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IS 転生白書 オリ主が奏でる新しいインフィニット・ストラトス

作者:ハト胸
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拓夢切れる!

 
前書き
相川拓夢
 16歳、黒髪に青い瞳。
 咄嗟の判断で動ける人間。
 状況判断能力も高く、的確な指示で皆を非難させた。
 そして戦場へと赴く。 

 
 「くそっ、あたらねえ!」

 「何やってんのよ一夏!しっかり狙いなさいよ!」

 そんな事言っても、当たらないものは当たらないのだ。
 一夏は非常に焦っていた。
 頼みの綱である零落白夜も、当たらなければ無いのと同じ。
 鈴の衝撃砲でなんとか牽制できているものの、ダメージはさほど与えられていなかった。
 
 凶暴な奴だ。それが一夏がゴーレムに感じた第一印象だった。
 両腕の砲台から放たれるレーザーは高出力で、当たればエナジーが削られるだけではすまない。
 痛みもくるだろうし、絶対防御が発動してしまうかもしれない。それほどの威力。
 
 さらに恐ろしいのは、こちらの話を聞こうともしない姿勢。
 なんど話しかけても応答は無く、決まって標的にされるのだ。
 作戦会議の暇すら与えないという気迫で、ゴーレムが二人を狙って攻撃を仕掛ける。

 基本は固定砲台よろしく打つだけだ。その場からのレーザー射撃。だが、それが厳しい。
 腕だけではなく、肩や胴からも放たれるレーザーを回避し続けるのは、並大抵の集中力じゃ続かない。
 一発もクリーンヒットしていない一夏と鈴の状況は、奇跡とも言っていいものだった。
 少しでも気を抜けばやられる。その事が本能的に理解させられているのだ。

 「なぁ、鈴!あいつの動き変じゃないか?なんこう、機械染みているっていうか・・・」

 一夏が気が付いたのは単純なことだった。
 レーザーの打たれるタイミング、角度や間隔が一定なのだ。独自のリズムに基づいて、一定間隔で放たれるレーザーを回避しているうちに発見したことだった。

 「元々ISは機械よ?あんた何言ってんのよ!」

 「そうじゃない、なんだろう・・・。あれって本当に人が乗っているのか?」

 余りにもおかしい。もしかしたら、という考えが一夏の中で渦巻く。
 
 「当たり前でしょ、ISは人が乗らないと動かない・・・。でも、確かに機械染みているってのは分からなくは無いわ」

 鈴にも思い当たる節はあった。
 不可視の筈の衝撃砲。だがISの機能を使えば探知することも出来るのだ。だが人間の心理上、不可視のものをセンサー頼りで回避するのは困難である。どうしても視覚に頼って行動するからだ。だが、このISにはその隙がなかった。
 まるで、精密機械が動かしているような、そんな反応だった。

 「いいわ、仮にあれが無人機だと仮定するとして。何か打つ手はあるの?」

 「ある」

 そう言い切った一夏の目には確かな光が満ちていた。
 それを見た鈴は、察する。おそらく何か自信を持てる策があるのだと。

 「分かった、協力してやるわよ。何をすればいいの?」

 そこからは速かった。
 攻撃を回避しつつ二人で二言三言話しただけで伝わった。
 様は一夏の背中に衝撃波を当てることで、一時的にエネルギーを限界領域まで底上げし、その勢いとエネルギーを使った音速の一撃を叩き込むという作戦。
 十分に勝機があるとは言えない。だが、それ以外に打つ手が無かったのも事実。
 ならば、賭けて見るしかないだろう。

 「いくわよ!」

 「おう、来い!」

 そして、作戦が実行される。

 相変わらずレーザーを打ち続けるゴーレム。だが、二人にはパターンが読めてきていた。
 何度も何度も回避していたのだ、体がそのリズムを記憶している。
 二人は回避をしながら、徐々に距離を詰めた。その間20m。
 さあ、作戦開始!
 
 鈴の前に一夏が飛び出した瞬間、躊躇わずに衝撃砲が放たれた。エネルギーを限界まで溜めた一撃が背中にヒットし、一夏は苦悶の表情を浮かべながらも、にやけた。

 「これで、おわりだぁああああああああ!!」

 ごうっ!零落白夜が発動し、エネルギーのなせる技か金色に輝くオーラを身に纏った一夏は突撃をかます。
 その勢いたるや、まさに音速。目には決して見えない速さで、一夏はゴーレムに肉薄しそして・・・・

 「一夏っ!?」

 刃はゴーレムの体を掠めただけだった。回避されたのだ、あの一瞬で。
 即座に反撃がくる。
 ゴーレムの放つ紫色のレーザーが一夏を包んだ・・・・・・。





 IS 転生白書 オリ主が奏でる新しいインフィニットストラトス
                      第30話 拓夢切れる!





 やられた──。
 中国の代表候補生である鈴は、状況を即座に判断した。シビアに。
 一夏の戦闘復帰は難しい、というか無理だ。あの攻撃を至近距離で受けてしまっては、もう・・・・・・。
 その思考は、一夏が光に包まれた一瞬で行われた。その判断速度は代表候補生として必須な能力だ。常に厳しい現実を考え、それに対処できるように即座に思考を巡らせる力。

 が、鈴の思惑は大きく外れることになる。

 「・・・・・・ちっ、好き勝手やってくれたな?」

 「た、拓夢っ!?」

 そこには青が佇んでいた。
 攻撃を受けたと思った一夏は何故か無傷。一夏とゴーレムの間には、左手をゴーレムに向ける拓夢がいつの間にかそこに居た。

 (あり得ない!ISのハイパーセンサーで捉えられなかった!?)

 確かに何の反応も無かった。どんなに速かろうと、ISを装備していたのならハンパーセンサーが発動して拓夢が来たことは分かるはずである。それが分からなかったと言う現実が、恐ろしい。

 「・・・・・・」

 一夏と鈴は理解した。拓夢が本気で怒っていることを。
 拓夢は頭に血が上るほど冷静になるタイプだ。だが、それも一定値を超えてしまえば関係なくなる。理性的だった仮面がはがれ、ただ相手を壊す無表情が現われるのだ。
 今の状況がまさにそれだ。

 「一夏、戻ってきなさい!」

 「お、おう!」

 邪魔をしてはいけない。小学校中学校と共に過ごした二人だから分かる、今の拓夢の傍にいてはいけないと。

 そして一夏が鈴の方へ飛ぼうとして浮いた瞬間、ゴーレムからレーザーが放たれた。
 
 「しまっ・・・・」

 回避は不可能。当たる───。だが、衝撃は来ない。

 その時鈴は見た、拓夢の拳が光ったと思ったら、レーザーに何かがぶつかり相殺されたのを。
 
 「・・・・こっちは腸煮えくり返ってんだ。アイツに怪我させた代償、払ってもらうぞ」

 それが、この戦闘での拓夢が発した最後の言葉だった。

 怒涛。まさにその言葉がぴったり当てはまる。
 恐ろしいほどの速度で振るわれる拳が、ゴーレムに回避の隙など微塵にも与えなかった。
 金属と金属がぶつかる音、鉄がこげる臭い、オイルの臭い。
 拓夢が拳を振るうたびに飛び散るオイルは、ゴーレムが無人機であることを証明していた。

 ゴーレムがレーザーを放てば光の拳で相殺。ゴーレムが殴りかかればカウンターがジャストなタイミングで決まる。逃げようと距離を取る事は許さないとばかりに、前へ前へ詰めていく拓夢。

 手がぶれて見える。その現象は理解できないものだった。ISのハイパーセンサーを持ってしても視認出来ない速さ。それは理を外れてさえいるように感じられる。

 結局拓夢が介入してから約10分ほどで、ゴーレムは完全に無力化されたのだった。
 力なく崩れ落ちたゴーレムを見た拓夢の表情は、これ以上無いくらいに歪んでいた・・・・・・。 
 

 
後書き
拓夢、闇落ちふらぐ?
とにかく切れると強いを通り越します。
拓夢の第三世代兵器、シャイニング・フォーストは使用されるのが別途のエネルギーと言えど、元はレーザーなどのエネルギーと同じです。なので、量さえ考えれば相殺も可能なのです。
第三世代兵器と言うだけあって、とても強力で多様な面に対応できるんですよ。
千冬さん達は今回はしょらせてもらいました。ピットのモニターを見ながら、拓夢が登場してからは開いた口が塞がらないって程驚いていたと記述しておきましょう。 
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