八条学園騒動記
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第六百七十二話 朝はそうなったその四
「そうじゃ、本を借りてもな」
「その本を面白いとですか」
「言うもので偉そうに批評なぞしてはな」
借りた本をというのだ。
「無作法であるし大体貸した人はどう思う」
「貸した本に文句言われたら」
「二度と貸したくなくなるな」
「そうですね」
「貸してもらったことにな」
このことにというのだ。
「感謝してな」
「批評もですね」
「抑えるのがな」
それがというのだ。
「作法であってな」
「ダンディズムですね」
「そうじゃ」
野上君に食べつつ話した。
「そうなのじゃ」
「博士にとってダンディズムは絶対のものですね」
「うむ、だからな」
「こうした時もですね」
「口に合わないならな」
それならというのだ。
「何も言わぬ、言わぬとな」
「それでいいですか」
「言ったら終わりじゃ」
言葉に出せばというのだ。
「もうな」
「だからですね」
「合わないならな」
それならというのだ。
「もうな」
「言わないことですか」
「わしはそう考えておる」
野上君に話した。
「まさにそれがじゃ」
「ダンディズムですね」
「痩せ我慢でも恰好をつける」
「そうじゃ、ダンディズムとはな」
博士はこちらのことも話した。
「常に礼儀正しくな」
「恰好をつけるものですか」
「それもクールにな」
「痩せ我慢でもですね」
「無理をしてでもな」
例えそうしてもというのだ。
「恰好をつけるものでじゃ」
「だから本を借りてですね」
「面白くないと感じてもな」
「お礼を言うものですね」
「そうじゃ、というか人として基本であろう」
「折角貸してくれたのにですね」
「文句ばかり言うのはな」
そうした行為はというのだ。
「相手がどう思うか」
「嫌に思いますね」
「それが続くとな」
貸した本を悪く言われると、というのだ。
「相手はその人自体をじゃ」
「悪く思いますね」
「そうじゃ」
そうなるからだというのだ。
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