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イベリス

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第七十四話 東京を巡ることその五

「従姉のお姉ちゃんに言われました」
「やはりそうですか」
「東京のあちこちを時間がある時にも巡ってみればどうかと」
 その様にというのだ。
「言われました」
「そうでしたね、これは売らないでなく表情で」 
 咲のというのだ。
「わかりました」
「そうだったんですね」
「やはりそうですか」
 速水は納得した様に頷いた。
「いいことかと」
「東京のあちこちを巡ることは」
「この街は魔都です」
 微笑みこう言った。
「繁栄と退廃、そして様々な顔を持つ」
「魔都ですか」
「はい」 
 まさにというのだ。
「その様々な顔をです」
「見るといいんですね」
「東京は世界でもとりわけ多くの顔を持っている街の一つです」
「世界的なんですね」
「そうです」
 その通りだというのだ。
「伊達に長い歴史を持ち一千万の人口を擁し」
「世界中から人が来てですね」
「複雑に絡み合っている訳ではありません」
「モザイクみたいなものですか」
「はい、モザイク状であり」
 そうしてというのだ。
「多層的です」
「それが東京ですか」
「そして東京は地域によってです」
「それぞれ違うので」
「そこを巡って行かれることもです」
 愛がそうしていて咲に勧めている様にというのだ。
「いいです」
「そうなんですね」
「非常に面白いし」
「面白いですか」
「はい、東京のそれぞれの地域を見て回ると」
「面白いですか」
「ですから」 
 そうしたものだからだというのだ。
「行かれて下さい」
「それじゃあ時間見てやっていきます」
「後悔しません、それに小山さんは漫画やライトノベルがお好きですね」
「ゲームも。あと純文学も読みます」
「東京はそうした媒体全てによく舞台となっていますね」
「そうした作品多いですね」 
 事実そうだとだ、咲も答えた。
「言われてみれば」
「そうした場所を行かれてもです」
 漫画とかで舞台になった。
「面白いですし」
「葛飾なんか有名ですね」
「東京ドーム等もですね」
「野球漫画じゃしょっちゅうですし」
「昔は後楽園球場でしたが」
 昭和の頃はそうであった、昭和が終わるその頃に後楽園球場から東京ドームにと忌まわしい邪悪の権化巨人の本拠地はなったのである。
「それが今はです」
「あのドームですね」
「そして他にも新宿や銀座と」
「漫画とかに出ますね」
「兎角そうした場所も多いので」
 東京という街はというのだ。
「色々巡られてです」
「面白いですね」
「そうです」
 まさにというのだ。
「この街はそうした街です」
「魔都で」
「そうです、東京は聖なる街ではありません」
 速水はこのことは笑って話した。 
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