イベリス
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第七十三話 何の価値もない思想家その八
「そこからね」
「ちゃんとしていくことね」
「そうしなさい」
「その通りだな」
焼酎を飲んでいる父も頷いた。
「飲みものもな」
「大事なのね」
「父さん日本酒やビールは飲んでないだろ」
「ええ」
そうだとだ、咲も答えた。
「焼酎とかワインよね」
「ウイスキーも飲むがな」
「そういうのよね」
「ビールは痛風になってな」
ビールは痛風の原因であるプリン体が多いからだ。
「日本酒は糖尿病だ」
「糖分が多いから」
「そういうのに気をつけてな」
それでというのだ。
「だからな」
「焼酎やワイン飲んでるのね」
「そうなんだ」
その焼酎を飲みつつ言う。
「お酒だってな」
「何を飲むかが大事なのね」
「そうだ。咲もお酒好きだろ」
「大好きよ」
咲も否定しなかった。
「お酒最高よ」
「それでこそお父さんとお母さんの娘だ」
父は笑って答えた。
「酒好きでな」
「お母さんも好きだし」
「そうだ、しかしな」
それでもというのだ。
「お酒も色々でな」
「どんなものを飲むかね」
「それが大事なんだ」
「そうなのね」
「焼酎やワインならいいんだ」
言いながら焼酎を飲む。
「それがな、しかし今日は飲まないんだな」
「今日はね」
咲はあくまでと答えた。
「そうするわ」
「その考えならいい、けれど飲むならな」
「身体にいいものね」
「そのことを考えてな」
そうしてというのだ。
「飲むんだ」
「お酒も」
「そうすることだ。じゃあ父さんは今日はな」
この夜はというのだ。
「とことん飲むぞ」
「明日お休み?」
「ああ、これまでのストレスをな」
それをというのだ。
「もうな」
「とことん飲んでなのね」
「忘れてな」
そうしてというのだ。
「まただ」
「お仕事頑張るのね」
「そうする」
まさにというのだ。
「明後日からな」
「その為にも」
「やっぱり働いているとな」
そうしていると、というのだ。
「結構な」
「ストレス溜まるのね」
「学校でもそうだろ」
父は娘に問うた。
「そうじゃないか?」
「それはね」
咲も否定せず答えた。
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