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レーヴァティン

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第二百七十話 禍々しさを知りその六

「そうしてです」
「戦うべきだな」
「それがいいです、将兵達にはもう水練はさせていますし」
「泳げる様にしているな」
「そうしておいてよかったですね」
「ああ、泳げたらな」 
 そうであったらとだ、久志は答えた。
「それだけな」
「いざという時に助かります」
「川を渡る時だってあるしな」
「それも泳いで」
「乗ってる船が沈んでもな」
 そうした危急の時もというのだ。
「泳げたらな」
「それで助かります」
「だからな」
「全ての将兵達に水練をさせました」
「それも徹底してな」
「身体を鍛え」
 それが出来てというのだ。
「いざという時に助かる」
「だから身に着けておかないとな」
「左様です」
「それで連中との戦でも」
「役立ちますね」
「そうだよな」
「泳げるに越したことはないよ」
 淳二もこう言った。
「本当にね」
「戦をするとな」
「逃げる時だってね」
「泳げたらな」
「川や海を渡れて」
「その分助かる可能性が高いからな」
「だから将兵全員にさせてね」
 そうしてというのだ。
「覚えさせたけれど」
「そうしてよかったな」
「本当にね」
「徳川家康さんもお子さん達に言ってたな」
 久志は江戸幕府を開いたこの人物の話もした。
「馬術と水練は絶対に励めってな」
「この二つはね」
「あの人そうしたことも得意だったけれどな」
「剣術もね」
「けれど剣術よりもな」
 戦い身を守るこの術よりもというのだ。
「何と言ってもな」
「その二つだったね」
「ああ、逃げるとなったらな」
 その時はというのだ。
「身一つだからな」
「それで馬術と水練をだよ」
 この二つをというのだ。
「お子さん達に言ったんだ」
「絶対に励めってだな」
「実際戦って色々な時があるからね」
「逃げる時だってな」
「だからね」
 そのことがわかっているからだというのだ。
「家康さんもだよ」
「そう言ったな」
「そう、それだけ水練はね」
「大事だな」
「戦にも使えるし」
「逃げる時もな」
「全将兵に覚えさせて」
 あらゆる事態を想定してというのだ。
「そしてね」
「覚えさせてよかったな」
「そう思うね」
「今な、それじゃあな」
「この戦ではね」
「水中に引き込まれた場合もな」
 深き者共にというのだ。 
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