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母犬も子犬も保護して

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第一章

                母犬も子犬も保護して 
 セルビアのノヴィ=ベオグラードの墓地でだ。
 祖母の墓参りに来ていたニコライ=コズイネン薄い金髪に青い目と白い肌を持つ若い工場員の彼はまずは眉を顰めさせた、そしてだった。
 墓参りの後自宅に帰り妻のアンナ茶色の長い髪の毛でグレーの目と面長の顔を持つ小柄な彼女に事情を話した。
「お墓になの」
「ああ、犬が穴を掘ってなんだ」
 夫は妻に話した。
「そこで四匹いたな」
「子犬を育てているの」
「そうだったんだ、幾ら何でもな」
「ええ、お墓で暮らすのはね」
「犬も死んだ人達も可哀想だ」
「そうよね、お墓は死んだ人が寝ている場所だから」
 妻も言った。
「だからね」
「どうしたものか」
「知り合いに生きものを保護する施設で働いている人がいるわ」
 ここで妻はこう言った。
「だからね」
「その人にお話してか」
「助けてもらいましょう」
「そうするか」
「そうしましょう」
「そうだな、それで犬達にはな」
「幸せになってもらいましょう」
 こう話してだった。
 夫婦ですぐに妻の知り合いの人を呼んでその人と一緒にだった。
 墓地に行った、夫はこの日二度目の墓参りとなった。すると実際に墓地の隅に穴があってそこにだった。
 シェパード風の大きな犬と小さな犬達がいた、どの犬達も怯えていた。
「クゥ~~ン」
「クゥン・・・・・・」
「クンクン」
「クン・・・・・・」
「クゥ~~ン・・・・・・」
「大人しいみたいですね」
 施設の人は彼等を見て話した。
「ではすぐに保護して」
「そうしてですか」
「獣医さんに診てもらって」 
 施設の人黒髪と黒い目の中年の豊満な身体の彼女は笑顔で話した。
「それからです」
「家族をですか」
「探させてもらいます」
「それでは」
「はい、後は任せて下さい
 施設の人はコズイネンに笑顔で応えた、そうしてだった。
 すぐに犬達は保護されて獣医に診てもらい健康状態をチェックしてもらってだった。
 蚤や虱がいたのでしっかりと治療を受けてだった。
 母犬はミーナ、雄の二匹はセルゲイとヨシフ、雌の二匹はターシャとナターリアと名付けられてそのうえでだった。
 街の郊外の牧場の番犬として家族全員が迎えられた、コズイネンはその話を聞いて休日その牧場に行くと。
 家族でしっかりと番犬として働いていた、彼等を引き取った牧場のオーナーは夫婦に明るい笑顔で話した。
「いや、丁度番犬が欲しかったし」
「それで、ですか」
「この子達を家族に迎えてですか」
「よかったよ、だからね」 
 それでと言うのだった。
「この子達はこれからずっとだよ」
「家族で、ですね」
「この牧場で、ですね」
「暮らしてもらうよ、もうお墓じゃなくてな」
「この牧場で、ですね」
「暮らしていきますね」
「そうしていくよ、幸せにな」
 明るい笑顔で話した、そして二人は定期的に犬達の話を聞いた。彼等はいつも楽しく明るく暮らしていると。 
 この話を聞いてだった、テキサス州ヒューストンに住むクリスティン=アーウィン癖のある赤髪を短くしている緑の目で小さい顔を持つ一七〇のすらりとした身体を持つ彼女はウィスコンシン州のある牧場にいてだった。
 茶色の大きな犬とその周りにいる八匹の茶色や黒、白の八匹の犬を見た、彼等はというと。 
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