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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百三十話 牙刀、しがらみを断ち切るのことその五

「そんな奴もな」
「そういう輩はどんなことでもします」
「まさにです」
「そうそう、そうなんだよ」
 ホアは忌々しげにだ。張郃と徐晃のその指摘に応える。
「悪事がばれても訴えられない限り平気でな」
「見え見えの悪事を繰り返しますね」
「しかも下劣極まりない」
「そうした奴はもう徹底的にやるしかないからな」
 叩きのめして再起不能にするか殺すかだというのだ。
「もうそれこそな」
「はい、そしてそれはですね」
「当然のことですね」
「下種な小悪党はそうするしかないんだよ」
 それしか処置はないというのだ。
「所詮な」
「そうだな」
 暫く沈黙していた牙刀がだった。ここでだ。
 静かに口を開いてだ。そして言うのだった。
「そうした輩はな」
「話は聞いてるぜ」
 ホアは鋭い目になり牙刀に返した。今はタイ風ソーセージを箸に取っている。
「親父さんとだな」
「そうだ」
「復讐するのか?」
 かつての自分の様にだ。そうするかというのだ。
「あんたは」
「そのつもりだ」
 牙刀もそれを否定しない。ビーフンを食べながらの話だ。
「俺は親父を倒す」
「目のことか」
「そうだ。目の仇は取る」
 今は見えていてもだ。それでもだというのだ。
「必ずな」
「俺の言いたいことはわかるよな」
「無論だ。聞かせてもらった」
「正直何にもならないぜ」
 鋭い目のままでの言葉だった。
「あんたにとっても誰にとってもな」
「では俺は」
「復讐以外ならいいさ」
 妥協ではなかった。真実だった。
「それで親父さんと戦うのならな」
「それならばか」
「ああ、それならだよ」
 こう話すのだった。
「あんたにとっても周囲にとってもな」
「そうなのか」
「できるなら復讐は止めておくんだ」
 ホアは真面目な顔で牙刀に告げる。
「むしろな。あんたのしがらみを断ち切るんだ」
「俺のそれをか」
「そうだ。断ち切るんだ」
 こう告げたのである。牙刀に対して。
「あんたもほたるちゃんもな」
「あいつもか」
「あんたの親父さんは。あれはな」
「修羅だな」
「そうだな。そうなってるな」
 ホアにもわかることだった。話を聞いただけにしてもだ。
「そんな奴とはしがらみを断ち切るのが一番だよ」
「では俺もほたるも」
「復讐は止めときな」
 また真顔で告げるホアだった。
「あんたのしがらみを断ち切るんだ」
「ホアさんはそれができたからですね」
「今があるんですね」
「ああ、そうさ」
 その通りだとだ。ホアは張郃と徐晃にも述べた。
 そのうえでだ。辛い野菜炒めを食べながら述べた。
「さもないと今の俺はなかったさ」
「今みたいに爽やかな顔のですね」
「屈託のない顔のホアさんはいませんでしたか」
「俺が今あるのはしがらみを断ち切ったからだ」
 それでだというのだ。
「そうした意味で俺は丈の奴に二回敗れてよかったさ」
「そうか。では俺は」
「親父さんは倒すといいさ」
 牙刀に述べるホアだった。
 
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