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イベリス

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第六十九話 恋愛について考えだしてその四

「これからどうしたらいいか」
「目の前が真っ暗になってですね」
「途方に暮れている人を救うのです」
「そのタロットカードで」
「そうしています、小山さんもです」
 咲もというのだ。
「若しそうした時があれば」
「占ってくれますか」
「はい、ただお客様としてです」
「来ることですか」
「私が自発的に占わせて頂く場合もありますが」
 それでもというのだ。
「基本はです」
「お客さんですね」
「その立場でなら」
「占ってくれますか」
「はい、しかし私が自発的に占った場合は」
 その場合も話すのだった。
「無料です」
「そうなんですね」
「自発的にするのなら」
 そうであるならというのだ。
「お金は受け取らない」
「それが店長さんのお考えですか」
「ですから」
 その為にというのだ。
「その際はです」
「わかりました、それじゃあ」
「このことはですね」
「わかりました」
 咲も確かな声で頷いた。
「その時はお願いします、ですが失恋ってそんなにですね」
「怖いものです」
「痛くて辛くて」
「あまりにもそうなので」
 その為にというのだ。
「二度と恋愛をしないとです」
「思う人も出るんですね」
「そうです」
 まさにというのだ。
「そこまで辛いものです」
「しかも言われると」
「尚更です」
「トラウマになってですね」
「心が歪みさえします」
「そうもなりますか」
「人間性が全く変わる様な」
 そこまでのというのだ。
「辛いものです」
「幽霊や妖怪よりも怖いですね」
「はい、幽霊は人間です」
 速水はまずはこちらから話した。
「身体があるかないかです」
「それだけの違いですか」
「身体があればです」
 それでというのだ。
「普通の人間で」
「身体がないとですか」
「幽霊です」
「そうなるんですね」
「それだけの違いです」
「そうですか」
「人間のおぞましい一面は確かに怖いですが」
 それでもというのだ。
「幽霊はそのおぞましい一面が出れば」
「怖いんですね」
「妖怪は言うなら生きものと同じです」
「自然の存在ですか」
「そうです、それと同じなので」
「人を襲ってもですね」
「獣と同じです」
「それに過ぎないですか」
「ですが失恋の痛手は」
 それはというのだ。 
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