| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百二十九話 ほたる、父を見るのことその五

「我等では」
「言ったわね。止められることではなかったのよ」
 曹操は謝罪する徐晃に告げた。
「牙刀はね。最早ね」
「では我々は」
「これからは」
「牙刀さんのところにいなさい」
 それでもだとだ。袁紹は二人に命じた。
「いいですわね。あの人のところに」
「そしてあの方の戦いをですか」
「助けよと」
「牙刀は確かにかなりの使い手よ」
 曹操も認める程のだ。そこまでだという。
 しかしだ。曹操はこの事実をだ。苦い顔で言うのだった。
「けれどね。その牙刀の目を奪ったとなると」
「危うい」
「だからですか」
「今度は目では済まないわ」
 曹操は言った。
「それを防ぐ為にもね」
「わかりました。それでは」
「我々はこのまま」
「牙刀さんの傍にいなさい」
「わかったわね」
 こう二人に命じる袁紹と曹操だった。そしてだ。
 その彼等のところにだ。何とだ。
 ほたるも来た。そのうえでだ。
 強張りながらも決意している顔でだ。彼女達に言ったのである。
「兄さんのことですが」
「ほたる殿、まさか」
「聞かれていたのですか」
「すいません」
 驚いた顔で自分の方を振り返る張郃と徐晃にだ。ほたるは申し訳ない顔で答える。
「聞くつもりはなかったのです。ですが」
「丁度この天幕に来るところだったのね」 
 曹操が事情を察してほたるに話した。
「そうだったのね」
「はい、果物を持って来たので」
「それね。野苺ね」
「ですが」
 自分の持っている野苺をだ。ほたるは今は見ていなかった。
 俯いてだ。何も見えずに言ったのである。
「兄さんは。やっぱり」
「ほたるさんもわかっておられたのですね」
 顔と言葉からだ。袁紹は察した。
「やはり」
「兄さんはいつもそうなんです」
 ほたるは悲しい顔になり兄のことを四人に話す。
「自分で何でも背負い込んで」
「そういう人間ね。彼は」
「はい、ですから」
「言っておくわ。牙刀はね」
 曹操は厳しい顔でほたるに話す。
「貴方達の父親を絶対にね」
「倒しますね」
「そうするわ」
 こう告げるのだった。
「間違いなくね」
「はい、わかります」
「では貴女はどうするのかしら」
 兄のことを話してから。妹に問うた。
「牙刀は貴女をどうしても闘わせたくはないけれど」
「いえ、私も」
 ここでだ。ようやくだった。
 ほたるは顔をあげてだ。こう答えたのである。
「父と闘います」
「そうするのね」
「私達は兄妹です。兄さんにだけ罪を背負わせる訳にはいきません」
 それでだというのだ。
「ですから。私も」
「それでいいのね」
 ほたるの目を見てだ。曹操は問うた。
「父殺しの罪を背負っても」
「私も娘ですから」
 その男のだというのだ。
「ですから」
「気持ちは変わらないわね」
 念を押してだ。曹操はほたるに問うた。
「貴女も」
「はい、もう」
「わかったわ。それならね」
 曹操は厳しい顔のままでほたるの言葉に頷いた。
 そしてだ。こうそのほたるに告げたのである。
「闘いなさい、そして勝ちなさい」
「そうします」
「そして。貴女達の因果を消し去りなさい」
「その二人は貴女達への助力ですわ」
 袁紹はほたるに張郃と徐晃のことを話した。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧