IS 転生白書 オリ主が奏でる新しいインフィニット・ストラトス
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ゴーレム登場!
前書き
相川拓夢
16歳、黒髪に青い瞳。
一度愚だリ始めると回復まで時間がかかるため、彼を知る者は放置することにしている。
その間、悪態が通常より増えるため、慣れない者からすれば近寄りがたいと感じるだろう。
「あーいよいよか・・・」
「そうだね。・・・な、なんかコッチまで緊張しちゃう」
5月。いっきに季節がぶっ飛んだけど気にするな。
なにやら一夏と鈴の間に一騒動ありの様子で、初めて模擬戦を行った日から鈴と一夏は全く話していなかったようだ。
一夏が鈴と喧嘩した翌日、俺は直接その理由を聞いた。そして、呆れた。
また出たんだよ、一夏の無神経が。
約束があったらしい。料理の腕が上達したら、鈴の作った酢豚を毎日食べて欲しいと言う約束が。
一夏はそれを忘れていなかったらしいが、意味を履き違えていた。
鈴がこの言葉に含めたのは告白だ。日本には毎日味噌汁を~という言葉があって、それは結婚の時などに使われるらしいんだ。
で、これはその中華版ってわけ。つまり酢豚=味噌汁。鈴は一夏にプロポーズしたのと同義ってわけだな。
てかそんな約束してたなんて知らなかったぞ。と俺が鈴を茶化すと、笑われるだろうから黙ってたと言われた。
どうやら当時の俺の信用度は、その程度だったらしい。
笑われるからって。確かに笑うかもしれないと思った俺は今でも馬鹿なのだろうか。
それから色々あって、どうやらこの勝負に勝った方が敗者にひとつ言うことを聞かせられるらしい。つまり命令できるってわけな。
そんなモノが懸かってる訳だから、一夏も気合が入ってたし。
練習自体はスムーズに進んだ。
俺は基本、清香の練習に付き合ってたんだけど、手が空いてる時は一夏の相手もしたしな。
ちなみに模擬戦は何回かやっている。その評価はまあまあってところ。
一夏は良くも悪くも本番に強いタイプだ。これは練習で弱いって意味ではない。
では無いんだけど、どうにも動きがイマイチなんだ。
しかも攻撃を避けるまでの反応が遅い。俺と一夏の機体は近接特化型。
つまり、敵の攻撃を如何に掻い潜り自分の距離に持ち込むのかが肝心だ。
特に一夏の機体なら、零落白夜を発動させて一撃で勝負を終わらせることが出来る。
だと言うのに、一夏は真っ直ぐ突っ込むことが多いんだ。搦め手が弱いって言うのか。
「はぁ、心配だ・・・」
「そうだよね。でも、こんだけ練習したんだもん、大丈夫だよ!」
「ん~、そうだなぁ。ま、後はアイツを信用してみてるだけか」
「うん。いっぱい応援しよ!」
清香は今日も元気だ。
俺達はアリーナの観客席にいる。
今回の試合は目玉として一夏がいる。それに専用機同士の戦いなんてそうそう見れるもんじゃないらしい。俺等はいつも見てるから別としてだが。
それで政府のお偉方、企業の重役、研究者などが多数入ってきていて、貴賓席もぱんぱんなんだとか。
その注目されている当の本人達は、多少の自覚はあっても目的しか見てないって感じ。
とにかく相手を倒すことしか考えてないみたいだ。
二人の視線が、アリーナ中央上空で交差している。
火花が散っているとも言えるかな。
『それでは両者、試合を開始してください』
ビーッと鳴り響くブザーを合図に、一夏と鈴が同時に動き出した。
僅かに速いのが鈴。
瞬時に展開した両端に刃が付いている変則型の青龍刀を用いて、一夏に切りかかったのだ。
一夏も瞬時に雪片を展開することで防いだが、反動で体制を崩す。空中で回転しながらもなんとか持ち直したようだ。
だが一夏に反撃のチャンスは訪れない。
まるでバトンを扱うかのように、手馴れた手つきで青龍刀を操り、上下左右からの打ち分けで一夏を追い詰める鈴。
回転する刃を受け流すだけで精一杯の一夏は、自身が攻撃に出る暇も無いようだ。
防戦一方である。
「一夏君、このままじゃ不味いよね・・」
「そうだ。なんとか今の状況から逃げ出さないとな。折角の接近戦でも、これは鈴の土俵だから。このまま削り殺されることもありえる」
清香が不安がっている。無理も無い、この状況なら誰だって心配になるさ。
ちなみに箒とセシリアはチケットが取れなかったため、千冬さんたちとピットのモニターで見学中だ。
一夏が動いた。状況を打開しようと距離を取るつもりだ。確かに俺も一夏と同じ状況なら同じ選択をしている。上手く離れられる!そう思った矢先、白式が大きく弾き飛ばされた。
「あれが、鈴の特殊武装・・・」
衝撃砲。中国の第三世代機甲龍に搭載された特殊武装、または第三世代兵器。
空間自体に圧力をかけることで砲身を生成、その余剰で生じた衝撃を弾丸として打ち出す砲台。
まさに、砲身も弾も不可視の攻撃って訳だ。単純に聞こえるかもしれないが、強い。
「あの攻撃、強いね。一夏君避けるだけで精一杯・・・。ううん、動き回るだけで精一杯なんだ」
清香の言うとおりだった。
避ける、または回避する事は不可能なんだ。あの衝撃砲が生成された瞬間に、その場から逃げるしかない。今の一夏は、ただ我武者羅に飛び回って標準を絞らせないようにしているだけだ。
ただ、逃げ回っているはずの一夏の表情は死んでいない。まるで何かを狙っているような・・・。
そうか、きっとアレを使う気だ。一夏が新しく身に着けた必殺技。
瞬間、一夏の姿が掻き消えた。そして鈴の直ぐそばに現われる。
見えざる弾丸を掻い潜り、零落白夜の光が鈴のシールドを切り裂き、そのエナジーをゼロに・・・・。
だがここで、俺の頭に何かが走った。予感とも言うべきそれは、俺に不快感と焦燥感を与える。
一夏が勝つというこの瞬間、何がいったい?そう思ったときだった。
ズ、ドォオオオオンッ!!!
アリーナのシールドを突き破り、乱入者が現われたのだった。
IS 転生白書 オリ主が奏でる新しいインフィニットストラトス
第29話 ゴーレム登場!
「な、なにがっ!?」
それは漆黒のシルエット。俺はISのハイパーセンサーを局部使用で目の部分だけ展開、アリーナを覗いた。写ったのは不恰好な一機のIS。
高さは白式より少し上、だがそのシルエットはまるで違う。
異形。その一言が当てはまる。
逆三角形を思わせる体格、異様に小さい頭部、太く長く地面に指先が着くほどの腕、そして全身のスラスター。
もっとも気味が悪いのは、奴がフルスキンということだ。
肌が少しも露出していない。それは俺達に、奴が機械の塊であるかのように錯覚させた。
「不味いな。清香、避難するぞ」
「えっ、ちょっと・・・ええっ!?」
俺は乱入者が来た途端動き出した。なんとなくだが、こうなる事が分かっていたようにも感じる。あの予感はこの事だったんだ。
一斉に皆が避難を始めれば、間違いなく混雑して混乱する。その前に───
だがそれは既に遅かった。
「あ、あのIS、こっち狙ってない!?」
誰かがそう言った。そして次の瞬間、アリーナのシールドを貫いたレーザーが観客席を直撃した。
ドォオオオオオンッ!!
そこからは地獄だ。隔壁がすぐさま下ろされたが、負傷者が出てしまった。当たったのは3年のシートだ。不幸中の幸いなのか、レーザーはアリーナのシールドで威力が多少弱まり、軌道もそれたことで人には直撃していない。だが破壊された観客席の破片などが飛び交い、重傷者も出ている。
そして、それは俺達の方にまで飛んできていた。
「くぅっ!?」
「清香っ!!」
そのうちの一つが、清香の左腕に刺さった。鋭利なものだ。それに深く刺さっている。貫通はしていないみたいだが・・・。
「だ、大丈夫、だから・・。これくらい」
「おい、こんな時に無理すんな!直ぐ医務室連れて行くからな、それまで耐えろ!」
「う、うん・・・。拓夢、君お願い」
「任せろ!」
防護シャッターが下り、アリーナ内部の様子は見えないがおそらく戦っている。戦闘音が聞こえて来ているのだ。
観客席内部も混乱を極めた。観客席からアリーナの外へ出るためのドアが開かないのだ。電子ロックがハッキングにより閉ざされたままになっている。そのため、負傷者の移動が出来ない。
「どけっ!」
だから、ここは俺の出番だ!
ドアの前にいた三年の先輩を強引にどかす。驚かれたが、今は構っている暇は無い。
即座にISを展開する。と、何をするのか察したのか、近くの奴等が離れてくれた。
清香はシートに座ってもらっているから被害は出ない。
全力で行かせてもらう!!!
両腕を前に突き出す。そのまま扉へピタリとくっつけ、エネルギーを込める。俺の専用機、ヴォアライターの特殊武装は拳。その名も光の拳“シャイニング・フォースト”という。
別領域のエネルギーを拳に込めることで色々な用途に分けて使用できる、第三世代兵器だ。
今回はそれをドア破りに使用する。
限界まで込められた膨大なエネルギー。チャージに時間がかかり、集中力も必要なので戦闘中は出来ないが。今なら問題ない。
そのエネルギーにより灼熱化した両手は、赤く輝く。
俺は赤い掌をドアに再び押し付ける。熱であっと言う間に融解した。これで道が開ける。
さらに人が通れるほど大きな穴をこじ開けて、俺は道を譲る。
「負傷者から手を貸して出してあげてくれ!!俺もISで救助活動に移る!!」
指示を出すと、三年も二年の先輩もしたがってくれた。緊急事態だ、ありがたい。
「悪い清香。先にやばい方の人から運ぶ!ちょっと我慢してくれ」
「う、うん。気をつけて・・」
「直ぐ戻るから、できるだけ手を動かすなよ!?」
清香の怪我も酷い。出血が止まらない状態だ。だが、危険度で言えばもっと酷い人もいる。
一刻を争う人を、PICの応用で搬送する。慎重に、慎重に・・・。
だがその間、俺の心を占めるのは乱入者に対する激しい怒りだった。
後書き
ゴーレム登場!そして拓夢君、ご乱心です。表面上は平静を装ってますが、清香が傷つけられてこの男が黙っているわけが無かった。
次回、ゴーレムはどうなるのか?
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