恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百二十九話 ほたる、父を見るのことその七
「何か本当に世界って似てる人が多いんだな」
「真吾は意外だけれどね」
「何で敵なんだよ」
真吾にとってはこのことが不服だった。しかしだ。
それでもだ。今はだった。
牛乳を飲み干し肉を食い。馬岱に言った。
「明日も楽しくやるか」
「真吾も泳ぐのね」
「これでも泳ぐのは結構得意なんだよ」
それでだというのだ。
「ウィンタースポーツ、冬にやるのが一番好きだけれどさ」
「冬になの」
「ああ、冬にやるやつな。スキーとかああいうのな」
「雪使うのって雪合戦しか知らなかったけれど」
こちらの世界ではだ。そうだったのだ。
「けれど。そうした体操もあるってわかって」
「面白いだろ、冬も」
「ええ。そのこともわかったわ」
「冬は冬で風情がある」
鱗もこう言う。
「案外いいものだ」
「そうそう。結構ね」
そんな話もする彼等だった。
「それがわかったわ、蒲公英もね」
「その真名はあれだな」
「春だな」
ケイダッシュとラモンは自分から真名を言うことは避けて言った。
「春の花の名前だな」
「それをつけているか」
「そうなの。いい真名でしょ」
馬岱自身もだ。自分の真名は気に入っていた。
それでだ。今にこりと笑って言ったのである。
「気に入ってるのよ。自分でね」
「そうか。それはいいことだな」
「自分の名前を気に入れられるのはな」
「何なら真名で呼んでもいいのよ、皆も」
こう四人に言う馬岱だった。
「けれど皆それはしないのね」
「文化が違うからだ」
鱗はこちらの世界の真名を呼ばない理由としてこのことを挙げた。
「俺達に真名はないからな」
「そうよね。そっちの世界じゃそうよね」
「だからそれはしない」
こう話すのだった。
「そういうことだ」
「成程ね。わかったわ」
「だから俺達は誰もあんた達の真名は呼ばない」
「一方がないともう一方はしないってことなのね」
「そこは御互いに違うな」
「そうね。けれど世界が違っても」
それでもだと話す馬岱だった。
「蒲公英達t仲良くやっていけてるのは」
「それはいいことだ」
ラモンはこの事実は受け入れられた。それも素直に。
「敵同士になるよりずっといい」
「そうそう。妙に気が合ったわよね、皆最初から」
「俺なんか最初この世界何だって思ったんだけれどな」
真吾はこう言う。
「けれどそれでも。馬岱達と一緒にいたら」
「こっちの世界も楽しいでしょ」
「結構以上にな」
「そう言ってくれて何よりよ。じゃあ真吾も飲む?」
何気にだ。真吾に酒を勧めるのだった。
「そうする?」
「あっ、俺は酒は」
「飲まないの」
「未成年っていうより酒よりもこっちの方飲めって言われてるから」
牛乳をだ。泣きそうな顔で見ている。
「だからこれを」
「牛乳ねえ。そういえば真吾って牛乳は」
「嫌いなんだよ。実は」
本当に泣きそうな顔でだ。その牛乳を飲んでいた。
「何か飲むと力が抜ける気がして」
「何処の超人だ?」
真吾のその話を聞いてだ。鱗が突っ込みを入れる。
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