を戦車下側から小さい砲身を出現させて三河口に発射した。三河口は武装の能力を発動させる。それを鎖鉄球にも流し込み振り回して旋風を引き起こして防御した。だが、防御に精一杯となる。
「このままじゃ三河口がやられるぞ!援護だ!!」
「う、うん!!」
湘木は斧から水を出現させた。冬田も巨大な鋼鉄の壁を山田の戦車に幾つも出して山田のレーザーを妨害した。その上から湘木が出した水が滝のように落ち、山田の戦車を押さえつけるように流れる。
「よし、上から俺も入る!!」
三河口が金属の壁の上へ鎖鉄球で飛行し、そこから湘木の水勢に合わせて鉄球を流し込み戦車に当てる。
「そう上手く行くかよ!」
山田の戦車は鉄球に叩かれる音を響かせながらも耐えた。そして巨大なアームを出して鋼鉄の壁を破壊し始めた。破壊した場所から戦車が脱出した。そしてもう一度戦車が飛行しようとする。
(動かれると面倒な事になる!!)
三河口は戦車の翼に鎖を巻き付けた。凧揚げをしているような構図となったが山田の戦車も強引に遠ざかったり近づいたりしようと試みているのも確かである。三河口は足が地から離される。
「お、お兄さあん!!」
冬田は絶叫する。湘木もまた木の能力を使用して太枝で戦車を叩き落とそうとした。しかし、それもまたかわされる。三河口には幸い彼の武装の能力が働いていた為当たる事はなかったが。そして三河口の元にレーザーの砲身が向けられる。
「今度こそお陀仏だ!!」
三河口は武装の能力で自身および周囲の防御を全開に行う。しかし、レーザーは三河口の顔すれすれに放たれた。
(武装の能力が効いてないだと!?)
三河口は武装の能力が効いていないと確信した。このレーザー光線は武装の能力の影響を受けない物であると理解した。
「このままじゃ三河口がやられる!!」
湘木が斧を振って戦車を大木で叩こうとするが頑丈でなかなか地に落ちない。山田はレーザー光線をもう一度発射する。
(このレーザー光線は武装の能力などの効果を受けないようにできているのだ・・・!!)
次でレーザー光線を当てれば下に吊り下がっているようにしがみつく高校生を焼き殺せる。そう山田は思った。しかし、発射できなかった。
「なぜだ。なぜ発射しない!?」
山田には理解不能な事だった。
「赤軍め、そんな外道な事をするなど許しませんよ!」
一人の男性が訪れていた。
「宿命を変えましょう!」
男性は持っている杖を地面に向けて叩く。戦車が飛行機能も失って地に落ちた。三河口は戦車に巻き付けた鎖鉄球を独楽回しのように戦車を回して解いた。
「今です!」
「よし!」
湘木が水を出し、冬田が羽根から金の砲弾を出して戦車を攻撃した。
(お、覚えてろ・・・!!)
先程の三河口の攻撃で目を回し、介入してきた男の加勢もあり、形勢を逆転された山田は戦車を高速で走らせて撤退した。
「無事でしたか?」
「ああ、ところでアンタは?」
「私はエイブラハム。嘗てアメリカの大統領として生きた者です」
(エイブラハム・・・。あのリンカーンの事だな)
三河口はそのエイブラハムには落ち着きのある気配が漂っており、信用していいと思った。
「三河口健に湘木克也。剣の奪還の活躍は聞いております。貴方達は確か杖の奪還に協力しようとする者達ですね?」
「ああ」
「その杖を奪った者は今元の所有者と交戦しているでしょう。急いだ方がいい」
「解った。そうだ、アンタにもこの御恩はきっと返す。また一緒に戦ってくれるか?」
「ええ、いつでも」
「それでは失礼」
三河口は冬田の羽根に乗って行った。
「きっと杖は取り返せる宿命にある、そう私は信じたい・・・」
エイブラハムは領土を取り返す為にまた歩き出す。
杉山は明日の支度を済ませていた。そして本部付近のとある工房による。
「こいつを、明日の結婚式に持っていく事になるんだな」
『全く、そんな余興など楽しんでいる場合なのか?』
レーニンは文句を言う。
「うるせえな、それに、杯はまだあいつらの所だろ、その時に別の場所に移せばいいんだ」
そして杉山は工房にあったグランドピアノを見る。
「まあ、あいつも暫く練習しなくてウズウズしてる筈だぜ・・・」
杉山は夏休みに会ってから幾度も喧嘩をして来た少女の事を考える。
(俺はお前が気になってた・・・、だが、あいつは藤木と一緒にさせる事を選んだ・・・。俺は一体何を考えてるか解らねえだろうな・・・)
かよ子達は女帝の館へと向かう。だが、炎が彼女らを襲う。
「え!?」
かよ子は羽根の結界で防御した。
「この館からだ!!」
次郎長が察した。かよ子はヴィクトリア女帝の館に突入した。だが不意に扉が閉じられた。
「ここまで来たか」
一人の男性が待ち構えていた。
「え?女王様じゃないの・・・!?」
かよ子ヴィクトリア本人が待ち構えるかと思っていた。
「我が名はアルバート。生憎だがここで貴様らは裁かれて頂こう」
「じょ、女王はどこ!?私の杖は!!?」
その時、戸が開いた。
「お前か。所有者とやらは」
後ろから別の女性が現れた。
「ま、禍々しい気配を感じるな!」
関根は見聞の能力で感じ取った。
「私こそがヴィクトリア。私の子供達や側近をよくも葬ってくれたわね。この杖を返して欲しいと?」
ヴィクトリア女帝がかよ子に見せびらかす。
「あ、それは・・・、私の杖・・・!!」
かよ子は見間違いをする事はなかった。それはこの世界の最強の道具の一つとされる杖そのものだった。
後書き
次回は・・・
「敵は自分の杖」
ついにかよ子はヴィクトリア女帝と対立する。アルバートと組んで攻撃する女王に対して苦戦するかよ子達。そしてかよ子は己の羽根、武装の能力、そしてアルフレートの短刀を最大限に活かして戦おうとする・・・!!
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