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イベリス

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第七十三話 何の価値もない思想家その九

「やっぱりね」
「ストレス溜まるな」
「何かとね」
「人間生きているとな」
「それだけでなのね」
「ストレスが溜まるものだ」
「そうよね」
 母もそれはと答えた。
「大なり小なりね」
「そうだよな」
「お母さんだって感じるわ」
 こう夫に述べた。
「パートしていても」
「家事とかしてもな」
「いいこともあるけれど」
 それと共にというのだ。
「悪いこともあるから」
「それで溜まるな」
「何かとね」
「だから父さんもでな」
 それでというのだ。
「今はな」
「お酒飲むのね」
「そしてだ」
 そのうえでとだ、娘に飲みつつ話した。
「明日休みだからな」
「とことん飲んで」
「すっきりするな」
 ストレスを解消するというのだ。
「だから飲むんだ」
「今はそうするのね」
「そうだ、しかしお前が飲まないならな」
「勧めないのね」
「好きなものを飲め」
 そうしろというのだ。
「いいな」
「じゃあ牛乳飲むわね」
「そうするといい、あと牛乳から造るお酒あったな」
 牛乳と聞いてだ、父はふとこのことを思い出した。
「そうだったな」
「あるわね」
 母もそれはと答えた。
「確かに」
「そうだよな」
「ええ、馬のお乳からもお酒出来るし」
「モンゴルのクミズだな」
「だから牛乳からもね」
 これからもというのだ。
「出来てね」
「ちゃんとあるな」
「そうよ」
 実際にというのだ。
「今度飲む?」
「そうしてみるか」
 父は乗り気という顔で応えた。
「その時は母さんも飲んで」
「咲もね」
「一家で飲んでみるか」
「いいわね」
「牛乳のお酒って美味しそうね」 
 咲は牛乳が好きですぐにこのことからこう思った。
「それも」
「そう思うでしょ、咲も」
「ええ、牛乳も美味しいから」
「だったら今度ね」
「お店で買ってきて」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「一緒に飲みましょう」
「それじゃあね」
「あと日本でもモンゴルのお酒飲めるわよ」
「そうなの」
「その馬のお乳のお酒もね」
 これもというのだ。 
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