イベリス
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第七十六話 狭いが多彩な街その七
「三島由紀夫って人を演じていたの」
「ずっとね、それでああしてね」
「立派な人になっていたの」
「そうかもね」
「ううん、難しいお話ね」
「そうでしょ、私もちょっとね」
どうかとだ、愛も話した。
「今自分でお話していても」
「それでもなの」
「よくわからないところもあるわ」
「そうなのね」
「そうなの、ただ三島由紀夫って人はね」
「凄い人だったわよね」
「そう思うわ、私も」
愛もそのことは確かだと答えた。
「そうね」
「やっぱりそうよね」
「ええ、ただね」
こうもだ、愛は話した。
「やっぱり演じられていたってね」
「思うのね」
「よくわからないところがあっても」
「ううん、難しいわね」
咲も効いていてわからなくなった。
「どうも」
「けれどあの人は尊敬してもね」
「いいのね」
「そう思うわ、人柄もよくて」
「ストイックだったのよね」
「悪く言う人はいなかったのよ」
三島由紀夫という人をだ。
「これといってね」
「じゃあね」
「尊敬していくわね」
「三島由紀夫さんはね」
「偉人はね」
愛はまた話した。
「尊敬してもね」
「いいのね」
「実際に凄いことした人も多いし」
このこともあってというのだ。
「もう幾ら背負ってもらってもね」
「失望されることもないの」
「よく偉人に夏目漱石さん挙げられるけれど」
この文豪もというのだ。
「褒められた人かっていうと」
「被害妄想でヒス持ちだったのよね」
咲はすぐに応えた。
「あの人って」
「それでDV夫だったのよ」
「お父さんとしても」
「そうだったからね」
「褒められた人かっていうと」
「そうじゃなかったのよ」
これがとうのだ。
「だからね」
「尊敬出来るか?」
「というかその人のありのままを見てね」
その長所も短所もというのだ。
「尊敬出来るかもね」
「大事なの」
「実は私もね」
愛はここで自分の話もした、
「そんなことあったの、尊敬する人についてね」
「お姉ちゃんもなの」
「お母さん立派って思って尊敬しかけたところでね」
「そこでなの」
「察したお母さんに自分の結婚する前のこと言われたのよ」
「そうだったの」
「大学には行ったけれど」
それでもというのだ。
「それは陸上のスポーツ推薦でね」
「叔母さんそうだったの」
「色々な人と同時に付き合ってきた」
「それって」
「そう、俗に言うビッチだったって」
「叔母さんそうだったの」
「お父さんと付き合うまではね」
その時まではというのだ。
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