恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百二十六話 ロック、狼を知るのことその七
「だからそれでいいにゃ」
「それも悪くないな」
「美衣はそれでいいと確信しているにゃ」
猛獲にとっては感覚だった。言葉はどうでもよかった。
そしてその感性からだ。ロックに話すのだった。
「けれどテリーは助けようとしたにゃ」
「誇りのない奴ならか」
「絶対に助けないにゃ。それに」
「親父もだな」
「ギースは手を振り払ったのはギースの誇りからにゃ」
「あえてそうしたんだな」
「そうしなければギースでないにゃ」
ひいてはだ。そうもなるものだった。
「テリーもギースも狼だからそうしたにゃ」
「どちらもな」
「ではロックはどうするにゃ?」
ロックン自身への問いになった。
「ロックはギースがテリーを倒して。そのギースを倒した時どうするにゃ」
「その時か」
「率直に聞くにゃ。どうするにゃ」
「多分、いや間違いなくな」
どうするか。ロックはすぐに言えた。
「俺も親父を」
「そういうことにゃ。カインも同じにゃ」
「あいつもか」
「狼だからそうするにゃ」
「そうだな。狼だからな」
「誇りであえて餓えを選んでいる狼にゃ」
心にだ。甘えや贅を求めずだ。誇りで生きているのが狼だというのだ。
「ギースもロックも。だから」
「似てるか」
「そしてテリーとギースもにゃ」
彼等はそうした意味でだ。同じだというのだった。
猛獲の話を聞いてだ。ロックは。
少し息を吐き出してからだ。こんなことも言った。
「だからテリーは俺も引き取って育てたんだな」
「そしてギースもそのロックを常に気にかけていたにゃ」
「狼だからだな」
ロックからだ。このことを言った。
「そうしたんだな」
「それでロックはどうするにゃ?」
猛獲はロック自身に尋ねた。
「やっぱり狼として生きるにゃ?」
「ああ、そうだな」
考える顔でだ。答えるロックだった。
「俺も。甘えや優しさよりも」
「誇りにゃ」
「俺は優しさは求めない」
他人に対してそれは見せてもだというのだ。
「求めるのはな」
「誇りにゃ」
「それだ。そうか。親父はそうだったんだな」
今だ。ギースのこともわかったのだった。
「あいつはずっとそうして生きてきてるんだな」
「そういうことにゃ。美衣もそう思うにゃ」
「こっちの世界に俺が来た理由は」
それはどうしてか。ロックはそのことも今わかった。
「このことをわかることもあったんだな」
「だったらいいことにゃ。ロックはいい狼になるにゃ」
「いい狼か」
「それになれるにゃ」
「じゃあなってやるさ」
微笑みだ。こう答えるロックだった。
「そのいい狼にゃ」
「その意気にゃ。頑張るにゃ」
「ミケ達はロックを応援するにゃ」
「だからこれからも宜しくにゃ」
「こちらもな。あんた達と会ったのもな」
トラにミケ、シャムも見る。
「そういう縁なんだろうな」
「縁は凄いものにゃ」
猛獲は笑ってまた言う。
「こうして色々な人と出会えてわかり会えるにゃ」
「そうだな。本当にな」
「じゃあ食べるにゃ」
猛獲が続いて言うことはこちらのことだった。
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