八条学園騒動記
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第六百七十七話 虫になるその十四
「行った後は沈痛な顔だったそうです」
「あくまで革命の為か」
「はい、共産主義の是非は置いておいて」
この時代では既に過去の遺物、邪教の様に言われている。
「革命そして共産主義の為にです」
「行っていただけか」
「処刑の仕方もおおむね銃殺だったので」
ソ連の秘密警察にはそれを行う部隊もあった。
「十字軍よりは遥かにです」
「ましだったか」
「十字軍は殺し方も酸鼻でしたので」
アルビジョワ十字軍では特に酷くシモン=ド=モンフォールという輩は最早虐殺を楽しんでいたとしか思えなかった。
「少なくともジェルジェンスキー自身はです」
「あっさりと殺していてか」
「無実の者の頭に刃を落とすことを恐れるなと言っても」
革命の為にだ。
「人を殺すことへの罪悪感はです」
「持っていたか」
「そして彼以外の長官達も」
ジェルジェンスキー以降のだ。
「職務、スターリンに命じられて」
「それでだったんだな」
フックも言った。
「粛清していたんだな」
「そして性犯罪や私的な殺人なぞです」
そうした行為はというのだ。
「行っていません」
「あくまで仕事のうえか」
「個人的な怨みで多くの人を殺すことも」
「ベリヤはしたな」
「ありませんでした」
「じゃあベリヤはな」
「秘密警察の長官達の中で」
ソ連のだ。
「彼だけはです」
「私利私欲や快楽やか」
「怨恨で人を殺していました」
「だから違うんだな」
「そうです、邪悪さで言えば」
まさにというのだ。
「ベリヤはです」
「別格か」
「職務で人を殺すのと私利私欲で殺すのではです」
「全く違うな」
「はい、問題なのはです」
「私利私欲だな」
「ベリヤはそれが常だったので」
その為にというのだ。
「彼等の中でもです」
「特に問題だったんだな」
「生前も祖国ですらです」
そのジョージアでだ。
「忌み嫌われていました」
「祖国でもか」
「はい、誰もがです」
まさにというのだ。
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