八条学園騒動記
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第六百七十二話 朝はそうなったその三
「博士はいい雇い主ですね」
「そう言うか」
「はい」
そうだというのだ。
「本当に」
「そうか」
「ブラックな上司ですと」
それならというのだ。
「もうです」
「わしが風呂から出てからか」
「その時まで待つ様に言って」
そしてというのだ。
「そうしてです」
「わしが出てからじゃな」
「温かいできたてをです」
「出す様にじゃな」
「言いますよ、その間じっと待っていろって」
「わしが風呂に入る間か」
「そうしたものですよ」
こう言うんどあった。
「ブラックですと」
「そんなことは言わん、作ってもらってるのじゃ」
博士はあっさりとそうした上司を否定した、それが上司ではなく雇い主だとしても同じだというのである。
「決してな」
「博士はですね」
「作ってもらってじゃ」
そうしてもらってというのだ。
「偉そうにそう言うなぞじゃ」
「されないですよね」
「そんなことは無礼千万じゃ」
博士は言い切った。
「マッドサイエンティストはダンディであるべきじゃ」
「格好良くあるべきですか」
「それでそんな無礼なことをするとな」
「ダンディじゃないですか」
「無作法、無礼はダンディに反する」
こう言うのだった。
「だからじゃ」
「そうしたことはされないですか」
「うむ、では今からな」
「お風呂ですね」
「そこですっきりしてくる」
博士はここまで言ってだった。
風呂に入った、そして一時間程でいつもの白いタキシードとマント姿になって戻って来てであった。
野上君が用意してくれた朝食を食べて言った。
「美味いのう」
「そう言ってくれて何よりです」
「実際に食って美味いからな」
それでというのだ。
「こう言うし作ってくれたものに店でもないとな」
「文句はですか」
「言わぬ」
全くと言うのだった。
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