八条学園騒動記
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第六百七十八話 従姉と弟と三人でその四
「そうしたこともね」
「気にしないわね」
「僕ずっとパスタや麺はコシがないってね」
その様にというのだ。
「思ってたよ」
「私もよ」
メアリーもだった。
「そんなのはね」
「あるって思わなかったね」
「全くね」
こう下の従弟に答えた。
「日本の学校に入るまでは」
「そうだよね」
「それだけよ」
メアリーは暗い顔で話した。
「カナダのお料理はね」
「連合の他の国と比べて」
「まずいのよ」
「そうだね」
「もうそのまずさは」
それこそというのだ。
「統計に出ている通りよ」
「連合一なんだ」
「逆にケベックは美味しいんだよね」
フックはカナダから独立したこの国のことを話した。
「そうなんだよね」
「ええ、昔からね」
「あの国の方が目立つし」
「個性があってね」
「自己主張もして」
連合各国特有のそうしたことを行っていてというのだ。兎角連合は自己主張をする国の集まりであるのだ。
「それでね」
「お料理もね」
「美味しいね」
「あそこは王国で」
ブルボン家から迎えた家である。
「宮廷料理もあるでしょ」
「そちらに力を入れてるしね」
「伝統的にね」
「今の王様は質素で」
そうした人でとだ、トムは言った。
「贅沢なお食事は好まないんだよね」
「大食漢でもね」
「それで太っていても」
それでもというのだ。
「お食事自体はね」
「質素よ、けれど伝統的にね」
「宮廷料理にも凝ってるから」
「それで国全体もよ」
「お料理に凝ってるから」
「美味しいのよ」
その料理がというのだ。
「そうなのよ」
「そういうことだね」
「それに対して」
メアリーは暗い顔で話した。
「我が国はね」
「凝っていないから」
「だからよ」
「お料理も言われないんだね」
「いい意味ではね」
決してというのだ。
「そうなのよ」
「それで目立たないんだね」
「逆に言えば目立たないことで注目されてるよね」
シッドはこう言った。
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