恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百三十話 牙刀、しがらみを断ち切るのことその六
「ただ。復讐はな」
「それはするな、か」
「そういうことさ。それじゃあいいか?」
「復讐。それだけを考えていた」
静かにだ。牙刀は酒を口にした。
そうしてだ。こう言ったのである。
「だがそうではなくか」
「しがらみを断ち切るんだな」
「そして新たに生きるか」
「あんたの人生だ。楽しんで生きるんだ」
「楽しんで、か」
「あんた今楽しいか?」
「楽しみか」
それについてはどうかとだ。牙刀は述べた。
「楽しい、本当にな」
「じゃあわかるな。もっと楽しく生きる為にな」
「しがらみを断ち切るか」
「そうしな。それでいいな」
「考えさせてもらう」
瞑目しつつ述べる牙刀だった。そうしてだ。
また飲みだ。また言ったのである。
「親父には勝つがだ」
「そうか。まあ考えてくれよ」
「わかった」
こうした話をしたのだった。そうしてだ。
牙刀は仲間達とタイ料理、それに酒を楽しんだのである。その次の日だ。
一行は都に戻る準備に入った。行楽が終わったのだ。
その中でだ。ほたるは。
自分がいた天幕をなおしていた。その中でだ。
ふとだ。何かを感じ取った。そうしてだ。
周囲にだ。こう言ったのである。
「来ました」
「来た!?ひょっとして」
「あいつが!?」
「はい、来ました」
こうだ。共にいた乱鳳と眠兎に述べたのである。
「父さんが。遂に」
「おい、じゃあすぐに行けよ」
「ここは眠兎達に任せる!」
撤収準備をだ。そうしろというのだ。
「わかったな。それじゃあな」
「すぐに行く」
「有り難う。それじゃあ」
その二人に一礼してからだ。ほたるは気配の方に向かう。
全力で駆ける。その横にだ。
牙刀も来た。そうして妹に言って来た。
「来たな」
「ええ、お父さんが」
「決着をつける時が来た」
妹にもだ。静かに言う牙刀だった。
「全てのな」
「兄さん、私達はやっぱり」
「ホア=ジャイに言われた」
妹にもだ。この話をする。
「復讐は何も生み出さないとだ」
「復讐は」
「俺の目だ。そしてだ」
「私達、そして母さんを捨てたことも」
「その復讐を断ち切ること」
それをだというのだ。
「言われたのだ」
「そう。ホアさんに」
「俺はどうするべきか」
具体的にだ。彼は言ったのだった。
「御前もだ」
「私もなのね」
「俺達はどうするべきか」
こう言っていくのだった。妹に対して。
「それが問題だが」
「ねえ、兄さん」
ほたるの方から兄に言う。
「私は兄さんを止めたかった」
「あちらの世界ではか」
「けれど兄さんの目が潰されて」
「そのことからか」
「父さんを許せなくなっていたの」
それでだ。彼女も復讐を考えるようになったというのだ。
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