カレーにちゃんこを
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第一章
カレーにちゃんこを
相模宏昌はサラリーマンである、この日仕事から帰って夕食を見て妻の秀美に対して問うた。背は一七〇位で黒々とした髪の毛をショートにし切れ長の目と小さな唇そしてかなり大きな耳を持つ痩せた卵型の目の三十になったばかりの男だ。
「またカレーなんだ」
「そうよ」
肩まで伸ばした黒髪があちこちはねていて切れ長の大きな目と高い鼻、大きな唇に顎の先が尖った顔を持つ妻が答えた。背は一六〇程でメリハリの利いたボディを地味な色のセーターとズボンで覆っている。
「チキンカレーよ」
「先週もカレーしたよね」
「シーフードカレーね」
「何か雪路が生まれてから」
夫は妻に二人の娘今は幼稚園に通っている彼女のことを話した、顔立ちは彼そっくりで髪の毛の質は妻のものだ。
「というか離乳食終わってから」
「カレー多いでしょ」
「そしてちゃんこもね」
こちらもというのだ。
「多いね」
「そうでしょ」
自覚している返事だった。
「あえてよ」
「カレーとちゃんこ増やしてるんだ」
「夏もね」
この季節もというのだ。
「作ってるでしょ」
「作った後ちょっと冷やして食べてるけれど」
夫はテーブルの自分の席に座ってそのカレーを食べながら話した。
「確かにね」
「多いでしょ」
「何でカレーとちゃんこよく作る様になったのかな」
夫は自分の前で林檎を食べている妻に問うた。
「雪路の離乳食が終わってから」
「食育の為よ」
それでとだ、妻は夫に答えた。
「全部ね」
「それでなんだ」
「カレーもちゃんこもね」
どちらもというのだ。
「色々入れられるでしょ」
「お肉もお野菜も」
「シーフードだってね」
「確かにそうだね」
夫もその通りだと答えた。
「入れられないものはないよ」
「そうよね」
「ああ、雪路に今から何でも食べさせて」
カレーとちゃんこを通じてとだ、夫は言った。
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