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ハッピークローバー

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第三十六話 二度目の合コンその十三

「食べないよ」
「夏のお豆腐は冷奴よね」 
 一華もそれはと答えた。
「何といっても」
「そうだよね」
「それは普通ね」
「それが泉鏡花は」
「あの人はまた特別だろ」
 越智がどうかという顔で言ってきた。
「食いものは何でも熱して食ってただろ」
「だから湯豆腐か」
「鍋も火を通したものをな」
「食ってたんだな」
「半煮えなんて食わなくてな」
「そうしてか」
「酒もだ」
 飲むものもというのだ。
「沸騰させてしかもぐらぐらとした」
「それ夏も飲んでたのかよ」
「そうらしい」
 越智は達川に真顔で答えた。
「どうもな」
「それは凄いな」
「そして義理の弟さんが家に泊まるとな」
 その時の話もしたのだった。
「布団を熱唱毒した」
「もうそこまで来ると異常だな」
「狂犬病を警戒して犬にも近寄らなかった」
「ああ、それはな」
「わかるな」
「昔は日本にもあったしな」
 狂犬病はというのだ。
「そうだったからな」
「それでだ」
「あの人犬も嫌いだったんだな」
「他にも色々逸話があるがな」
「そんな人か」
「そうだ、尚男の人だ」
 越智はこのことは強調した。
「女の子じゃない」
「ああ、あの漫画か」 
 達川もすぐに察して返した。
「あれだとあの人美少女だな」
「それで湯豆腐をかなり食ってたな」
「そうだったな」
「そして犬が嫌いと言っていたが」
「実際のことなんだな」
「尾崎紅葉の弟子だったしな」
 このことも言うのだった。
「あの人は」
「成程な」
「あの作品は色々史実に基づいてるがな」
「太宰もそうだよな」
「ああ、自殺したからなあの人は」
「それ有名だな」
「織田作之助がカレーが好きだったこともな」  
 越智はこのことも話した。
「あのカレーをな」
「大阪のカレーだったな」
「難波の方のな」
「自由軒だったな」
「そうだ、あそこのね」
「ああ、自由軒ね」
 その店の名前を聞いてだ、富美子が言ってきた。
「難波の方の」
「知っているか」
「あそこのカレー有名だからね」 
 富美子はフライトポテトを食べながら越智に答えた、そうして彼に対してコーラサワーを差し出した。
「どうぞ」
「悪いな」
「それでよね」
 富美子はさらに話した。 
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