イベリス
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第七十六話 狭いが多彩な街その四
「流石にね」
「酷過ぎるわね」
「普通甘やかされても」
「そうはならないわね」
「親に北の将軍様みたいだとか言われたの?」
「そんな風に甘やかされたっていうのね」
「そうなの?」
こう愛に言うのだった。
「ひょっとして」
「そうみたいよ、それでね」
「そんな人になったの」
「何でもないお家でもね」
「甘やかしたら」
「そんな人が出て来るのよ」
愛は咲に話した。
「人は環境によってどうなるかだけれど」
「徹底して甘やかされて育てられると」
「そうなるの、犬だってちゃんと育てないよ」
「モコはいい娘だけれど」
咲は犬と聞いて自分の愛犬の名前を出して応えた。
「あの娘もなのね」
「とんでもない娘になってたわよ」
「私達別にモコに厳しくしてないけれど」
「むしろ甘やかしていたっていうのね」
「殆ど怒ってないし」
彼女を家族に迎えてからというのだ、事実咲も彼女の両親もモコはこれと言って叱ったことはない。いつも可愛がっている。
「可愛い可愛いでね」
「それでもちゃんと躾けることは躾けてるからよ」
だからだとだ、愛は咲に話した。
「そうしてるからね」
「モコもいい娘なのね」
「ちゃんと育てたら」
「犬もそうなって」
「人間もよ」
「同じなのね」
「そうよ、それでそうしたどうしようもない人は」
甘やかされて徹底的に尊大になった輩はというのだ。
「何もしないでふんぞり返っていて」
「自分をこの世で一番偉いと思っていても」
「努力してないと暇だしね」
それでというのだ。
「他の人を嫉妬したりするのよ」
「そうなのね」
「そうよ」
実際にというのだ。
「尊大なのにね」
「それで他の人を馬鹿にしても」
「努力している人が成功したりしたら」
その時はというのだ。
「嫉妬してひがむのよ」
「自分は努力しなくても」
「最初から偉いと思っていてもね」
「偉いと思っていたら嫉妬しなくてもいいでしょ」
咲はここまで話を聞いて思った。
「けれどなのね」
「そうした人も嫉妬するの」
「そうなのね」
「努力していない人程ね」
「他の人に嫉妬するのね」
「だって努力って報われるし」
そうなるというのだ。
「その時は忙しいし」
「努力していったら」
「それはすぐに芽が出なくてもね」
「何時かはよね」
「出るから。お勉強していたら成績は上がるし」
そうなりというのだ。
「練習も毎日したら」
「上手になるわね」
「そうよ、努力は本当にね」
「結果が出るのね」
「だから努力している人はどんどんよくなって」
そうしてというのだ。
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