住み込みは困る
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第二章
彼が淹れた紅茶を共に飲んだ、すると。
「確かにね」
「美味しい?」
「ええ」
笑顔で答えた。
「評判だけはあるわ」
「そう言ってくれるんだ」
「だからよかったら」
麗子は清四郎の顔を見て話した。
「これからも余裕がある時はね」
「こうしてなんだ」
「淹れてくれるかしら、そして」
そのうえでと言うのだった。
「二人でね」
「の、飲むんだ」
「駄目?」
清四郎を上目遣いに見て尋ねた。
「そうしても」
「い、いやそれは」
麗子の上目遣いにどきりとなりつつもだった。
清四郎は真っ赤になった顔で頷いた。そのうえで返事をした。
「いいよ」
「それじゃあね」
麗子はにこりとして応えた、こうして二人で紅茶それにコーヒーを様になったがそれはやがてだった。
家の中でもになり二人は次第に距離を詰めてきて。
清四郎が高校を卒業して麗子と同じ大学に通うことになった時にだった。
「全く、幾らいいと言ってもな」
「早いわよ」
両親は二人に呆れ貌で話した。
「十八歳と二十歳で結婚なんて」
「高校を卒業してすぐにってね」
「しかもその理由がな」
「子供出来たなんて」
「そう言われもな」
清四郎は困った顔で答えた。
「仕方ないだろ」
「まあその」
麗子も赤い顔で言う。
「そうなってしまったということで」
「けれど結婚するし大学生ならいいだろ」
清四郎は苦しい顔で言った。
「それなら」
「まあな」
「責任取ってるしね」
「大学で結婚している人もいるしな」
「それならね」
「そうだよ、ずっと一緒にいるから」
清四郎はこうも言った。
「ずっとな」
「こちらこそ宜しくね」
「うん、僕の方こそね」
笑顔で話した、そうしてだった。
清四郎は大学生の頃そして店を継いでからも麗子と一緒に過ごした、息子が生まれて娘も二人生まれてだった。
幸せに過ごしていった、最初の頃の戸惑いはもう何処にもなかった。幸せに過ごす日常があるばかりだった。
住み込みは困る 完
2022・10・25
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