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ハッピークローバー

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第三十七話 夏の食べものその十一

「幾ら勝率一割台になってな」
「万年最下位でもだな」
「巨人は巨人だよ」
「それじゃあ敵だな」
「巨人は悪い奴等だからな」 
 古田も言った。
「もう存在自体がっていう位にな」
「そうだよな」
 成海は古田にも応えた。
「悪の限りを尽くして」
「球界を私物化して人を洗脳してな」
 巨人こそが正義であり球界の盟主であるとだ、マスメディアを使って戦後国民を洗脳してきたのである。
「そうしてきたからな」
「巨人は悪だよ」
「あんな悪い連中ないな」
「本当にそうだな」
「その巨人を嫌いならいいことだ」
 越智はチョコレートパフェを食べながら呟く様に言った。
「本当にな」
「そうだよね」
 伊東は越智の言葉に頷いた。
「他のチームが強くて」
「巨人が弱いならな」
「こんないいことはないよ」
「そうだな」
 越智は伊東の言葉に頷いた。
「まさにな」
「そうだよね」
「そのお陰でだ」
 巨人が弱い為にというのだ。
「日本も世界もよくなっている」
「皆巨人が負ける姿見ると元気が出てね」
「仕事も勉強も頑張れてな」
「その分日本がよくなってね」
「日本はやはり世界の中で重要な位置にある」 
 そうされる国の一国であることは間違いない。
「その日本が元気だとな」
「世界にも影響するね」
「それもよくなるとな」
「いい影響を与えるね」
「そうだ」 
 まさにというのだ。
「だからな」
「巨人は負けるべきだね」
「永遠にだ」
 人類の歴史が続く限りというのだ。
「今の状態でいくべきだ」
「勝率一割台毎年百敗以上だね」
「本塁打数得点盗塁数最低でな」 
 勿論十二球団である。
「失点被本塁打被盗塁エラーは最高だ」
「十二球団で」
「そして無様な負けを続けるな」
「そんなチームであって欲しいね」
「巨人には無様な負けがよく似合う」 
 越智はライチ酒を飲みながら述べた。
「まさにな」
「その通りだね、それは」
「恰好悪い弱い巨人は最高だ」
「そうそう、巨人が弱いとね」
 富美子もまさにと語った。
「見ているとざま見ろってなってね」
「それだけでご飯美味しいわ」
 留奈も言った。
「毎日負けてるとね」
「そうよね」
「それで見てると確かに元気出るわ」
「それでお勉強頑張れるわね」
「遊びもね」
「自然と元気になってね」 
 巨人の敗北を見ると、というのだ。
「頑張れるのよね」
「そうよね、それは日本人の殆どがそうだから」
 留奈は言った、観客動員数は十二球団最低であるがアンチの数は十二球団最高であるのが巨人というチームなのだ。 
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