チューリップと少女
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第二章
「色とりどりのチューリップ畑の中でね」
「あんな奇麗な娘空いたらね」
「本当に絵になるわ、だからね」
それでというのだ。
「ちょっと写真撮りたいわ」
「そうね、けれど勝手に撮ったらよくないから」
「親御さんがおられたらね」
「確認を取りましょう」
こう話してだった。
二人で少女の周りを見るとだった。
すぐ傍に上品そうな三十代と思われる男女がいた、満里奈はその二人を見てすぐに万土香に話した。
「女の子ずっと優しい目で見てるし」
「ええ、おそらくね」
万土香も応えた。
「お二人がね」
「あの娘のご両親ね」
「間違いないわね」
「それじゃあね」
「お二人からね」
「許してもらって」
「それで撮らせてもらうわ」
満里奈は強い声で言った、そうしてだった。
すぐに二人でそのカップルのところに行って話すと実際にだった。
少女の両親だった、それでだ。
少女の撮影を申し出るとだった。
「ええ、どうぞ」
「うちの娘でよかったわ」
「私撮ってくれるんですか?宜しくお願いします」
少女も笑顔で応えてだった。
満里奈は撮影に入った、すると。
どんどん撮っていった、そうしてだった。
最後は満足した笑顔でだ、こんなことを言った。
「もう最高よ」
「いい写真が撮れたの」
「何枚もね」
万土香にその顔で話した。
「そうなったわ」
「それは何よりね」
「だからね」
それでというのだ。
「撮った写真をね」
「コンクールに出すのね」
「そうするわ」
実際にというのだ。
「これからね」
「そうなのね」
「いや、何かが足りないってね」
その様にというのだ。
「思ってたけど」
「今日は」
「その足りないものは何か」
「奇麗な女の子だったのね」
「そうだったのよ、けれどね」
満里奈はこうも言った。
「まさかね」
「まさかっていうと」
「いや、こんな奇麗な娘がいるなんて」
その少女を見ても話した。
「奇跡みたいよ」
「確かに物凄い綺麗さね」
万土香も少女を見て述べた。
「この娘は」
「そうよね、末はどうなるかしら」
「楽しみな位ね」
「本当にね」
こんなことを話した、そしてだった。
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