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ハッピークローバー

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第四十話 期末テストを前にしてその十三

「それも夢じゃなかったのよ」
「あの人は」
「そうなれるまで成績はよかったけれど」
 弁護士にならずとも、というのだ。
「官僚にもなれたし」
「そう思うと凄いわね」
「けれどね」 
 それでもというのだ。
「お勉強以外はね」
「ああなのね」
「もう駐車禁止でもね」
 弁護してもらうと、というのだ。
「死刑になるんじゃないかっていう位の」
「酷い能力ね」
「そんなのだと」
 それこそというのだ。
「どうしようもないでしょ」
「ううん、生きていても」
 それでもとだ、富美子は思った。
「仕方ない?」
「そこまでは言わないけれど」
 美奈代は富美子に答えた。
「ただ観ていて何この人でしょ」
「そう思うわね」
「そう思われることは残念よ」
「思われる本人にとっても」
「実際あの人国会でも相手にされてないでしょ」
「おかしなことしか言わないから」
「ネットでもネタになってるだけで」 
 それだけでというのだ。
「まともな意見としてはね」
「扱われてないわね」
「だからああした人にならない為にも」
「お勉強だけじゃないのね」
「あの人弁護士になってからは」
 司法試験に合格してだ。
「過激派と付き合いあったっていうし」
「そうだったの」
「あんなおかしな人になったみたいだし」
「勉強以外してなくて」
「それでね」
 弁護士になってというのだ。
「そうなったらしいから」
「まともな人と付き合って」
「まともな人とお話してね」
 そうしてというのだ。
「世の中を色々巡って観て回ってよ」
「アルバイトもして」
「そして遊びもしてね」 
 そうした経験を積んでというのだ。
「世の中を知るべきよ」
「そうしたらああした人にならないのね」
「そう思うわ。しかし東大出ても駄目な人は駄目」 
 美奈代は腕を組んで嘆息してから言った。
「それがわかるって凄いわ」
「そうよね」
「そう、勉強が出来なくても凄い人は凄いし」
「その二年の人みたいに」
「出来るに越したことはなくても」
 学校の勉強というものはだ。
「それが絶対かっていうと」
「違うってことね」
「そういうことね、あとね」
「あと?」
「あんた海行って開放的になってもね」  
 海の家でアルバイトをしてというのだ、空いている時間は海で遊ぶことも頭に入れての言葉である。
「それでも羽目は外し過ぎないことよ」
「外してもいいのね」
「ある程度はね、けれどね」
「それでもなの」
「外し過ぎてね」 
 そうしてというのだ。
「乱痴気騒ぎなんかはよ」
「しないことね」
「例えば男の人と遊んで」 
 そうしたことをしてというのだ。 
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