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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百二十六話 ロック、狼を知るのことその六

「けれど言われてみればそうにゃ」
「大王様もいいこと言うにゃ」
「そう思うにゃ」
「そうだな。ギースとテリーは」
「狼だにゃ」 
 猛獲はだ。二人をそれだと指摘した。
「そしてロックとカインもにゃ」
「俺もか」
「四人共狼にゃ」
 まさにそれだというのだ。
「だから同じにゃ」
「俺も親父も同じか」
 ロックは鋭い顔になっていた。そうしてだ。
 彼はこうも言うのだった。
「狼なんだな」
「それも餓えた。いい意味で餓えた狼にゃ」
「いい意味で?」
「餓えるというのは確かに辛いことにゃ」
 餓えについてだ。猛獲は暗い顔で話した。
「あれは一番辛いにゃ」
「というか大王様いつも満腹でないと気が済まないにゃ」
「寝てても何か食べようとする時があるにゃ」
「はらぺこ大嫌いにゃ」
「その通りにゃ。あれはとても嫌なことにゃ」
 そのことについては本当に心から言う猛獲だった。
「餓えるとそのまま死ぬにゃ」
「けれどいい意味か」
「そうにゃ。食べることで餓えたら駄目にゃ」
 猛獲が今言う餓えの核心をだ。彼女自身が話すのだった。
「けれどにゃ。それでもにゃ」
「何に餓えるかだな」
「誇りにゃ。誇りを持って餓えているにゃ」
「それが俺か」
「そしてギースもにゃ」
 ひいてはだ。彼の父であるそのギースもだというのだ。
「ギースは悪い奴だけれど誇りがあるにゃ」
「あいつは二度死んでいる」
 ロックは食べる手を止めて述べた。
「二度デリーに負けてな」
「一度目で死ななくてにゃ?」
「またテリーの前に立ちはだかってそうして」
 その最後の決戦でだ。ギースはだ。
「テリーのパワーゲイザーで吹き飛ばされてそのまま落ちるところだった」
「それでテリーが助けたにゃ」
「そのことは知ってたんだな」
「聞いたにゃ。色々と」
 それで猛獲も知っていたのである。ギースとテリーの戦いの顛末を。
「けれどギースはテリーのその手を振り払ったと聞いたにゃ」
「そしてあいつはまた死んだ」
 二度目なのだった。そうなったのだ。
「助けられることを拒んでな」
「それにゃ。何故テリーはギースを助けようとして」
「ギースはテリーの手を振り払ったか」
「ギースはテリーの父親の仇と聞いているにゃ」
「その通りだ」
 だからこその因縁なのだ。両者の間の因縁は深い。
 そしてだ。その因縁故に戦ってきた。両者は遺恨の相手同士なのだ。
 しかしテリーはそのギースを助けようとした。ロックはこのことについて猛獲達に話していく。
「俺は何となくわかっていた」
「何となくにゃ?」
「ああ。ただ言葉に出して表現するのはな」
「できなかったにゃ?」
「ちょっとな」
 それはだというのだ。
「どう言っていいかわからなかった」
「けれど頭ではわかっていたにゃ」
「ああ、そうだった」
「それは美衣はいつもにゃ」
 猛獲は笑ってロックにこう話す。
「頭でわかっても言葉には出せないにゃ」
「それが大王様にゃ」
「言葉に出すのは苦手にゃ」
「それでそうなるにゃ」
「けれど頭ではわかっているにゃ」
 猛獲はトラ達の言葉を受けても胸を張りだ。
 腕さえ組みだ。威張った顔にすらなってこうロックに話していく。
 
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