| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百二十六話 ロック、狼を知るのことその二

「ですが船です」
「それが足りません」
「船ね。赤壁での戦いに備えてかなり造ったけれど」
「それを交州に回すべきかと」
「そう考えます」
 二人がこう上奏するとだ。孫策もだ。
 考える顔をしながらだ。こう答えたのだった。
「わかったわ。それじゃあね」
「はい、ただそれはです」
「戦が終わった後で」
「そうね。今船は置いておいた方がいいわね」
 二人の言葉にだ。また頷く孫策だった。
 そしてその主にだ。張紘が言った。
「南方での戦いも考えられます」
「ええ。赤壁と同じ様にね」
 戦の話になりだ。孫策の顔に政の話の時とはまた違った緊張が入った。
 そしてだ。彼女はこう言うのだった。
「またああした戦も考えられるわね」
「北は馬ですが南は船です」
 張紘はこの国の地形から話した。
「黄河と長江では違います」
「そうなのよね。私もそのことは都に入ってそれで実感できたわ」
 揚州にいてはそこまではだったのだ。
「話には聞いていたけれどね」
「はい、肌で実感されてこそです」
 今度言ったのは張昭だった。
「それであらゆることが確かになります」
「そうね。本当にね」
「では今は」
「港だけ整えましょう」
 船を置くだ。そこをだというのだ。
「そして戦が終わればね」
「はい、劉備殿ともお話して」
「そのうえで決めましょう」
「次の帝になるのは劉備だからね」
 既に太子となっている。それならもう決まっていることだった。
「帝もことが終われば劉備に位を譲るって言われているし」
「劉備殿が帝ですか」
「それなら国は安泰ですね」
「あの娘はあれなのよ」
 微笑む顔でだ。孫策はその劉備について話した。
「本人は気付いていないけれど傍にいたらね」
「その力になりたくなる」
「そうした方ですね」
「そうなのよ。不思議にね」
 それが劉備だというのだ。
「ただ。それがね」
「この世界にとっては」
「いいことですね」
「乱れかけていた世が一つに戻ったわ」
 まずはそうなったというのだ。
「そしてそのうえでね」
「はい、今度は魔を倒し」
「まことの意味での泰平を」
「もたらすのがあの娘なのよ」
 劉備の持つだ。不思議な魅力によってだというのだ。
「自然と力になってあげたくなるからね」
「私は当初です」
「私もです」
 張昭と張紘はここで孫策に対して真剣に述べた。
「天下に泰平をもたらすのは大殿と思っていました」
「そして雪蓮様だと」
「私もある程度まではそう思っていたわ」
 真面目な目でだ。孫策は話す。 
 その席に足を組み座り腕を組みだ。何時になく真剣な面持ちである。
「けれどそれはね」
「劉備殿だった」
「そうだったとは」
「私は揚州、そして交州」
 彼女が牧を務めるその二州のことを話してだった。
「それ位ね。天下を治めることは器じゃないわ」
「それは違うと思いますが」
「ですが」
「ええ。あの娘は天下全てに笑顔をもたらすのよ」
 揚州や交州だけでなくというのだ。
「そうした娘だから」
「それだけにですね」
「あの方こそが」
「そうよ。劉備は天下の器よ」
 孫策も認める程のだというのである。
「あの娘ならやってくれるわ」
「では雪蓮様はですか」
「あの方と共に」
「元々皇帝とかには興味がなかったしね」
 実はそうしたことは考えていなかった。孫策はそのことも話す。
「それは結局袁紹や曹操も同じだったみたいだけれど」
「なら皇帝は」
「やはり劉備殿ですか」
「あの娘しかいないわ。袁術は子供だし」 
 だから彼女も駄目だというのだ。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧