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八条学園騒動記

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第六百七十八話 従姉と弟と三人でその六

「地球にあった頃は国力があっても」
「ずっとマイナーだったよ」
「本当に存在感がない」
「そうした国で」
「宇宙に出ても」
 銀河の国になってもというのだ。
「個性はそのままで」
「自己主張もしなかったし」
 シッドは後悔する顔で言った、自分がそうなった訳ではないがそれでも自国のことなので思うのだった。
「というかしてもね」
「下手なのよね、我が国って」
 メアリーは今度はどうかという顔で述べた。
「自己主張が」
「そうだよね」
「自己主張の塊ばかりの国の中で」
「自己主張が下手で」
「そのせいで」
 まさにというのだ。
「今もね」
「目立てないよ」
「この通りね」
「お料理もそうだし、というか」
 シッドは考える顔で言った。
「本当にカナダ料理って言われても」
「スモークドサーモン以外はでしょ」
「思いつかないよ」 
「私達もそうよね」
「カナダ料理の代表は何か」
「ないわね」
「スモークドサーモンが駄目なら」
 それならというのだ。
「僕達カナダ人でもだよ」
「思い浮かばないわね」
「困るよ」
「市民ですらそうだから」
「けれどそんなカナダ人でもちゃんと作ったら」
 トミは落ち込む二人に言った、テレビでは今もスパゲティが出ている、それを見て言うのであった。
「僕達でも美味くなるよね」
「それはね」
 メアリーはトムのその言葉に答えた。
「やっぱりね」
「他の国の調理で作ったら」
「ちゃんとね」
「美味しくなるね」
「その筈よ、スパゲティも」
 メアリーもスパゲティを見て話した。
「ちゃんと茹でてね」
「アルデンテにしたら」
「そうしたらよ」
 その時はというのだ。
「コシがあって」
「美味しくなるね」
「味付けも」
 こちらもというのだ。
「ちゃんとしたらね」
「それでだね」
「美味しいスパゲティになるわ」
「だったら」
 トムはメアリーの話をここまで聞いて述べた。 
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