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イベリス

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第七十四話 東京を巡ることその三

「もうね」
「それだけで色々なところに行けるから」
「だったら時間さえあったら」
「色々行くといいのね」
「そうしたら?人生の勉強になるから」
「じゃあ時間があったら」
 その場合はとだ、咲は答えた。
「色々行ってみることね」
「東京のね、まあ何年かけてもいいから」
「何年も」
「だって東京って狭いけれど」
 面積としてはそうである、東京は街としては案外狭いのだ。
「色々な場所あるから」
「それを見て回るとなると」
「やっぱりね」
「時間がかかるのね」
「そうよ、だからね」
 それでというのだ。
「何年かかけて」
「巡るのね」
「私も時間があればして」
「それで何年もなの」
「大学に入ってからよ」
「それからなの」
「巡ってるけれど」
 東京の各所をというのだ。
「まだまだ巡りきれてないわ」
「新宿とか行っても」
「まだね、杉並とか中野とか」
 区で話した。
「行ったことないわよ」
「そういうところはまだなの」
「練馬とかね」
「西武線ね」
「そっちはまだなの、ただ地下鉄も使ったら」
 その様にすればというのだ。
「あと自転車でもね」
「ああ、自転車使ったら」
「東京色々行けるわね」
「そうよね」
「道も線路も凄い発達しているから」
 これも東京の利点である、ただしその反面迷路の様に入り組んでしまっている。地下鉄に至っては地方の人間から見ればラビリンスである。
「だからね」
「あちこち行けるのね」
「咲ちゃんも自転車乗れるでしょ」
「それ位はね」
 咲も答えた。
「運動苦手でも」
「だったらね」
 それならとだ、愛は咲の返事を聞いてさらに言った。
「自転車に乗って」
「そうしてもなのね」
「東京のあちこち行ってもね」
「いいのね」
「本当に東京は交通の便がいいから」
 だからだというのだ。
「そうしてもね」
「いいのね」
「そうよ、しかも東京って平地でしょ」
「山もないわね」
 東京都内に目だった高い場所はない、坂はあってもだ。
「だからね」
「行き来も楽ね」
「だから自転車で行っても」
 そうしてもというのだ。
「いいわよ」
「そうなのね」
「まあどうして行くかは咲ちゃんが決めればいいわ」
 自分でというのだ。
「山手線でも地下鉄でもね」
「どっちでもいいのね」
「バスもあるしね」
 こちらの交通手段もというのだ。 
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