歩ける様になったハスキー
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第一章
歩ける様になったハスキー
タイのチェンマイに住むキット=アッチャラーンはネットである犬の話を聞いて同居していて一緒に商店街で肉を売っているチュットに話した。見れば妹は小柄で黒髪を長く伸ばし可愛いが彼は大柄で太った優しい顔立ちで黒髪を後ろで団子にしている。
「可哀想な犬だからね」
「肉球がないの」
「一つもね。それに腰やお尻も問題があって」
兄は妹に二人が住んでいるアパートの中で話した。
「満足に立つこともだよ」
「出来ないの」
「そうらしいんだ」
「そうなのね」
「けれどそんな子だからこそ」
キットはチュットに切実な声と顔で話した。
「是非ね」
「幸せになるべきね」
「そう思わないから」
こう妹に言うのだった。
「やっぱりね」
「そうね、身体にハンデがあっても」
妹もそれでもと応えた。
「誰でもね」
「幸せになる権利があるし」
「そうした子を幸せに出来たら」
「私達も嬉しいわね」
「じゃあその犬引き取ろうか」
「そうしましょう」
妹は兄の言葉に頷いて応えた。
「それじゃあね」
「うん、犬を保護しているボランティアセンターに連絡するよ」
このことを決めてだった。
キットはその犬マヤという名前の白い雌のシベリアンハスキーがいるボランティアセンターと話をして彼女を家族に迎えることにした。
そして彼女を引き取る時にセンターのスタッフの人達に言われた。
「障害がある娘でして」
「これまで家族にという人がいなくて」
「もうマヤは一生ここにいると思っていました」
「そうでしたが」
「有り難うございます」
「マヤを幸せにして下さい」
「はい、そうします」
キットも約束した、そうしてだった。
彼女を家に引き取った、事実マヤは肉球が一つもなく。
尻も腰も問題があり満足に動けない、だがそれでもだった。
キットとチュットは彼女を家族にしてだった。
毎日愛情を注いだ、すると最初ははじめて見る人間達に怯えていた彼女も。
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