綾小路くんがハーレムを構築する話
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綾小路くんはモテモテなのに鈍感過ぎる件。
3月初旬の昼下がり。
俺は屋上に独りで、無糖の缶コーヒーを片手に黄昏ていた……
綾小路「………どうしてこうなった。」
今、俺は強烈に悩んでいた……
それもそのはず、俺の動画が出回ったせいで、一気にスターのような扱いをされていた。俺が、登校してる時や休憩時間、昼休みの度に一気に人だかりが出来るようになった……
その様子を一之瀬たちに助けられる日々が続いていた……まぁ、動画を広めた坂柳たちのせいではあるんだが……
俺を守るためだからとか何とか理由を付けて、あのメンバーに連れ廻されるのが今の俺の定例行事になっていた……
綾小路「………ふぅ。たかが、動画一つに騒ぎすぎだろ。俺は静かに過ごしたい…」
放課後の女子って何で、あんなにパワフルなんだ……?
世間の女子高生はこういう感じなのか?
男は大変だな……
しかし、考えが無いわけじゃない。
俺一人じゃそろそろ限界だからな……
だからこそ、この時のためにあいつをここに呼んでいる。そろそろ来るはずだが……
すると、俺が呼んでいた人物が来た。
???『やぁ、綾小路くん!屋上のこんな所にいるなんて……いつも大変だね。』
綾小路「全くだ……。いつもお前はこんな思いをしていたのか?平田?」
平田「あはは。それはないよ。綾小路くんの方が何倍も凄いよ。」
綾小路「………嬉しくないんだが」
平田「ごめんよ、綾小路くん。悪気はないんだ。綾小路くんの今の状況はよく知ってるからね!」
そう。俺が呼んでいたのはCクラスの人気者、平田だ。今日もあのメンバーと放課後に過ごすのは決まったが、俺は条件を一つ出した。
それは男子も誰か誘っていいか……という条件。
流石にずっと俺だけ男一人だと片身が狭い上に周りの男どもがうるさいからな……
だが、しかし、あのメンバーと一緒だと誘えるやつも限られる上に大変なことだ。
平田ならば、女子の扱いも知ってる上にイケメン。そして、頭の回転も早い。
だからこそ、平田に白羽の矢が立ったというわけだ。神崎には断られたしな……
平田「確か、今日の放課後も軽井沢さんたちと過ごすんだっけ?」
綾小路「あぁ。今日の朝にも平田にお願いしたが、一緒に来て貰いたい。」
平田「もちろん、僕はクラスメイトのためなら構わないけど……軽井沢さんたちにはちゃんと許可は取ってるのかい?」
綾小路「あぁ。今日、坂柳たちに許可を取った。まぁ、渋々だった気がしたがな…」
俺が条件を出したとき、なんか全員ふてくされたような表情だったが……何でなんだろうな……?
あのイケメンで人気者の平田も一緒なら、むしろ嬉しいと思うんだがなー……
平田「分かったよ、綾小路くん。僕も一緒に行くよ!(絶対、綾小路くん気付いていないんだろうな……軽井沢さんたちが、綾小路くんとだけ、一緒に過ごしたいと思ってることに……)」
綾小路「……助かる、平田。今度何か奢らせてくれ。」
平田「あはは、大丈夫だよ。クラスメイトが困ってるなら、手を差し伸べるのは当然さ!」
平田は嫌な顔一つせずに、言ってくれた。
平田……お前ほど頼れる男はいない。素晴らしいぞ平田。
綾小路「じゃあ、放課後頼む。」
俺はそれだけ言って、俺たちは屋上を後にした…
放課後。
全ての授業を消化し、俺のクラスに坂柳たちが、集まったきた。
坂柳「ふふ♪ごきげんよう?綾小路くん。
今日は何処に参りましょうか?」
神室「……別にどこでもいいでしょ。」
一之瀬「ど、どこでも良くないよ、神室さん!!でも、綾小路くんと一緒なら私は何処でも嬉しいな//////」
椎名「私も綾小路くんと一緒なら何処でもいいですよ♪」
堀北「………随分信頼されてるわね?綾小路くん?」
櫛田「……ほんとだねー♪帆波ちゃんたちと仲良くなれて良かった…ね?」
軽井沢「別に~……綾小路くんが、誰と仲良しになってもいいけどね~……関係ないし~…」
佐藤「綾小路くんと今日も一緒だ♪」
長谷部「この、数日の間に、一之瀬さんたちと仲良くなれて良かったねー……きーよぽん?」
佐倉「清隆くん…。もうちょっと抑えて欲しいな…」
主に堀北、櫛田、波瑠加、恵からの圧力を感じたが、今は無視しよう……いや、やっぱ、すみません怖いです……
綾小路「信頼も何も、ないだろ?俺で遊んでるだけだろ?お前たち……」
『はぁ……×10』
綾小路「???」
なぜだか、全員に盛大なため息を吐かれた。続いて平田が、
平田「綾小路くんはホントに……軽井沢さんたちも大変だね~」
平田は一之瀬たちの方向を観ながら、言った。とにかく、俺はこの視線には勝てないので、俺と平田で先に歩きだして、ケヤキモールに向かうことにした……
背中に10人分の視線が集まるのを感じながら……
ケヤキモールに着いた。
このメンバーで過ごすのも、すっかりお馴染みとなったな。
最初はもっと他クラスのやつと過ごすことに周りから批判が出ると思ったが、俺の動画のおかげ(?)なのか、1年生の間では、カラオケに行くのがブームになっていた。
しかし、昼休みや教室ではいつものきよぽんグループと一緒にいるが、放課後はすっかり明人や啓誠とは過ごさなくなってしまったな……少し、寂しい気がする…。
まぁ、明人は俺のこの状況を楽しんでる風に見えたがな……
啓誠は『大変そうだな……清隆』と言ってくるのもお決まりとなってるしな。
綾小路「今日は何処に連れて行くんだ?」
坂柳「ふふ♪そんなに急かさないで下さい。焦らず、ゆっくり過ごしましょう。綾小路くん?」
一之瀬「そうだよー!!まだまだ、時間もあるんだからさ。焦らない焦らない~♪」
俺に近付きながら、二人は言った。
というか、一之瀬は近すぎる……
一之瀬のストロベリーブロンドの髪から、いい香りがする……それぐらい近い。
そんな事を思っていると恵が、俺たちの間に割り込んで、来た。
軽井沢「ちょっと、ちょっとーーー!!!二人とも近すぎじゃない?」
恵は何で、そんなに焦ってるんだ……?
綾小路「わ、分かったから、落ち着け。軽井沢……。」
軽井沢「分かってないわよ!!!……前々から思ってたけどさ~、綾小路くんって一之瀬さんに優しくない…?」
怒りを含みながら、疑っている風に見えた
恐らく、恵が培ってきた洞察力が、俺が一之瀬に接してる時の僅かな違和感を感じ取った……ってところか?
今も、目で訴えて来てる。『一之瀬さんと何かあったでしょ?』って感じか?
俺は恵に一之瀬を救ったことを話してないからな……
ここで、下手に恵を不安にさせると、今後に影響する可能性が高いな……
とりあえず、俺は『後で全て話す。』と目で訴えた。すると、恵は不機嫌そうにそっぽを向いた……
そして、後ろを振り返ると、他の9人から視線が、集まっていた……
坂柳「……確かにわたくしにもそう見えますわ。何か、彼女に対する特別な感情がおありなのですか?(やはり、一之瀬さんを救ったのは綾小路くんなのですね…羨ましいですわ……)」
神室「……私はそう見えないけど。いつもと一緒で無表情だし。(確かにあいつ、結局は一之瀬を助けてるしね……別に、羨ましいなんてこれっぽっちも思ってないから/////)」
堀北「私には、一之瀬さんの他にも佐倉さんと長谷部さんの二人にも優しいと思うんだけど?(私の知らないところで、グループを作って……しかも、一之瀬さんにも優しくしてるなんて…この女たらし)」
長谷部「ちょっと!なんで私たちにまで、言うのかな~堀北さん?第一、きよぽんは皆に優しいんだからさー。勝手なこと言わないでくれない?」
佐倉「そ、そうです。私たちだけが、どうとかではなく、清隆くんは分け隔てなく、とっても優しいんです//////」
佐藤「た、確かに綾小路くんは優しいからね!(でも、長谷部さんと佐倉さんいいなぁ……同じグループなんて羨まし過ぎるよー!!!)」
櫛田「そうだねー♪女の子に優しすぎるから、勘違いされるだけだよね~?(ったく本当にモテすぎなんだよ…こっちの身にもなって欲しいっての…この鈍感バカ♪)」
椎名「私も綾小路くんは優しくて頼りになりますし、一之瀬さんのこともそう見えるだけではないですか?」
一之瀬「そ、そうだよ!!!別に、私だけとかじゃないよ!!!綾小路くんは女の子になら、誰でも優しいんだから!//////」
綾小路「俺は、別に普通に接しているだけなんだが……」
坂柳「ですが、堀北さんが仰る通り、確かに佐倉さんたちとは、特に優しく接しているように見えますわ。現に佐倉さんと長谷部さんには綾小路くん、唯一名前で呼んでますよね?」
綾小路「それは、俺たちの中のグループの決まりで、そうなっただけだ。」
佐倉「そ、そうです。」
坂柳「それならば、わたくしたちも名前で呼んで貰えないでしょうか?綾小路くん」
『『『『『『!!!!!!』』』』』』
堀北「な、なんで、いきなりそういう話しになるのよ!?」
佐藤「綾小路くんからの名前呼び……////」
櫛田「そろそろ、私も綾小路くんに名前で呼んで欲しかったんだよねー♪」
椎名「私も綾小路くんに名前で呼んで欲しいです♪」
神室「……私は別に。急に男に名前で呼んで欲しくないし…。」
一之瀬「何言ってるの、神室さん!!こ、これは、その、えっとー、チャンス何だから!綾小路くんに名前で呼んで貰える///」
恵や波瑠加や愛里のことを名前で呼ぶのも慣れるまで、大変だったんだぞ……?
それに、俺なんかに名前で呼ばれたって嬉しくないだろ……
堀北の言う通り、急に何で、そんな話しになるんだ?
綾小路「……俺はどうすれば良いんだ?」
坂柳「ふふ♪綾小路くんはずるいですわ♪この状況を分かっているのでしょう?これからは私たちのことを名前で呼んで下さいね♪」
綾小路「いきなり、ハードルが高すぎるぞ……坂柳。」
坂柳「有栖ですよ♪綾小路くん……言え、清隆くん!これから、私たちもあなたのことを名前でお呼びしますわ♪それで、いいですよね?皆さん?」
『『『『『『『……//////』』』』』』』』
坂柳「皆さん異論はないようですので、お願いしますわ♪清隆くん♪」
……何だこの状況は。誰か教えてくれ。
平田「大丈夫。綾小路くんなら、断ったりしないし。ここで男を魅せてくれるよ!」
平田にそう言われたら断りづらい……
確かに断ることでも、無いしな…
名前で呼ぶのは緊張するが、覚悟を決める
そう思いながら、周りを見渡すと女子全員こっちを見ていた……
綾小路「分かった……。善処する…。」
そう言うと、全員嬉しそうな顔をした。
波瑠加、愛里、恵は元々名前で呼んでいたため、反応は無かったが…
その三人は少し不機嫌そうな顔している気がした……何故だ?
坂柳「では、決まったところで、今日はカラオケに参りませんか?」
カラオケだと……
あの地獄をまた、味わうのはごめんだ……
綾小路「いや、それなら俺は遠慮す……」
櫛田「賛成ー♪もちろん行くよね、清隆くん?」
一之瀬「私も行きたーい♪行こうよ~清隆くん!」
堀北「あなたが行くなら行っても良いけど?…き、きよ、たか……くん//////」
軽井沢「そんな畏まらなくていいんだよ、堀北さん。カラオケ行くよね?清隆?」
佐藤「い、いきなり呼び捨てはちょっと…
私はその……清隆くんと行きたいな///」
椎名「私も清隆くんとお呼びしますね♪」
長谷部「私はきよぽん呼び辞めないけどねー♪カラオケ行こうよ!きよぽん♪」
佐倉「清隆くんと一緒に行きたいなぁ…」
神室「カラオケ苦手だし、帰っていい?」
坂柳「ダメですわ真澄さん♪あなたにも今日は歌って貰うのですから!もちろん清隆くんにも来て頂きますわ♪拒否権はありませんよ?」
平田「綾小路くん!僕も付き合うから一緒に行こうよ。」
俺の味方の筈の平田にも言われたため、俺に出来ることは何も無かった……
綾小路「……はぁー。分かった、行く。」
結局、断る術を持たない俺にはどうしようも出来ないしな……。
せめて、動画とか録られないように前回以上に最新の注意を払っとくか……
特に坂……有栖と神……真澄には注意だな
いや、全員か……。
そんなことを思いながら、俺たちはカラオケに向かって歩いた。
しかし、俺は油断してたのかもしれない。
更にここから、メンバーが増えることになるとは知るよしも無かった……。
カラオケに着くまで、俺は両腕を拘束されていた……。
体育祭で魅せたあの足の早さを考慮され、俺が逃げないようにするために有栖が考えた作戦だった……。
そして、誰が俺と腕を組むか、全員でじゃんけんが行われて今に至る……
別にそんなこと、一々じゃんけんで決めなくていいだろ……って思っていたら、
全員がこっちを見て、睨むから怖かった…
いつも思うが、全員テレパシーでも使えるのだろうか?
俺は絶対に顔に出さないようにしてるんだかな……。
因みに、俺の右腕が恵で左腕が帆波となっている。
軽井沢「こ、こ、これは仕方ないことなんだからね!!き、清隆が逃げないようにするためにしょうがなく腕を組んでるんだから//////♪」
一之瀬「わ、わ、私で大丈夫?清隆くん!歩きにくくない//////?」
そんなこと言いながら、二人は随分と嬉しそうだった。顔が真っ赤な気がするが……
大丈夫だろうか?
こっちは帆波の豊満すぎる胸を意識しないようにするのが、精一杯だがな……
綾小路「落ち着け。軽井……恵。大丈夫だ。一之……帆波。」
やはり、名前で呼ぶのは緊張するな…
恵と俺の関係は周りからバレないように演技する必要があるが……
一之瀬たちを名前で呼ぶのに慣れるのは時間が掛かりそうだな……
その瞬間、二人から
『『……はうっ/////////』』
綾小路「大丈夫か?変な声出たぞ?」
軽井沢「な、なんでもないから!(なによなんなのよこれーーー//////!!!いつもは隠れて二人きりでしか、名前を呼んでくれないけど、普通に堂々と呼んでくれるし、う、う、腕まで組めるなんて……////) 」
一之瀬「わ、私も大丈夫だよ!(にゃーーー//////!!!あの綾小路くんが名前で呼んでくれたよーー///。しかも、腕まで組めるし……。心臓が持たないよ~//////)」
『『『『『『『『………』』』』』』』』
後ろからの視線が痛い……。悪寒が……。
平田は楽しそうにしている恵を見て、微笑んでるし……
とにかく振り返らないように歩いていると
すると、前から思いがけない人物達に出会った……
???「あら~~綾小路くんじゃない!!家の一之瀬さんと腕組んで歩いてるなんて
やるわね~~♪?」
???「茶化すのは程々にしろ。知恵!」
綾小路「何で、ここにいるんですか?茶柱先生?」
一之瀬「星之宮先生まで……。どうしてこんなところにいるんです?」
茶柱「愚問だな、綾小路。私が何処に居ようと私の勝手だろう?」
星之宮「もう!佐枝ちゃんったらどうしてそんなに冷たいの~?仕事が早く終わったから佐枝ちゃんと飲もうと思ってね♪」
一之瀬「そうだったんですね。」
茶柱「私は断っただろう?それなのにお前が勝手について来たんじゃないか!」
星之宮「佐枝ちゃんひどーーーい!!!」
綾小路「そうですか。じゃあ、俺たちはこれで失礼します。」
何で、よりによってこの人達に見つかってしまったのだろうか……
面倒になる前に早く退散しようと思っていたら、
星之宮「一之瀬さん達は何処に行くの~~?もしかしてデートかなぁ?綾小路くんったら、10人もの女の子引き連れちゃってー♪モテモテね~?」
ニヤニヤしながら、こっちを見て言う。
俺はどうやら、出会った時から星之宮知恵という人が苦手らしい……
綾小路「そう言うんじゃないですよ。俺なんかモテる要素ないですよ。」
『はぁ……×10』
今日二度目の盛大なため息が聞こえた……
いや、実際その通りだろ?なんでだ?
星之宮「あははは♪綾小路くんったら~~
皆も大変ね~♪これだけ鈍いと……ね?」
星之宮先生が女性陣に向かってそう言った
一体どういう事だ?
俺が葛藤していると、帆波が話題を変えるように…
一之瀬「わ、私たちはカラオケに行くんです!良かったら、星之宮先生たちもどうですか?」
星之宮「あら~良いわね♪日頃のストレス発散しちゃおうかしら~♪」
茶柱「カラオケ……だと?それは、綾小路も行くのか?」
それまではずっと興味なさそうな顔をしていた、茶柱先生がピクッと反応した……
ん?まさか……な。
星之宮「あーーー佐枝ちゃん。綾小路くんの例の歌声聴きたいんでしょー♪」
茶柱「……そんなわけないだろ///」
星之宮「惚けちゃって~♪昼休みに綾小路くんの動画こっそり観てるの知ってるんだからー♪まぁ、私もだけどね~♪」
まさか、教師であるこの人達にも動画が出回っているとはな…悪夢だ。
綾小路「……本当ですか?」
星之宮「そうよ~♪教師の間でもとっても人気者よ~♪綾小路くんは。」
茶柱「私は偶々だ……////」
星之宮「まぁまぁー佐枝ちゃん。せっかく一之瀬さんたちが誘ってくれてるし、行こうよ~♪皆も私たちも混ざっていい?」
こうなったら、俺個人の意見は通らないことを学習しているので、帆波は肯定してるとして、有栖たちはどうするか……だな。
坂柳「私たちは構いませんわ。せっかくですから、これも何かの縁ですわ。生徒と教師という間柄ではなく、ただ、女性の先輩として女性の魅力をお教え下さるなら♪」
神室「……私は別に」
櫛田「そうだね~!私も先生達の話し聞きたーい♪」
堀北「私も少し興味があるわね……」
佐藤「わ、私も!」
軽井沢「私も茶柱先生のこともっと知りたいしー♪」
長谷部「確かにね~。こういう機会はそう無いしね。」
佐倉「波瑠加ちゃんが言うなら、私は。」
椎名「私も構いませんよ?」
一之瀬「ありがとう♪みんな!」
平田「凄い大所帯になっちゃったね!僕はお店に予約の電話しておくよ!」
平田は流石の気配りを見せて、電話するために一度ここから離れた。もう連れて行く前提なんだな……
星之宮先生が俺に探りを入れるため、偶然を装った可能性もあったが、茶柱先生が一緒にいる時点でそれは考えにくいか…
本当に偶々なのだろう。
まぁ、思いもよらない事実を知ったがな…
あの、茶柱先生が俺の動画を観ているとはな……星之宮先生もだが。
この学校は生徒のプライバシーはどうなってるんだ……全く。
綾小路「俺も、構わない……。」
そう声を絞り出すしかなかった……。
相変わらず俺は両腕を組まれたままカラオケに向かって歩いた。
本当はこの場から体育祭の時以上のスピードを出して逃げたかったのは言うまでもない…
カラオケに着いた。
『いらっしゃいませー。パーティールーム13名でご予約の綾小路さまですね?お待ちしておりました。こちらへどうぞ。』
俺の名前で予約したのはともかく、流石は平田だ。おかげで前回よりスムーズに事が運びそうだ……
店員に案内され、皆が部屋に入っていく様子を見ながら、そう思っていると、ふと違和感が……
ん?待てよ?
13名?
元々、俺達は12人で行動していて茶柱先生達二人を加えたら、14人の筈だが……
そう言えば、平田の姿が見えないが……
まさか……
そう思っていると平田からチャットが来ていた。
『僕は用事を思い出したから、ここで抜けるね!頑張ってね~綾小路くん?(^-^)v」
綾小路「……あいつ」
最初から、このつもりだったな……
この笑顔付きの絵文字がなお、腹立つ…!
後ろを振り返れば、もう全員部屋に入っており、残っているのは先生達二人だけだった。
星之宮「どうかしたの~綾小路くん?早く部屋に入って歌うわよ~~♪」
茶柱「……早く入るぞ。綾小路」
星之宮先生に背中をぐいぐい押されながら、部屋に入れられた……
平田……覚えておけよ……。
~♪~♪~♪
俺は以前と変わらず、奥の席に着いてドリンクバーで持ってきたオレンジジュースを飲んで、女性陣の歌声を聴いていた。
デュエットが上手い櫛…桔梗と帆波が元気系アイドルのように周りを引っ張り、
波瑠加と愛里と椎…ひよりが続いて仲良く曲を選んで、歌っていた。
恵と佐…麻耶とJ-POPのアップテンポの難しい曲を歌って盛り上げて、
次は意外にも堀…鈴音と有栖がデュエットをして、まるで、清楚系アイドルのように歌声で圧巻していた。
星之宮先生は凄い勢いで子どものように、はしゃいでいた……。
茶柱先生と神…真澄は俺と一緒でドリンクを飲みながら、皆の歌を聴いていた。
そして、俺はある人物を観察しながら警戒していたら、
神室「……じろじろこっち観ないでくれる?この変態男。」
変態男とは酷い言い草だな……。
警戒するのは当然だろう……。
お前が動画を録ったおかげで、今どんな酷い目に遭ってることか…。
俺は、楽しんでる周りに聞こえないように静かに真澄に言った……
綾小路「あのな……その言い草は酷いだろ?お前には一度痛い目に遭ったからな。警戒するのは当然だ。」
神室「あれは、坂柳の命令だったんだから文句を言うなら、そっちに言いなさいよ」
綾小路「だとしてもだ。お前のおかげで、俺の生活が脅かされてるのは事実だろ?だが、もう俺はお前に対して、油断はしないからな。」
あの時は精神的な大ダメージのせいで、一瞬油断したが、二度目はない。
また、あんなことになったら俺は精神的疲労で死ねる自信がある……。
神室「お前って名前じゃないし……私には神室真澄って名前があるし……!」
綾小路「いや、知ってるが……。」
神室「なら、名前で呼びなさいよ……!」
綾小路「いや、さっきお前、男に名前呼ばれたくないって言ってなかったか…?」
神室「……うっさいわね//////!呼ぶの?呼ばないの?どっちなのよ!!」
凄い剣幕で言ったので、俺は少し驚いた…
こいつもこんな風に感情的になるんだな。
綾小路「……真澄。これでいいか?」
神室「……ふん、この変態//////」
名前で呼んで変態呼ばわりか……
よく分からないやつだ……
そんな話しをしていると、有栖がこっちにやって来た。
坂柳「清隆くん♪真澄さんと何の話しをしていたのですか?」
綾小路「また、動画を録るなよって釘を差してただけだぞ。」
神室「そうよ。坂柳、あんたのせいで、酷い言い掛りを受けてるんだからね!」
俺はどっちもどっちだろって思う……。
坂柳「それにしては、あの真澄さんがとても楽しそうに話しをしていたようですが?」
神室「は、はぁーーー//////?なんで、私がこんなやつと!!だ、だいたい楽しそうになんかしてないし!!!」
綾小路「わ、分かったから、落ち着け。……真澄!」
神室「あんたは黙ってて……//////」
フォローしたつもりが怒鳴られた……
坂柳「ふふ♪あの無愛想で可愛げのない真澄さんが、感情的になるところは初めて見ましたわ。」
神室「……ほっといて//////」
にしても、随分な言われようだな。
確かに出会った時から無愛想で可愛げは無かったが……
普通に綺麗で大人っぽい女子だと俺は思う。そしたら帆波たちが来た。
櫛田「ねぇねぇー!神室さんも歌ってよー♪」
一之瀬「あ!私も聴いてみたいー♪」
神室「……ちょ、ちょっと!私は聴く専だって前も言ったでしょ?」
元気系女子の二人に捕まった真澄。
そして、俺も真澄の歌声には興味を抱いた
俺は少し仕返しをしたかったので、
綾小路「ここで、歌ってくれたら、前回の件はチャラにしてやる……。」
神室「……この変態」
俺を罵倒しながらも、ほんの少しだけ嬉しそうに見えた。
~♪~♪~♪
カラオケに来て、結構時間が経った。
各々が楽しそうに歌ってるため、俺は内心来て良かったかもな……と思っていた。
後は歌わないように乗り切るだけだな!
俺は心の中で、決心していた。
しかし、こっちをチラチラ確認するだけで、女性陣は歌に夢中となっていた。
歌っていない者たちは星之宮先生の女の
魅力とは何なのかという話しを熱心に聞いていた。
あんまり、この人の話しは宛にしない方が良いと思うがな……
つまり、今の状況下ならば、俺に話しかけて来て、歌わせようと強制してくることは無いという事だ。
案外、それは星之宮先生の宛にならないかもしれない話しのおかげかも知れないな…
絶対に本人には言わないがな…。
綾小路「まぁ、今日は無理に歌わす気配も無いから大丈夫か……」
茶柱「綾小路。お前は、いつ歌うんだ?」
隣で、ずっと静観していた、茶柱先生が俺に話しかけてきた。
綾小路「俺は歌うつもりはありませんよ。茶柱先生。」
茶柱「そうはさせないぞ?綾小路。お前には是非、歌ってもらわないとな?」
綾小路「その必要はありません。現に、帆波や恵たちが楽しそうに歌っていますし、歌っていない有栖たちは星之宮先生の話しを聞いてますからね。俺の出る幕では無いですよ。」
茶柱「帆波や有栖……か。随分とここにいる他クラスの女子と仲良くなったようだな?もうすぐ、特別試験が近いという事を分かっているのか?」
何故か茶柱先生は怒ってるように感じた…
他クラスである有栖たちと一緒に居るのが気に食わないって感じか?
まぁ、俺もこの日常は悪くないとは思っているが、全てを信用している訳ではない。
現に、今も、より注意深く周りを観察しているしな……
まぁ、その辺りは俺の動画が出回ってしまったことが大いに関係しているがな。
有栖たちはこのメンバーで居るときにそれぞれ探りを入れて来たことは一度も無い。
それが、このメンバーと過ごすための暗黙の了解になったからな。
まぁ、それを茶柱先生に話した所で俺の言葉を信用しないだろう……ここは、
綾小路「そういう訳ではありませんよ。それに今は試験でもないですし。放課後に俺が誰と過ごそうと関係ないですよね?」
茶柱「それは確かにそうだが……」
綾小路「安心して下さい!別にクラスを危機に脅かすことはしないですから。」
茶柱「……どうだかな。ここで、お前が私のために歌ってくれたら信じてやってもいいが?」
少し茶化すように俺に言ってきた。
俺の歌声なんか聴いてどうするんだこの人…
綾小路「それは推奨出来ませんね。」
茶柱「そうか?お前はそう思っていても、周りが許してくれそうにないな……?」
周り?今は皆、それぞれ夢中な筈だが
そう言えば、さっきから静かだな……
ふと、見渡すと……
全員が俺の事を見ていた。
この状況はまさか……
綾小路「悪いが、今日は絶対に歌わないぞ……?それぞれで、楽しんでくれ。」
俺は精一杯、意思表示をした。
もう、あんな思いはごめんだからな……
堀北「そう……。あなたはこの状況で、断るつもりなら覚悟しなさいね?」
櫛田「今日はあの神室さんだって歌ってくれたんだよ?清隆くんも歌わないと駄目だよ♪」
佐藤「き、清隆くん!わ、私もまた清隆くんの歌聴きたいな。」
軽井沢「それに茶柱先生だって歌ってくれたんだし~。清隆も歌わないと不公平だよねー♪」
長谷部「そうそう♪前回みたいに逃げようとしても、無駄だからねーきよぽん?」
佐倉「わ、私は清隆くんの歌声また聴きたいな//////もちろん無理はしないで欲しいけど、やっぱり……」
椎名「私もまた清隆くんの歌声を聴きたいです!」
一之瀬「わ、私は、清隆くんに歌って欲しいけど……。嫌なら無理しないでね?」
坂柳「ふふ♪皆さんの言う通りですわ♪無理しなくてもいいですけど、歌わないと不公平ですよ、清隆くん?」
神室「私にまで歌わせといて、自分だけ逃げるってのは……ずるいと思うけど……?」
星之宮「ここまで、言われたら綾小路くんなら、引き下がらない訳には往かないわよね~?楽しみだわ~♪綾小路くんの生の歌声♪ね。佐枝ちゃん?」
茶柱「わ、私は別にどっちでも構わないと言っているだろ、知恵///!」
星之宮「もう~素直じゃないんだから♪」
ここで、断ったら何されるかたまったものでは無いな……特に有栖と桔梗と恵と……
いや、全員だな。
もう、覚悟を決めるか……。
一つ条件を出して……。いや、二つだな…
綾小路「……分かった。ただし……動画を録るのは無しだぞ?勿論、写真を撮るのもだ。」
『もちろん(だ)♪×12』
結局、俺は断れないんだな……。
まぁ、この女性陣から頼まれたら断ることのほうが、難しいに決まってるんだが……
どっちにしても、今度、カラオケに来るときは必ず胃薬を持って来ようと決心したのだった……。
まぁ、俺も動画や撮影は注意出来たし、
ここで、約束を破るやつらではないだろう
俺は安心して歌に集中しているとき……
俺はまたも一瞬、油断してしまっていた…
俺が歌っているときに不穏な動きをしていた有栖たちを見逃すことになるとはこのとき思わなかったのだった……。
坂柳「ふふ♪皆さん用意はいいですね?」
『……(コクッ)×12。』
『ありがとうございました~!』
店員からの元気な挨拶で見送られて、俺たちは店を後にした。
星之宮「いや~!凄かったわねー!!!!綾小路くんの歌声♪先生惚れちゃったかもしれないわ~//////♪ねぇ~佐枝ちゃん?」
茶柱「……確かに動画で観るのとは訳が違うな//////」
堀北「今度は先生にまで、手を出すなんて……女たらしの節操無し。」
櫛田「相変わらず、上手いね~♪私も惚れちゃうなー//////♪」
軽井沢「でも、アンコールまで歌ってくれるなんてね…ちょっとは見直したわ//////」
佐藤「う、うん♪かっこ良かったよー///」
佐倉「……カラオケ最高かも//////」
長谷部「そうだね♪愛里。貴重なものもゲット出来たしねー//////♪」
椎名「そうですね♪皆さんとカラオケはとても楽しいです。清隆くんは流石です♪」
一之瀬「だ、だめですよ星之宮先生!!!先生と生徒なんだし……それに清隆くんだけは/////だめですからー。」
坂柳「一之瀬さんの言う通りですわ?星之宮先生には女性の魅力についてのお話を聞けた事に関しては感謝しておりますが……清隆くんはわたくしたちのものですから♪ね?真澄さん?」
神室「な、なんで私に聞くのよ!!!私に振らないでくれない//////?」
綾小路「……けほっ。俺はものじゃないぞ?」
あの後、俺は殆ど連続で歌ったおかげで、喉が掠れて痛い……。
一曲だけだと思ったのだが、女性陣全員からアンコールをされて、今、流行りの歌などの数曲を歌わされた……。
歌詞が分からない時は、帆波や恵に手伝って貰ったのだが……
帆波や恵だけずるい……という話しになり結局全員とコラボする羽目になり大変だった。
こんなに声を出して歌ったのは生まれて初めてだな……。とっても辛いが……
そう思っていると、有栖が俺に話しかける
坂柳「ふふ♪お辛そうですね?清隆くん?大丈夫ですか?」
綾小路「……そう思うなら、今度からは俺は歌うのは遠慮させて欲しいんだが…?」
坂柳「それはもちろんダメですわ♪」
楽しそうだな……お前ら。
こっちは喉が限界なのに……
ん?
さっきから全員スマホを観ているのは何故だ……?
まさか、お前ら……
綾小路「……動画とか写真を撮ってないよな?さっき波瑠加が貴重なものをゲット出来たって聞こえたんだが……?」
長谷部「え?嘘?聞こえた?」
綾小路「……。」
長谷部「きよぽん、ちょっと待って!私たち約束は破ってないから怒んないでよー」
波瑠加が焦りながら、言った。
……嘘は言ってなさそうだな。
まぁ、確かにあのグループを大事にしている波瑠加が、わざわざグループに決裂が走るような真似はしないな。
なら、どうしてスマホを大事そうに持ってるんだ?
綾小路「ちょっとだけ、波瑠加のスマホを少し借りるぞ!」
長谷部「あーーちょっと待っ……」
言い切る前に少し強引にスマホを取った。
そして、これはボイスレコーダーのアプリか……?再生してみると、
♪~♪~♪
さっきのカラオケ内の録音……か?
ちょっと待て。これさっき俺が歌った曲だよな……?
♪~♪~♪
案の定、俺の歌声が聞こえてきた……
綾小路「……波瑠加これはどういうことだ?」
長谷部「え、えっとー、ほら、その、あれだよ!きよぽん♪今度この曲覚えようと思ってさ……あはは。」
綾小路「……まさか、ここにいる全員録音したのか?」
『……(メソラシ)♪×12』
俺はその場で項垂れた。
はぁー……確かに動画と写真は駄目だとは言ったが、まさか、録音までしてくるとは俺の爪の甘さが招いた結果だな。
坂柳「そうですわ♪清隆くんは動画や写真はダメと言いましたが、録音はダメとは一言も発していませんので、皆さんに事前に録音はOKらしいですわ♪と眼で語らせて頂きました!」
綾小路「………因みに録音を消してくれって頼んだら、訊いてくれるか……?」
『イ・ヤ♪(ですわ)×12』
波瑠加のスマホを返した後に全員の顔を見ると……
皆さん宝物のようにスマホを持っていらっしゃるので、俺はその場で何も言えなくなってしまった…。
俺はすっかり暗くなった星空を見上げながら、また、こう呟いた……
綾小路「……どうしてこうなった。」
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