八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第六百七十五話 どれだけ生まれ変わってもその十一
「そして中央警察を抱き込んでいてもな」
「それでもなのね」
「トップまではどうか」
中央警察のというのだ。
「地元にいる一人一人ならわからないが」
「中央警察長官ね」
「そんな人まで抱き込めるか」
「そこまでいくと政治の話だろ」
フックがここまで聞いて言った、どうかという顔で。
「流石にな」
「ベリヤはそうしたがな」
「あいつは政治家だっただろ」
「ソ連でもトップのな」
政治局員というソ連でもトップの地位にいた人物だった、それだけに権力を悪用すると恐ろしいことになったのだ。
「そうだった」
「だったら出来るだろうがな」
「一介の探偵がだな」
「そんなこと出来るか」
そもそもというのだ。
「そうだろ」
「その通りだ」
タムタムもその通りだと答えた。
「抱き込もうにもな」
「立場が違い過ぎるな」
「これがスターリンの側近なら別だがな」
前世の様にというのだ。
「しかしな」
「今のあいつは只の探偵か」
「商店街のな、しかもな」
「しかもか」
「新参者だな」
「そのことも関係しているのか」
「来て早々地元の警察なりと関係を深めるとかはな」
そうしたことはというのだ。
「無理だ、悪い関係を築くにもだ」
「警察を抱き込むにもか」
「時間が必要だな」
「一瞬では出来ないな」
「賄賂を贈るにしても弱みを握るにしても」
尚ベリヤは後者が大の得意であった、そうして多くの者を裏から脅し抱き込む様なこともしていたのだ。
「絶対に時間が必要だ」
「そうね、悪いことするにも時間っているわね」
ラビニアもそう聞いて言った。
「どうしても」
「一瞬では出来ないな」
「誰とどういった関係を築くにしても」
「どうしてもな」
「時間はね」
それはというのだ。
「必要よ」
「そうだな、だからあいつはな」
「地元の警察ともなのね」
「おそらくだがな」
この街では新参者ということも考慮すると、というのだ。
ページ上へ戻る